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委員提出資料 (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000195428_00053.html |
出典情報 | 社会保障審議会 障害者部会(第127回 4/18)《厚生労働省》 |
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の機会を得ることができるようになること、病院が再発防止策を講じることによって、虐待
が起こらない質の高い医療を提供することができるようになることです。通報義務は、虐待
した職員や病院を懲らしめるためのものではなく、被害者、加害者双方を救うために意義あ
るものと考えます。
3.精神保健福祉法に通報義務を定めるべきとする理由
前述の通り、精神科病院における虐待の通報を法律に義務付けることについて、多くの関
係者の意見は一致していると思います。ただし、障害者虐待防止法で定めるべきという意見
と、精神保健福祉法に定めるべきという意見に分かれているように思います。
この課題を考えるにあたり、通報・届出がなされた場合、速やかに事実確認等の初動対応
が行われることが必要であること、その点において、市町村の障害福祉担当部局では、通報・
届出の対象である精神科医療機関・患者の双方の情報等に乏しく、適切な初動対応が困難で
あること、せっかく為された通報・届出が適切に対応されるためには、やはり適切な対応を
なし得る保健所(都道府県)に通報がなされる仕組みが必要であることをまず念頭に置き考
えました。当学会は、より迅速な対応を重視する立場から精神保健福祉法に虐待の通報義務
を定めることが必要であると考えます。
以下、その理由の詳細を述べます。
(1)虐待通報の聞き取りや事実確認調査の対応力が期待できる
障害者虐待防止法では、通報先が市町村となっています。厚生労働省が公表した令和 2 年
度障害者虐待対応状況調査報告書によれば、過去 5 年間の障害者福祉施設従事者等による
障害者虐待において、通報に対する事実確認調査の実施率は全国平均 84%でしたが、都道
府県別では最高 94%から最低 65%までの開きがありました。また、相談・通報件数に対す
る虐待判断件数の割合は全国平均23%で、都道府県別では最高31%から最低 8%までの
開きがありました。これは、自治体による障害者虐待への対応力の差が現れているものと考
えられ、障害者虐待対応における課題となっています。
精神科病院への対応においては、指定市以外の市町村にとって、障害者福祉施設等に対す
るものよりもさらに実務的な経験の機会が少ないため、対応力の差が大きくなることが懸
念されます。
一方、精神保健福祉法に通報義務を定めた場合、都道府県や指定市の保健所を通報先に位
置づけることになると思われます。令和 2 年の神戸市にある精神科病院での虐待に基づい
て神戸市が行なった対応においても、保健所が精神科病院の虐待通報先として示されてお
り、保健所に配置されている精神保健福祉相談員や保健師などの専門職が通報者から聞き
取りを行ない、通報先の精神科病院に対して迅速な事実確認調査を行なうことが期待でき
ます。
(2)専門分野の虐待通報は専門機関に寄せられる傾向がある
障害者虐待防止法では、使用者による障害者虐待の通報先は、市町村又は都道府県とされ、
が起こらない質の高い医療を提供することができるようになることです。通報義務は、虐待
した職員や病院を懲らしめるためのものではなく、被害者、加害者双方を救うために意義あ
るものと考えます。
3.精神保健福祉法に通報義務を定めるべきとする理由
前述の通り、精神科病院における虐待の通報を法律に義務付けることについて、多くの関
係者の意見は一致していると思います。ただし、障害者虐待防止法で定めるべきという意見
と、精神保健福祉法に定めるべきという意見に分かれているように思います。
この課題を考えるにあたり、通報・届出がなされた場合、速やかに事実確認等の初動対応
が行われることが必要であること、その点において、市町村の障害福祉担当部局では、通報・
届出の対象である精神科医療機関・患者の双方の情報等に乏しく、適切な初動対応が困難で
あること、せっかく為された通報・届出が適切に対応されるためには、やはり適切な対応を
なし得る保健所(都道府県)に通報がなされる仕組みが必要であることをまず念頭に置き考
えました。当学会は、より迅速な対応を重視する立場から精神保健福祉法に虐待の通報義務
を定めることが必要であると考えます。
以下、その理由の詳細を述べます。
(1)虐待通報の聞き取りや事実確認調査の対応力が期待できる
障害者虐待防止法では、通報先が市町村となっています。厚生労働省が公表した令和 2 年
度障害者虐待対応状況調査報告書によれば、過去 5 年間の障害者福祉施設従事者等による
障害者虐待において、通報に対する事実確認調査の実施率は全国平均 84%でしたが、都道
府県別では最高 94%から最低 65%までの開きがありました。また、相談・通報件数に対す
る虐待判断件数の割合は全国平均23%で、都道府県別では最高31%から最低 8%までの
開きがありました。これは、自治体による障害者虐待への対応力の差が現れているものと考
えられ、障害者虐待対応における課題となっています。
精神科病院への対応においては、指定市以外の市町村にとって、障害者福祉施設等に対す
るものよりもさらに実務的な経験の機会が少ないため、対応力の差が大きくなることが懸
念されます。
一方、精神保健福祉法に通報義務を定めた場合、都道府県や指定市の保健所を通報先に位
置づけることになると思われます。令和 2 年の神戸市にある精神科病院での虐待に基づい
て神戸市が行なった対応においても、保健所が精神科病院の虐待通報先として示されてお
り、保健所に配置されている精神保健福祉相談員や保健師などの専門職が通報者から聞き
取りを行ない、通報先の精神科病院に対して迅速な事実確認調査を行なうことが期待でき
ます。
(2)専門分野の虐待通報は専門機関に寄せられる傾向がある
障害者虐待防止法では、使用者による障害者虐待の通報先は、市町村又は都道府県とされ、