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資料2-2 第133回先進医療技術審査部会の指摘事項に対する回答 (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26038.html |
出典情報 | 先進医療会議 先進医療技術審査部会(第135回 6/16)《厚生労働省》 |
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第 133 回先進医療技術審査部会からの指摘事項(総括報告書)
先進医療技術名: 内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術
2022 年 6 月 6 日
所属・氏名: 東京医科大学 井坂惠一
※照会に伴い変更が生じた場合は、関係書類も併せて修正してください。
1.事前照会事項2-1に対する回答において、登録症例数の多い4施設における比較表を
お示しいただきましたが、再発率、平均手術時間、出血量に大きな差があります。このよう
な施設間差等についても含めた、本医療技術の標準化・均てん化に向けた観点からの考
察を追記してください。
【回答】
施設間差および均てん化に関するご指摘ありがとうございます。
再発率に関しては、今回各施設間において症例の選択に大きな差があり、これが主な
要因と考えられます。子宮頸がんの臨床進行期分類は、先進医療試験当時の日産婦 2011
(FIGO2008)版から現行の日産婦 2022(FIGO2018)版へと変わりました。本回答では
現行の進行期を用いて説明いたしますが、以前の日産婦 2011 で IB1 期(長径 4 ㎝以下)
であったものは日産婦 2022 では IB1 期(長径 2 ㎝以下)と IB2 期(長径 4 ㎝以下)に
細分類され、以前の IB2 期(長径 4 ㎝を超える)は IB3 期(長径 4 ㎝を超える)と呼
ばれるようになった点のみが、以下の解説に関わる変更点です。
今回、本試験において再発が認められたのは、IB3 期以上の症例がほとんどであり、
IB3 期以上の症例を多く扱った施設の再発率が必然的に高くなっています(表1)。広
汎子宮全摘術は 1921 年に京都大学の岡林秀一先生が岡林術式を確立され、その後本邦
では IB3 期のような bulky な癌や 2B 期のような子宮外に進展した癌に対しても長い間
治療の第一選択とされてきました。しかし、このような症例に対しては手術単独では開
腹術でも再発率が高いため広汎子宮全摘術後に補助的放射線治療がされるケースがほ
とんどですが、術後に放射線治療を加えることにより腸閉塞等の重篤な副作用がおこ
ることがあるため、欧米のガイドラインでは、IB3 や IIB期に対する標準的治療は、広
汎子宮全摘術ではなく、CCRT とされています。本邦でも IB3 や IIB 期症例に対し、広
汎子宮全摘術の代わりに CCRT を第一選択とする施設が近年増加してきています。
一方で、IB2 期以下の再発に関しては、施設 D において 14.3%(21 例中 3 例)の再発
率をみました(1 例は N1 があり 3C1 となるため削除しました)。この再発した 3 例はす
べてリンパ管侵襲(+)ですので、再発の中リスクで本来なら術後補助治療を行います
が、2 例において追加治療を拒否されたケースです。また、観察期間が他施設に比べ長
い(1例は術後 49 ヶ月目に再発)ことも要因の一つとして考えられます。現在、保険
収載術式となっている腹腔鏡下広汎子宮全摘出術は学会(日本産科婦人科学会)が示す
指針(日産婦 2022 の IA2・IB1・IIA1 期を超えない)を遵守することとなっています
先進医療技術名: 内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術
2022 年 6 月 6 日
所属・氏名: 東京医科大学 井坂惠一
※照会に伴い変更が生じた場合は、関係書類も併せて修正してください。
1.事前照会事項2-1に対する回答において、登録症例数の多い4施設における比較表を
お示しいただきましたが、再発率、平均手術時間、出血量に大きな差があります。このよう
な施設間差等についても含めた、本医療技術の標準化・均てん化に向けた観点からの考
察を追記してください。
【回答】
施設間差および均てん化に関するご指摘ありがとうございます。
再発率に関しては、今回各施設間において症例の選択に大きな差があり、これが主な
要因と考えられます。子宮頸がんの臨床進行期分類は、先進医療試験当時の日産婦 2011
(FIGO2008)版から現行の日産婦 2022(FIGO2018)版へと変わりました。本回答では
現行の進行期を用いて説明いたしますが、以前の日産婦 2011 で IB1 期(長径 4 ㎝以下)
であったものは日産婦 2022 では IB1 期(長径 2 ㎝以下)と IB2 期(長径 4 ㎝以下)に
細分類され、以前の IB2 期(長径 4 ㎝を超える)は IB3 期(長径 4 ㎝を超える)と呼
ばれるようになった点のみが、以下の解説に関わる変更点です。
今回、本試験において再発が認められたのは、IB3 期以上の症例がほとんどであり、
IB3 期以上の症例を多く扱った施設の再発率が必然的に高くなっています(表1)。広
汎子宮全摘術は 1921 年に京都大学の岡林秀一先生が岡林術式を確立され、その後本邦
では IB3 期のような bulky な癌や 2B 期のような子宮外に進展した癌に対しても長い間
治療の第一選択とされてきました。しかし、このような症例に対しては手術単独では開
腹術でも再発率が高いため広汎子宮全摘術後に補助的放射線治療がされるケースがほ
とんどですが、術後に放射線治療を加えることにより腸閉塞等の重篤な副作用がおこ
ることがあるため、欧米のガイドラインでは、IB3 や IIB期に対する標準的治療は、広
汎子宮全摘術ではなく、CCRT とされています。本邦でも IB3 や IIB 期症例に対し、広
汎子宮全摘術の代わりに CCRT を第一選択とする施設が近年増加してきています。
一方で、IB2 期以下の再発に関しては、施設 D において 14.3%(21 例中 3 例)の再発
率をみました(1 例は N1 があり 3C1 となるため削除しました)。この再発した 3 例はす
べてリンパ管侵襲(+)ですので、再発の中リスクで本来なら術後補助治療を行います
が、2 例において追加治療を拒否されたケースです。また、観察期間が他施設に比べ長
い(1例は術後 49 ヶ月目に再発)ことも要因の一つとして考えられます。現在、保険
収載術式となっている腹腔鏡下広汎子宮全摘出術は学会(日本産科婦人科学会)が示す
指針(日産婦 2022 の IA2・IB1・IIA1 期を超えない)を遵守することとなっています