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薬剤誘発性高血圧に対するプレアボイド報告のお願い(依頼) (5 ページ)

公開元URL https://www.jshp.or.jp/content/2024/0502-7.pdf
出典情報 薬剤誘発性高血圧に対するプレアボイド報告のお願い(依頼)(5/2)《日本病院薬剤師会》
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◆事例 3(薬物治療効果の向上)

アジルサルタン増量提案および血圧測定タイミングの統一によりベバシズマブを含む化
学療法を継続できた事例
【患者情報】40 歳代,女性,肝機能障害(-)
,腎機能障害(-)
【既 往 歴】子宮頸がん,高血圧
【臨床経過と薬剤師の対応】
子宮頸がんに対して TC+BV 療法(T:パクリタキセル,C:カルボプラチン,BV:ベバ
シズマブ)導入目的で入院となった患者。高血圧の既往がありアムロジピン 5 mg/day を 3
ヶ月前から服用していたが,TC+BV 療法開始後の入院期間中も血圧が 140/90 mmHg(収縮
期血圧/拡張期血圧)で推移していたため AT1 受容体への親和性が強く,長時間作用し強力
かつ持続的な効果が得られるとされているアジルサルタン 20 mg/day が追加となった。2サ
イクル目以降は外来通院治療に移行のため,アジルサルタン追加後の血圧管理の継続につ
いて病棟担当薬剤師から外来担当薬剤師に引継がれた。
外来担当薬剤師は,3 週間後の 2 サイクル目投与目的の来院時に血圧手帳に記録された血
圧を確認しながら面談を実施し,自宅での血圧が朝:110-160/90-100 mmHg および夕:130150/80-100 mmHg であること,測定時間は朝が起床時,夕は食前であること,血圧変動に伴
う自覚症状がないことを聞き取った。収縮期血圧が朝 110 mmHg,夕 130 mmHg に低下して
いる日もあることから一定の効果が得られていると評価した。一方,朝の血圧がばらついて
いることの原因を解明するために血圧測定のタイミングを患者に確認したところ,起床後
の測定が遅れることがあることを聞き取り,測定タイミングが一定しないことが血圧のば
らつきの一因である可能性が否定できないと考えた。
上記を踏まえ,アジルサルタン 40 mg/day への増量と朝の血圧の評価を一定にするために
家庭血圧測定タイミングを朝食前に固定することを医師に提案し受け入れられ,患者への
説明と指導を行った。
注:高血圧治療ガイドライン 2019 では,朝の家庭血圧の測定条件として「起床後 1 時間以
内,排尿後,朝の服薬前,朝食前,座位 1-2 分安静後」と規定されている。
【アウトカム】
3 サイクル目受診時に血圧は朝:120-130/80 mmHg,夕:130/80 mmHg で推移していたほか,
アジルサルタン増量による眩暈やふらつき等の自覚症状の訴えもなかった。血圧測定タイ
ミングが統一されたことにより朝の血圧のばらつきも減少したことから,血圧の推移を適
切に評価できるようになった。その後も血圧は同程度で推移し,ベバシズマブを中止するこ
となく化学療法を継続することができた。