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資料3-3 西浦先生提出資料 (220 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第72回 2/16)《厚生労働省》
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である。英国における時系列パターンは、世界における SARS-CoV-2 の疫学動態が落ち着
くまでの間は一時的なものでしかない。国際的な疫学動態の落ち着きは、予防接種の使用や
国際移動の回復に多いに依存するだろうが、10 年単位の時間を要するのかも知れない。
5.未だ、免疫による防御能の失活に関する理解は限られたものでしかない。例えば、失活
に要する精密な半減期や防御能力の減少の程度、感染予防と重症化予防の違い等は部分的
にのみ明らかにされており、時間をかけつつ今後得られるデータや新たな変異株の出現に
伴うデータを検討する必要がある。かかるパラメータは自然感染だけ経験した者と感染と
予防接種の両方を経験した者、予防接種だけした者、複数回自然感染した者(特に異なる株
に暴露された者)で異なると思われ、どのワクチンを利用したのかにも影響を受けるだろう。
しかし、より短期的には、最近の集団でのブースター接種を経て、失活のタイミングは人口
内で極めて同期して起こるかも知れず、今後の流行の波のタイミングに影響を及ぼすかも
知れない。失活がより同期していると、より大きな波が起こる潜在性が増すことになる。
6.SARS-CoV-2 が流行を起こし得るような、感受性を有する者の人口内の分布は今後数年
間を通じて決まっていくだろう。感受性集団のプールは抗原性の進化(つまり、新しいウイ
ルス株の発生)を通じて増加し、また、自然獲得免疫やワクチン誘導免疫の失活によっても
起こる。これは年齢によって異なる可能性が高く、高齢者が免疫能を失うことが特に懸念さ
れる。人口によって異なる予防接種戦略を取ることは、どのグループが伝播を経験するのか
に影響を与える;例えば全ての成人が予防接種を受けると、感染は自然に子どもで優位にみ
られるだろう。一方、高齢者や基礎疾患保持者などだけを接種すると、感染者は他者との交
わりや接触が多い未接種の年齢群(子どもや若年成人)が主体となって見られるだろう。小
児の大規模接種が継続されたとしても、伝播に対しては小さな影響を与えるだろうし、学校
休暇は感染者数を減らす影響はより小さいものにとどまるだろう。
7.英国において Alpha 株と Omicron 株の両方の波は年末に起こったが、内因メカニズム
としての季節性というよりも、その当時のそれら変異株が個々に有していた優位性の結果
として流行が拡大した。他方、英国の Delta 株は、非医学的対策が長期間にわたって実施さ
れ人口内での予防接種拡大が進む中で春に起こった。しかし、職場や学校で休暇となって屋
内での蜜な接触機会が奪われることにも伴って夏期に伝播が減少した。この内因的な季節
性が意味するのは、伝播には自然な振動を伴い、それによって(他の呼吸器系ウイルスに見
られるように)夏よりも秋や冬に流行が起こりやすいことに繋がっているのかも知れない。
1 つの季節を通じて起こる感染動態は、同じパターンを再び繰り返すことにも影響するのか
も知れない。そのような波の自然なリズムが安定するには時間を要するだろう。そのような
季節性は今後数年の未来における流行の主要な決定要因とはならないだろう。むしろ、毎年
の大規模な人口を対象とした予防接種や、世界規模で拡大する新規変異株が中期的にはよ
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