よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


委員提出資料 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000195428_00053.html
出典情報 社会保障審議会 障害者部会(第127回  4/18)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

体拘束の最小化という重要課題が挙げられています。障害者虐待の身体的虐待には、正当な
理由のない身体拘束が定義として定められています。
精神保健福祉法に通報義務を定めた場合、隔離・身体拘束の最小化が適切に果たされてい
るかを点検する意味でも、通報義務は重要な役割を果たすものと考えます。
(5)認知症治療病棟の通報義務への対応
精神科医療機関には、精神科病院とともに認知症治療病棟があります。神戸市の精神科病
院においても、虐待にあったのは高齢の患者でした。入院患者に占める認知症患者の割合も
高まっています。疾患や年齢を網羅した通報義務を定めるためにも、精神保健福祉法に通報
義務を定めることが適切であると考えます。仮に精神科病院への通報義務を、障害者虐待防
止法の改正で定めた場合、65歳以上の認知症患者が多く入院する認知症治療病棟の虐待
行為に関する通報は、虐待対応の複雑化が懸念されます。精神保健福祉法により一元的に対
応することが必要であると考えます。
(6)行政の権限行使は精神保健福祉法に基づいて行なう
通報後の調査で虐待の事実が確認された場合、その精神科病院に対する権限行使は精神
保健福祉法に基づいて行なわれます。通報義務を障害者虐待防止法に定めた場合でも、精神
保健福祉法に定めた場合でも、法に基づく立入調査を含めた権限行使は精神保健福祉法に
基づき行なわれることになります。 従って、通報の受理から事実確認調査までの対応にお
いて、専門職の対応力や、迅速な対応が期待できる方策を考えることが求められます。
(7)障害者虐待防止法の改正には時間がかかる
障害者虐待防止法に精神科病院の通報義務を定めようとする場合、障害者虐待防止法附
則2条に基づいて法改正することになります。附則2条は、次のように定められています。
(検討)
第二条 政府は、学校、保育所等、医療機関、官公署等における障害者に対する虐待の防止
等の体制の在り方並びに障害者の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、
障害者を訪問して相談等を行う体制の充実強化その他の障害者虐待の防止、障害者虐待
を受けた障害者の保護及び自立の支援、養護者に対する支援等のための制度について、こ
の法律の施行後三年を目途として、児童虐待、高齢者虐待、配偶者からの暴力等の防止等
に関する法制度全般の見直しの状況を踏まえ、この法律の施行状況等を勘案して検討を
加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附則2条で求められているのは「学校、保育所等、医療機関、官公署等における」虐待の
通報義務のあり方です。精神科病院だけではなく、一般病院も含め幅広く医療機関における
虐待通報のあり方を検討することになります。さらに、学校、保育所等、官公署等に検討の
範囲が及ぶため、関係機関や関係省庁との調整に時間を要することが想定されます。
今も起きているかもしれない虐待事案に対して、1日も早く通報義務を法律に定め、潜在
化している虐待を顕在化し、被害者を救済し、責任を明らかにした上で、再発防止策を講じ