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石田委員 提出資料 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29318.html
出典情報 社会保障審議会 介護保険部会(第103回 11/28)《厚生労働省》
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(2)「一定以上所得」の判断基準
「経済財政運営と改革の基本方針 2022」に挙げられていた「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心
というこれまでの社会保障の構造を見直し、現役世代の負担上昇を抑制しつつ、後期高齢者医療制度の
保険料賦課限度額の引き上げを含み、負担能力に応じた負担の在り方を検討していく」という文言につ
いては、高齢者も医療保険料や介護保険料を負担しており、こうした表現はいたずらに世代間の対立を
あおってしまう結果を引き起こしかねないという意見を述べたところです。しかし、今回の制度改定に
ついては、高齢者からの負担をどれだけ引き上げるかが焦点になっていることは明らかです。
とくに「一定以上所得」の判断基準というところが焦点になります。介護サービス利用料の自己負担分
は全員が原則1割であったところ、制度改定により 2015 年8月から「一定以上所得がある」として 2 割
負担になる人が決められました。対象となるのは、単身高齢者の場合で前年の年金収入とその他の合計
所得金額の合計が 280 万円以上、夫婦など 2 人以上の世帯は合計で 346 万円以上の人です。さらに、2018
年 8 月からは 2 割負担に加えて「現役並み所得がある」として 3 割負担の人が決められ、対象となるの
は、単身で前年の年金収入とその他の合計所得金額の合計が 340 万円以上、2 人以上の世帯では 463 万
円以上の人となっています。
いっぽう、今年の 10 月から後期高齢者医療制度の患者 2 割負担となる人の判断基準が、後期高齢者の
所得上位 3 割となりました。所得上位 3 割とは、1 年の合計所得金額が単身で 200 万円、夫婦など二人
の場合で 320 万円以上の人を指しています。ちなみに、前述した介護保険のサービス利用 2 負担の場合
は上位 2 割の人たちを指しています。
分かりやすく計算した数字で見ると、年間 280 万円の所得を 12 で割れば1ヶ月 23 万 3 千円ですが、
200 万円では 16 万 7 千円となり、1 か月 6 万 6 千円もの差が生じます。年金を中心とした高齢者の生活
において 1 か月 6 万 6 千円の金額差がどれだけ大きいかは、当事者でなくとも想像がつくはずです。
現在、物価が高騰し続けており、私たちの日常生活を直撃しています。日々の暮らしの維持に加えて、
医療ニーズが高まり、介護サービスの必要性も加わってくる高齢者について、「一定以上の所得がある」
と判断するラインはどこにあるのか、このラインは、まさにデッドラインといっていいと思います。
介護保険は、高齢者の生活の安心を保障するためにできた制度です。高齢者の生活を脅かすものであっ
てはならないはずです。1年間を 200 万円で生活している単身高齢者が「一定以上所得がある」と言え
るのかどうか、また、これを通すことで介護保険サービスの利用を諦めてしまう人が出てくるようであ
れば、介護保険制度は大きく後退してしまうと言わざるを得ません。
そのようなことがないように、現実の高齢者の生活実態をしっかり把握したうえで「一定以上所得」の
判断をしていただきたく、お願い申し上げます。

(以上)