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国勢調査と人口動態統計の個票データリンケージにより日本人の教育歴ごとの死因別死亡率を初めて推計 (2 ページ)

公開元URL https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2024/0328/index.html
出典情報 国勢調査と人口動態統計の個票データリンケージにより日本人の教育歴ごとの死因別死亡率を初めて推計(3/28)《国立がん研究センター》
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格差のモニタリングと、疾病負荷の大きい集団を含めたすべての国民に届く対策につながることが期待
さ れ ま す 。 本 研 究 成 果 は 、 2024 年 3 月 28 日 に 国 際 英 文 ジ ャ ー ナ ル 「 International Journal

of Epidemiology」で公開されました。
背景
健康格差とは、社会経済状態(教育歴・職業・所得など)により集団間で健康状態に系統的な差があ
ることを指します。このような個人の健康に影響を与える社会的要因は「健康の社会的決定要因(social
determinants of health)」とよばれ、健康格差の縮小は公衆衛生上の重要な課題です。わが国では健康
格差の縮小は 2013 年の「健康日本 21(第二次)」で初めて全体目標に含まれるようになりました。健康
格差の実態を明らかにする(モニタリングする)社会経済指標の一つとして、国際的には「教育歴(学歴)」
が広く用いられ、政府統計による体系的なモニタリングや国際比較研究などが行われています。一方、
わが国では教育歴ごとの死亡率の統計データがなく、健康格差対策を議論するためのモニタリングが十
分に行われていません。
政府統計・行政資料データ活用に関して、欧米では個人 ID を活用した統計間のデータリンケージが
広く行われ、保健医療政策や健康格差対策に活用されています。わが国の保健統計には人口動態調
査、国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査などがありますが、統計間のデータのデータリンケージは
個人 ID がないなどの技術的問題のため難しいのが現状です。このため、統計法の改正などで 2010 年
代から公的統計の匿名化個票データの利活用(2 次利用)が広がったものの、統計間のデータリンケー
ジは十分に実施されてきませんでした。
そこで、本研究では国勢調査と人口動態統計(死亡票)が共通してもつ情報を用いてデータリンケージ
する方法を採用し、教育歴と死亡率の関連を死因ごとに分析し、わが国の健康格差の実態を明らかに
することを目的としました。
研究成果(方法・結果)の詳細
本研究では、総務省の国勢調査と厚生労働省の人口動態調査(死亡票)について、統計的研究を目
的として統計法第 33 条に基づく利用申請を行い、匿名化個票データをそれぞれ取得しました。「性、生
年月、居住市区町村、婚姻状況、配偶者の年齢(既婚のみ)」の組み合わせをリンケージキーとし、この
組み合わせが他の人と重複しない日本人を抽出しサンプル人口としました。日本人(30−79 歳)の男性
3,992,202 人、女性 3,992,249 人(全人口の 9.9%)がサンプル人口として分析対象となり、死亡データと国
勢調査の人口データがリンケージされたのは男性で 224,538 人、女性で 101,286 人でした(図 1)。
地域や婚姻状況など人口分布が全人口と近似するように補正し、教育歴別年齢調整死亡率(注 1)と
死亡率比を算出しました。また、教育歴の人口分布を考慮した格差指標(Relative Index of Inequality: RII
と Slope Index of Inequality: SII、(注 2))を算出しました。2010 年国勢調査の教育歴の選択肢は、『小学・
中学』、『高校・旧制中学』、『短大・高専』、『大学・大学院』の4区分で、本研究では『小学・中学』を「中学
卒業者」、『高校・旧制中学』を「高校卒業者」、『短大・高専』および『大学・大学院』を「大学以上卒業者」
と分類し、「不詳」を加えて 4 区分としました(以下、「不詳」を除く)。

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