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議題2 別紙3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44034.html
出典情報 先進医療会議(第136回 10/3)《厚生労働省》
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(別紙2) 筋ジストロフィー心筋障害に対するTRPV2阻害薬内服療法 第163回先進医療技術審査部会 資料1-3
令和6年7月11日

TRPV2 (Transient receptor potential cation channel, subfamily V, member 2 ):伸展刺激感受性Caチャネル

1.細胞内局在

TRPV2阻害

障害心筋・骨格筋:

・抗体・阻害薬

細胞膜表面発現増加
細胞内Ca濃度増加

・細胞内への
輸送促進

Ca2+

細胞膜

通常状態:
細胞内に存在

別紙3-2

• TRPV2は通常骨格筋・心筋の細
胞内に発現
• 骨格筋・心筋が障害されると細胞
膜表面に移動
• 細胞膜表面のTRPV2はCaを細胞
内に取り込む
• 細胞内Ca濃度上昇により細胞変
性過程が進行
• TRPV2阻害療法として、抗
TRPV2抗体、阻害薬、細胞内へ
の輸送促進などの方法がある

2.疾患モデル・患者組織でのTRPV2発現異常
TRPV2過剰発現

野生型

マウス
5mm
正常心筋

• 心筋細胞膜にTRPV2を過剰発現させたマウスは拡張型心
筋症を呈する
• 筋ジストロフィーや心筋症のモデル動物では心筋・骨格
筋の細胞膜におけるTRPV2発現が亢進
• TRPV2阻害により、病理学的所見や心機能・運動機能・
生命予後の改善を認める
筋ジストロフィー

正常骨格筋

拡張型心筋症

ヒト骨格筋

ヒト心筋

• ヒトでも心筋症患者の心筋細胞膜、筋ジストロフィー患者の骨格筋・心筋細胞膜でTRPV2の発現
亢進を認める

TRPV2活性(%)

3.トラニラストによるTRPV2阻害効果
120
100
80
60
40
20
0

Control

-7

-6

-5

-4

Log[tranilast],M

+Tranilast

• 既承認薬のスクリーニングで
トラニラストにTRPV2阻害効
果が存在することが判明
• 心筋症モデルラットにトラニ
ラストを投与すると心機能、
病理学的所見、生命予後が改
善した

-3

4.筋ジストロフィー心不全患者におけるトラニラストパイロット試験
• 対象:進行期心不全筋ジストロフィー患者2名
• 方法:トラニラスト300mg/dayを3ヶ月間投与、投与前後で心機能を評価
• 結果
Patient 1臨床経過
Patient 2 臨床経過
300mg/day

Tranilast
Enarapril
Carvedilol
Warfarin

300mg/day

Tranilast
Enarapril

10mg/day

300mg/day
10mg/day

10mg/day
1.5

1.0

0.5

cystatin C (mg/L)

240

3.0
2.5

140

2.5

200

130

2.0

120

1.5

160
120

110

1.0

100

0.5
0

30

cystatin C (mg/L)
CRP (mg/dL)

BNP (pg/mL)

1.0mg/day

BNP (pg/mL)

60

1.5 15

80

1.0 10
0.5

40
0

90 (days)

• Patient 1:治療開始後BNP低下、その他心機能変
化無し。ワーファリン併用でINR上昇, 脈拍・期
外収縮増加(メンタルストレスとの関連示唆)

2.0 20

9

30

60

5

90 (days)

• Patient 2: 全身状態不安定でBNP変動あるも低下
傾向。トラニラスト中断でBNP急速上昇、再開
で低下。その他心機能変化無し。腎機能障害増悪。

• 結論:トラニラストによるTRPV2阻害内服療法は筋ジストロフィー心筋障害に有効な可能性がある