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2023年度 医療法人の経営状況について (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/250228_No011.pdf |
出典情報 | 2023年度 医療法人の経営状況について(2/28)《福祉医療機構》 |
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2024-011
福祉医療機構(以下「機構」という。)では、
激な円安により、事業収益対医療材料費率(以
毎年度、融資先の医療法人から経営状況等につ
下「医療材料費率」という。)や事業収益対給食
いて報告をいただいている。本稿では、2023 年
材料費率(以下「給食材料費率」という。
)も上
度決算に係る経営状況について分析した。
昇しており、費用の増加が経営状況の悪化につ
ながったといえるだろう。
1
医療法人の経営状況
1.1
ほかにも、財務面に目を向けると、流動比率
は 11.0 ポイント低下し、借入金比率は 1.3 ポイ
2 か年度同一比較
人件費率および医療材料費率の上昇により、
事業利益率はマイナス値に転じる
ント低下していた。この一因として、融資先に
は当機構の新型コロナウイルス対応支援資金の
利用が多く、そうしたコロナに係る運転資金の
まず、経年変化を詳細に把握するため、2022
返済が開始となった法人が徐々に増加してきた
年度・2023 年度の 2 か年度で比較可能なデータ
ことが挙げられる。一方、流動比率や借入金比
があるサンプルに絞って確認していきたい。
率が低下したにもかかわらず、債務償還年数は
2023 年度の事業収益対事業利益率(以下「事
8.7 年まで伸びていた。これは、収支の悪化によ
業利益率」という。
)は、2022 年度から 1.1 ポ
るものであり、長期化すれば財務面にも影響を
イント低下し△0.8%とマイナス値に転じた(図
及ぼすことから、今後は財務に関する指標にも
表 1)
。また、経常収益対経常利益率(以下「経
注視する必要があるだろう。
常利益率」という。
)は、1.0%とプラス値である
ものの、2022 年度から 2.5 ポイント低下してい
(図表 1)医療法人の経営状況(同一法人)
医療法人(n=2,032)
る。これらには、2023 年 5 月 8 日から新型コ
指標
ロナウイルス感染症(以下「コロナ」という。)
1 法人当たり従事者数
人
人件費率
%
医療材料費率
%
給食材料費率
%
経費率
%
減価償却費率
%
事業利益率
%
経常利益率
%
従事者 1 人当たり事業収益 千円
従事者 1 人当たり人件費
千円
赤字法人割合
%
流動比率
%
純資産比率
%
借入金比率
%
債務償還年数
年
が感染症法上の 5 類に移行したことに伴って、
医療機関に対し交付された病床確保料等の補助
金(以下「コロナ補助金」という。
)が縮小・終
了したことが影響していると考えられる。赤字
法人割合1をみても 38.2%まで拡大しており、経
営状況の悪化がみてとれる。
そこで、経営悪化の要因について、収益に関
する指標からみると、2023 年度の従事者 1 人当
たり事業収益は 9,656 千円となり、2022 年度か
ら 25 千円の微増にとどまった。
一方で、費用面について、従事者 1 人当たり
1.2
人件費は 66 千円上昇しており、事業収益対人件
2022
2023
261.9
56.8
13.1
2.7
22.4
4.5
0.4
3.5
9,630
5,474
32.6
217.6
34.6
59.9
6.0
261.5
57.4
13.4
2.8
22.5
4.6
△ 0.8
1.0
9,656
5,540
38.2
206.6
34.9
58.6
8.7
差(20232022)
△ 0.4
0.5
0.3
0.1
0.1
0.1
△ 1.1
△ 2.5
25
66
5.6
△ 11.0
0.3
△ 1.3
2.7
黒字・赤字推移別比較
赤字転落法人は病院主体法人が多く、コロナ
補助金の縮小・終了の影響を大きく受けたか
費率(以下「人件費率」
という。
)
は 57.4%と 2022
年度から 0.5 ポイント上昇した。くわえて、昨
今の世界情勢や原材料価格の高騰、さらには急
前節では、2023 年度の経営状況は、事業利益
1 経常利益が 0 円未満を赤字とした
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2
福祉医療機構(以下「機構」という。)では、
激な円安により、事業収益対医療材料費率(以
毎年度、融資先の医療法人から経営状況等につ
下「医療材料費率」という。)や事業収益対給食
いて報告をいただいている。本稿では、2023 年
材料費率(以下「給食材料費率」という。
)も上
度決算に係る経営状況について分析した。
昇しており、費用の増加が経営状況の悪化につ
ながったといえるだろう。
1
医療法人の経営状況
1.1
ほかにも、財務面に目を向けると、流動比率
は 11.0 ポイント低下し、借入金比率は 1.3 ポイ
2 か年度同一比較
人件費率および医療材料費率の上昇により、
事業利益率はマイナス値に転じる
ント低下していた。この一因として、融資先に
は当機構の新型コロナウイルス対応支援資金の
利用が多く、そうしたコロナに係る運転資金の
まず、経年変化を詳細に把握するため、2022
返済が開始となった法人が徐々に増加してきた
年度・2023 年度の 2 か年度で比較可能なデータ
ことが挙げられる。一方、流動比率や借入金比
があるサンプルに絞って確認していきたい。
率が低下したにもかかわらず、債務償還年数は
2023 年度の事業収益対事業利益率(以下「事
8.7 年まで伸びていた。これは、収支の悪化によ
業利益率」という。
)は、2022 年度から 1.1 ポ
るものであり、長期化すれば財務面にも影響を
イント低下し△0.8%とマイナス値に転じた(図
及ぼすことから、今後は財務に関する指標にも
表 1)
。また、経常収益対経常利益率(以下「経
注視する必要があるだろう。
常利益率」という。
)は、1.0%とプラス値である
ものの、2022 年度から 2.5 ポイント低下してい
(図表 1)医療法人の経営状況(同一法人)
医療法人(n=2,032)
る。これらには、2023 年 5 月 8 日から新型コ
指標
ロナウイルス感染症(以下「コロナ」という。)
1 法人当たり従事者数
人
人件費率
%
医療材料費率
%
給食材料費率
%
経費率
%
減価償却費率
%
事業利益率
%
経常利益率
%
従事者 1 人当たり事業収益 千円
従事者 1 人当たり人件費
千円
赤字法人割合
%
流動比率
%
純資産比率
%
借入金比率
%
債務償還年数
年
が感染症法上の 5 類に移行したことに伴って、
医療機関に対し交付された病床確保料等の補助
金(以下「コロナ補助金」という。
)が縮小・終
了したことが影響していると考えられる。赤字
法人割合1をみても 38.2%まで拡大しており、経
営状況の悪化がみてとれる。
そこで、経営悪化の要因について、収益に関
する指標からみると、2023 年度の従事者 1 人当
たり事業収益は 9,656 千円となり、2022 年度か
ら 25 千円の微増にとどまった。
一方で、費用面について、従事者 1 人当たり
1.2
人件費は 66 千円上昇しており、事業収益対人件
2022
2023
261.9
56.8
13.1
2.7
22.4
4.5
0.4
3.5
9,630
5,474
32.6
217.6
34.6
59.9
6.0
261.5
57.4
13.4
2.8
22.5
4.6
△ 0.8
1.0
9,656
5,540
38.2
206.6
34.9
58.6
8.7
差(20232022)
△ 0.4
0.5
0.3
0.1
0.1
0.1
△ 1.1
△ 2.5
25
66
5.6
△ 11.0
0.3
△ 1.3
2.7
黒字・赤字推移別比較
赤字転落法人は病院主体法人が多く、コロナ
補助金の縮小・終了の影響を大きく受けたか
費率(以下「人件費率」
という。
)
は 57.4%と 2022
年度から 0.5 ポイント上昇した。くわえて、昨
今の世界情勢や原材料価格の高騰、さらには急
前節では、2023 年度の経営状況は、事業利益
1 経常利益が 0 円未満を赤字とした
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