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本邦の医学研究者は研究の評価をどのように捉えているか?アンケート調査の結果を公表 リリース文書 (1 ページ)
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公開元URL | https://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2024/20240509140000.html |
出典情報 | 本邦の医学研究者は研究の評価をどのように捉えているか?アンケート調査の結果を公表(5/9)《国立国際医療研究センターほか》 |
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2024 年 5 月 9 日
National Center for Global Health and Medicine
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
Showa University
学校法人 昭和大学
University of Tsukuba
国立大学法人 筑波大学
本邦の医学研究者は研究の評価をどのように捉えているか?
アンケート調査の結果を公表
【研究成果のポイント】
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター、学校法人 昭和大学、国立大学法人 筑波大学の研究者
ら(第 31 回日本医学会総会学術委員会 U40 委員)が中心となってアンケート調査を行い、日本の医学
研究者が研究評価に対してどのような認識を持っているか、そしてその認識が研究者の属性によってど
のように異なるかを明らかにしました。有効回答 3,139 名のうち、67.4%が雑誌のインパクトファクタ
ーを研究評価において重視すると回答しました(特に重視:19.6%、重視:47.8%)。一方で、88.8%は
インパクトファクターなどの定量的指標では「重要な研究でも評価されないことがある」と回答しまし
た。また、研究者の属性、研究分野によって評価に対する認識は異なり、特に若手や基礎医学(解剖学・
生化学など)の研究者が定量的指標を重視していました。定性的評価については、
「研究テーマの独創性」
が臨床医学(内科学・外科学など)
・社会医学(公衆衛生学・疫学など)より基礎医学において重視され
ていました。定量的指標を重視する傾向は、
「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)
」や「研
究計量に関するライデン声明」が懸念する状況と一致し、研究評価のあり方について再考する必要が示
唆されました。研究評価の再考にあたっては、多様な属性の研究者や幅広い研究分野からの視点を議論
に含めることが重要だと考えられます。
【研究の背景】
研究を適切に評価することは、科学の進歩のために不可欠です。これまで本邦の医学界においては、多
くの場合、掲載雑誌のインパクトファクター、英文論文数や被引用数などの定量的指標が研究・研究者の
評価に用いられ、資金配分や人事において重要視されてきたと考えられています。研究機関レベルにお
いても、大学ランキングの上昇や、運営費交付金の配分などに動機付けられ、研究機関が指標の改善のた
めに研究者に対して働きかけることがあります。
一方で、定量的指標には多くの留意点、限界が内在していることが指摘されています。実際に、2012
年の「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)
」
(1)、2015 年の「研究計量に関するライデン
声明」
(2)をはじめとする、定量的評価への偏重を諌める動きが出てきています。本邦においても、2021
年に「学術の振興に寄与する研究評価を目指して―望ましい研究評価に向けた課題と展望―」と題した
提言(3)が発出されており、日本医学会の「医学雑誌編集ガイドライン 2022」(4)でも、インパクトフ
ァクターの限界について言及があり、留意するよう促しています。
このような声明や提言での推奨内容と、実際に本邦の医学界で行われている研究評価のギャップが存
在し、研究・研究者の適切な評価を妨げている可能性が考えられます。その際、研究者が研究評価をどの
ように認識しているかは、研究評価のあり方が研究者に与える影響を考える上で重要と考えられます。
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National Center for Global Health and Medicine
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
Showa University
学校法人 昭和大学
University of Tsukuba
国立大学法人 筑波大学
本邦の医学研究者は研究の評価をどのように捉えているか?
アンケート調査の結果を公表
【研究成果のポイント】
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター、学校法人 昭和大学、国立大学法人 筑波大学の研究者
ら(第 31 回日本医学会総会学術委員会 U40 委員)が中心となってアンケート調査を行い、日本の医学
研究者が研究評価に対してどのような認識を持っているか、そしてその認識が研究者の属性によってど
のように異なるかを明らかにしました。有効回答 3,139 名のうち、67.4%が雑誌のインパクトファクタ
ーを研究評価において重視すると回答しました(特に重視:19.6%、重視:47.8%)。一方で、88.8%は
インパクトファクターなどの定量的指標では「重要な研究でも評価されないことがある」と回答しまし
た。また、研究者の属性、研究分野によって評価に対する認識は異なり、特に若手や基礎医学(解剖学・
生化学など)の研究者が定量的指標を重視していました。定性的評価については、
「研究テーマの独創性」
が臨床医学(内科学・外科学など)
・社会医学(公衆衛生学・疫学など)より基礎医学において重視され
ていました。定量的指標を重視する傾向は、
「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)
」や「研
究計量に関するライデン声明」が懸念する状況と一致し、研究評価のあり方について再考する必要が示
唆されました。研究評価の再考にあたっては、多様な属性の研究者や幅広い研究分野からの視点を議論
に含めることが重要だと考えられます。
【研究の背景】
研究を適切に評価することは、科学の進歩のために不可欠です。これまで本邦の医学界においては、多
くの場合、掲載雑誌のインパクトファクター、英文論文数や被引用数などの定量的指標が研究・研究者の
評価に用いられ、資金配分や人事において重要視されてきたと考えられています。研究機関レベルにお
いても、大学ランキングの上昇や、運営費交付金の配分などに動機付けられ、研究機関が指標の改善のた
めに研究者に対して働きかけることがあります。
一方で、定量的指標には多くの留意点、限界が内在していることが指摘されています。実際に、2012
年の「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)
」
(1)、2015 年の「研究計量に関するライデン
声明」
(2)をはじめとする、定量的評価への偏重を諌める動きが出てきています。本邦においても、2021
年に「学術の振興に寄与する研究評価を目指して―望ましい研究評価に向けた課題と展望―」と題した
提言(3)が発出されており、日本医学会の「医学雑誌編集ガイドライン 2022」(4)でも、インパクトフ
ァクターの限界について言及があり、留意するよう促しています。
このような声明や提言での推奨内容と、実際に本邦の医学界で行われている研究評価のギャップが存
在し、研究・研究者の適切な評価を妨げている可能性が考えられます。その際、研究者が研究評価をどの
ように認識しているかは、研究評価のあり方が研究者に与える影響を考える上で重要と考えられます。
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