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参考資料 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42171.html
出典情報 妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会(第3回 8/21)《厚生労働省》
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第2回の議論のまとめ(1)
◆正常分娩の保険適用の導入の是非について


報道されている正常分娩の保険化の利点としては、妊産婦の経済的負担が減少し少子化対策となるということであるが、本当に減るのかど
うか疑問である。



正常分娩が保険になじまない背景には、分娩は全て様子が異なり、分娩開始の様子も所要時間も様々であるということ。また、分娩過程の中
に保険適用とならない医療行為が数多く含まれており、保険適用になった場合にどのように評価するのかということが分からないということ、
そして、助産に関しては、今の入院基本料、特に有床診療所の入院基本料では賄えないだろうということがある。



過去の審議会等で丁寧な議論を積み重ねて現在の運営費の在り方が定められている歴史がある。これを少子化対策という名の下にあまりに
拙速に制度変更することには反対である。妊婦の分娩時の費用負担を軽減することには非常に賛成だが、それには医療安全をしっかり確保
すること、そして、妊婦の産みやすい環境、特に近所でちゃんと産めるという環境が守られることが絶対条件である。



安心・安全なお産に対する質の高い医療のためには、小児科医が陰でいろいろなことをやっているということを理解し、そのことに対して正
当な評価をしていただきたい。



分娩を行うというのは、費用がいかほどかかるかという問題だけではなく、医療を提供している側の存続の問題というのがあると思う。少な
くとも地方圏で分娩を提供するというのは、基本的には収益が全く上がらない。従来の保険診療では救済措置は後手に回るし、実際賄いきれ
ない。だからといって値上げをしていいというものではないが、自費診療のほうがそういったものに関する融通が利くと考える。



保険収載するということは硬直した費用がはっきり定められて、そして、何かあったときには救済措置が行われるが、1年も2年もたってから
ようやく救済されるような形しか取れないので、それでは分娩施設が守れない。そういう意味で保険適用にはなじまない。



分娩に関わる費用の平均額は約140万円、地域によって1分娩当たりに費用の差があった。分娩数が少ない施設ほど、1分娩当たりの費用は
高額となる傾向があった。



異常分娩で保険適用になっているのは、最後の児の娩出のところだけ。例えば本来正常分娩になるべくずっと十何時間、あるいは中には1日、
2日とかけてずっと見ていた方が、最後に吸引分娩になると、その部分は保険適用になり、それ以前の部分は保険では評価されないというこ
とになる。その部分の費用というのは、現在は分娩介助料という扱いにされている。



分娩介助料や分娩料に転嫁せざるを得ないというのは、一番代表的なものは分娩監視装置の装着、読影判断、妊婦の精神的なケアやメンタ
ルヘルスケアといった助産行為も全く医療のコストの中に含まれていないので、そういったものも分娩介助料に転嫁せざるを得ない。



1分娩当たりの費用として約140万円という数字が示されているが、これは大学病院におけるハイリスクの妊娠、分娩も含めた調査結果では
ないか。一方で、出産費用の平均値は48.2万円という数字があり、あまりにも差が大きい。分娩の費用構造とか地域差等については、データ
やエビデンス等に基づいて分析をした上で議論が必要と考えるので、しっかり検討の上、整理をしていただきたい。
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