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資  料 1 感染症安全対策体制整備事業(令和5年度)実績報告 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42777.html
出典情報 薬事審議会 血液事業部会 安全技術調査会(令和6年度第1回 8/30)、運営委員会(第2回 8/30)(合同会議)《厚生労働省》
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も、引き続き、国内でのアウトブレイクに備え、献血血液中にウイルスが混入するリスクを想定し対策を講じ
ておく必要がある。特に、検査センターや血液センターなど多施設で MPXV の核酸検査を実施する場合に
は、試験法キャリブレーションや性能調査、感度比較を実施するための MPXV の核酸検査用標準品が必
要となるが、国際標準品は整備されていない。そこで、本事業において令和 5 年度は、国内で容易に利用
可能な MPXV の核酸検査用参照品を整備した。
3.

研究方法および結果

3-1. MPXV 国内参照品の作製

MPXV にはクレード 1 とクレードの 2 種類があり、過去コンゴ盆地系統および西アフリカ系統群と呼ばれ
ていた。MPXV の国内参照品を作製するにあたり、MPXV Zr-599 株(クレード 1a)、MPXV Liberia 株(クレ
ード 2a)、及び 2022 年以降の世界的大流行時に日本で分離された MPXV_JPN2022_TK006 株(クレード
2b)の 3 株を選定した。これら 3 株は、国立感染症研究所ウイルス第一部より分与を受けた。国際標準品の
不活化法と同様な方法で、酸処理 15 分及び 60℃ 1 時間の加熱処理によりウイルスを不活化し、不活化処
理後にアミコン限外濾過による濃縮により酸処理に用いた酢酸と NaOH を取り除き、血漿由来ベースマトリ
ックス(市販品)で希釈し、それぞれ 400 本ずつ参照品を作製した。また、作製した参照品が本不活化処理
により十分にした不活化されていること確認するため、参照品を MPXV 感受性細胞である RK-13 細胞(ウ
サギ腎臓由来細胞)に添加し、3 継代(10 日間)培養し細胞変性効果(CPE)が認められないこと、及び培養
液中のウイルス核酸量を経時的に定量し、継代数に依存して核酸量が低下し、核酸の増加が確認されな
いことを確認した(図 1)。さらに、これらの酸処理、加熱処理、アミコンでの濃縮操作、ベースマトリックスに
よる希釈操作後の各ステップにおいて検体を採取し、ウイルス核酸量を比較した結果、これらの操作は核
酸量に影響を及ぼさないことを確認した(図 2)。
3-2. 共同測定および値付け値の算出

日本赤十字社、及び国立感染症研究所を含む7施設(日本ロシュ株式会社、栄研化学株式会社、
TOYOBO 株式会社、タカラバイオ株式会社、北里環境科学センター)で、核酸量の値付けを定性法(7 施
設)及び定量法(2 施設)で実施した。国立感染症研究所は国立感染症研究所病原体検出マニュアルに従
って測定を実施した。各参加施設においては、自社製品または in-house 法にて測定を行なった。
定性法では、はじめに予備試験を実施した。各参照品をベースマトリックスで 10-1 から 10-7 まで 10 倍段
階希釈し、各希釈液から DNA を抽出後、リアルタイム PCR 法による検出を行い、結果が陽性となる最大希
釈倍率(エンドポイント)を定めた。本試験では、エンドポイントの両側にハーフログで 2 段階の濃度を追加
し、合計 5 点で日を変えて3回測定を行った。測定結果として、各施設から各希釈濃度の陽性/陰性の結
果及び Ct 値を収集した。核酸量の絶対値は、プロビット法を用いた最尤推定法により 63%が陽性となる時
の希釈倍率を算出し、測定に用いた検体量、抽出容量、PCR 反応に用いた容量を考慮し NAT detectable
units/mL (U/mL)として算出した。定量法では、高濃度側にハーフログで 2 希釈分を追加し、核酸量既知
のスタンダード DNA(国立感染症研究所ウイルス第一部より分与)を用いて定量し、定性法と定量法の幾何
平均値を算出して核酸量とした(表 1)。3 株のうち MPXV_JPN2022_TK006 株(クレード 2b)を参照品として定
め、他の 2 株の核酸量は、定性法では希釈倍率と Ct 値を、定量法では希釈倍率とコピー数を用いた平行
線定量法にて相対的に算出した(表 2)。MPXV_JPN2022_TK006(国内参照品)、MPXV Zr-599、MPXV
Liberia の値付け値は、それぞれ、6.32 Log10 U/mL、7.01 Log10 U/mL、及び 6.74 Log10 U/mL であっ
た。
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