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資料3-10 古瀬先生提出資料 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第99回 9/14)《厚生労働省》
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な呼吸器感染症ウイルスとなった。
新型コロナウイルスについても、同様の経過を辿ることが予想される。すなわち、長期的
には集団レベルでの免疫の獲得によって罹患率や死亡率がある程度抑えられ、生涯にわた
って再感染を繰り返し起こすような一般的な呼吸器感染症ウイルスになっていくだろうと
ということである。
2022 年 3 月までに 110 億回以上の COVID-19 ワクチン接種が行われたが、世界人口の
3 分の 1 はいまだにワクチンを接種できていない (2)。血清疫学調査のメタアナリシスによ
ると、ワクチン接種と自然感染の両方を反映した世界的な血清有病率(seroprevalence)は
2021 年 9 月には 59.2%であった。その後、国によって差が大きかったりデータの不足して
いるところもあるが、オミクロン株の流行によって多くの国において血清有病率は 80%以
上まで上昇している (3)。
しかしながら、広範囲に反応する(broadly reactive)B 細胞および T 細胞の免疫応答の
誘導には、異なるウイルス株の抗原に複数回曝露することが必要であると考えられている
が、ほとんどの人はまだそれを経験していない。感染者の重症化や全体の超過死亡を抑えな
がらこれを達成するにはどうしたらいいだろうか。
ワクチン接種は今後も重要である。今秋から供給が開始されるオミクロン株由来の抗原
(遺伝子情報)を用いたワクチンは、同株に対する免疫反応を増強し、さらに広範囲な変異
株に反応するより質の高い免疫の獲得にも貢献すると期待される。また、ワクチン接種によ
ってある程度の免疫がある状態でウイルスに自然感染した場合は、さらに反応性が高く広
域の免疫が得られるとする研究も報告されている (4,5)。
しかし、世界中の人が複数の SARS-CoV-2 変異株に対するワクチン接種をすぐに受ける
ことは困難である。自然感染は今後も発生し続けるが、それによって結果として集団レベル
での免疫は上昇していく。ただし、自然感染には重症化や後遺症のリスクが伴うことを忘れ
てはならない。
我々は、パンデミックからの出口戦略において、抗ウイルス薬が集団レベルでの免疫を構
築しながら重症化を軽減するために重要な役割を担う可能性があると考えている。
SARS-CoV-2 に対する抗ウイルス薬であるレムデシビル(ベクルリー)は、静脈内投与で
あるため外来診療での使用に限度がある。モルヌピラビル(ラゲブリオ)とニルマトレルビ
ル/リトナビル(パキロビッド)は、高リスクの患者において COVID-19 関連の入院または