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資料3-10 古瀬先生提出資料 (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第99回 9/14)《厚生労働省》
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第99回(令和4年9月14日)
新型コロナウイルス感染症対策
アドバイザリーボード

資料3-10

古瀬先生提出資料

COVID-19 パンデミックの出口戦略における抗ウイルス薬の役割
2022 年 9 月 14 日
押谷仁、河岡義裕、舘田一博、古瀬祐気、脇田隆字
COVID-19 パンデミックからの脱却のためには、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に
対する集団レベルでの免疫の獲得が必要であると考えられる (1)。ここで「集団レベルでの
免疫の獲得」とは、英語で“herd immunity”と呼ばれる「集団内において感染を防御する免
疫を持つ人の割合が、流行収束を達成するために必要な閾値を超えた状態」のことではなく、
「感染を防ぐことができる、もしくは感染しても重症化したり死亡したりするリスクが十
分に低くなるような免疫を多くの人が獲得した結果、罹患率や重症化率・死亡率が低下し、
たとえ流行が起こっても医療の提供体制が逼迫せず社会機能が維持できる状態」を指す。
私たちは、SARS-CoV-2 に自然感染するか、あるいは COVID-19 ワクチンを接種するか
のどちらかもしくは両方によって新型コロナウイルスへの免疫を得ることができる。しか
しながら、自然感染による免疫獲得には重症化、死亡、長期的な後遺症のリスクを伴う。さ
らに、爆発的な感染拡大を許してしまうと医療の提供体制が逼迫してしまうことはこれま
でにも経験してきたとおりであるし、社会機能の維持にも支障がでかねない。
そのため、COVID-19 のリスクを抑えつつ集団レベルでの免疫を高めていくことがパン
デミックに対する出口戦略として求められる。本提言では、この戦略において抗ウイルス薬
が重要な役割を果たす可能性について述べる。
これまでに知られている一般的なヒトの呼吸器感染症ウイルスに対しては、個人が複数
回の感染を経験することで集団レベルでの免疫を獲得してきた。ほぼすべての子供は、10
歳までに RS ウイルスやヒトメタニューモウイルスといった一般的なヒト呼吸器感染症ウ
イルスに少なくとも 1 回は感染する。その後も、獲得した免疫の減衰やウイルスの抗原性
の変化によって一生涯にわたってこれらのウイルスの再感染が起こる。しかし、繰り返しの
感染は再感染を完全には防がないまでも重症化を抑制するような免疫細胞の応答と記憶を
誘導するため、高齢者や免疫不全のある人を除くと、多くの場合再感染による症状は軽度と
なる。
現在普遍的に存在するヒト呼吸器感染症ウイルスの中にも、かつてはパンデミックを引
き起こしたウイルスがある。例として、1918 年・1957 年・1968 年・2009 年にパンデミッ
クを引き起こしたインフルエンザウイルスが挙げられる。自然感染やワクチン接種によっ
て集団レベルでの免疫が獲得されることに伴って、以前のパンデミックウイルスは一般的