よむ、つかう、まなぶ。
聴力が低下した地域在住高齢者の孤独感が要介護状態の新規発生と関連することを明らかにしました 本文 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.jst.go.jp/pr/announce/20230410/index.html |
出典情報 | 聴力が低下した地域在住高齢者の孤独感が要介護状態の新規発生と関連することを明らかにしました(4/10)《国立長寿医療研究センター》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
国立研究開発法人
国立長寿医療研究センター
National Center for Geriatrics and Gerontology
Geriatrics and Gerontology–Study of Geriatric Syndromes:NCGG–SGS) に参加した、
愛知県東海市在住の 65 歳以上の高齢者 5,563 名を対象に、聴力低下の有無により層別化
し、孤独感と要介護状態の新規発生との関連を縦断的に分析しました。
孤 独 感 を 「 UCLA 孤 独 感 尺 度 : 第 3 版 ( University of California, Los Angeles
Loneliness Scale)」という質問項目で尋ね、聴力低下は、難聴高齢者のハンディキャッ
プスクリーニング検査(Hearing Handicap Inventory for Elderly-Screening : HHIE-S)
で評価しました。本研究の参加基準を満たした対象者 4,739 名のうち、947 名(20.0%)
に HHIE-S 9 点以上と聴力低下が見られました。要介護状態の新規発生は、聴力低下のない
群では 4.5%であったのに対し、聴力低下のある群では 8.3%と、新規発生率の割合が、χ
2
検定にて有意に高いことが示されました(χ2 値 = 21.9, p < 0.05)。
孤独感の有無を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析の結果、対象者全体(4,739
名)では、男性、教育年数が少ない、現在は仕事をしていない、一人暮らしである、運動
習慣がない、難聴の重症度が高い、うつ傾向といった特徴のある人が、孤独を感じやすい
ことが示唆されました(表1)。
表1. 二項ロジスティック回帰分析における孤独感と潜在的な交絡因子との関連
変数
オッズ比 (95%信頼区間)
孤独感との関連の強さ
(赤字の変数は統計的有意性あり)
年齢
0.99 (0.98–1.00)
性別 (男性)
1.77 (1.46–2.14)
Body mass index
1.00 (0.98–1.02)
心疾患有
1.03 (0.87–1.23)
糖尿病有
1.14 (0.94–1.39)
眼疾患有
1.13 (0.99–1.30)
喫煙歴有
0.87 (0.73–1.05)
飲酒習慣有
1.10 (0.96–1.27)
服薬数
1.01 (0.99–1.04)
教育年数
0.91 (0.88–0.94)
教育年数が長いと 0.91 倍
現在の仕事有(収入有)
0.81 (0.69–0.94)
現在の仕事有は 0.81 倍
一人暮らし
1.23 (1.02–1.48)
一人暮らしは 1.23 倍
男性の場合は 1.77 倍
歩行速度
0.77 (0.54–1.09)
運動習慣有
0.77 (0.67–0.88)
運動習慣有は 0.77 倍
難聴の重症度 (HHIE-S, 9 点以上)
1.03 (1.02–1.04)
難聴の重症度が高いと 1.03 倍
うつ症状有 (GDS-15, 6 点以上)
3.89 (3.14–4.82)
うつ症状有は 3.89 倍
認知機能低下有 (MMSE, 23 点以下)
0.95 (0.74–1.22)
要介護状態の新規発生数
1.21 (0.91–1.63)
HHIE-S, Hearing Handicap Inventory for the Elderly-Screening.
GDS-15, Geriatric depression scale 15.
MMSE, Mini Mental State Examination.
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター http://www.ncgg.go.jp
国立長寿医療研究センター
National Center for Geriatrics and Gerontology
Geriatrics and Gerontology–Study of Geriatric Syndromes:NCGG–SGS) に参加した、
愛知県東海市在住の 65 歳以上の高齢者 5,563 名を対象に、聴力低下の有無により層別化
し、孤独感と要介護状態の新規発生との関連を縦断的に分析しました。
孤 独 感 を 「 UCLA 孤 独 感 尺 度 : 第 3 版 ( University of California, Los Angeles
Loneliness Scale)」という質問項目で尋ね、聴力低下は、難聴高齢者のハンディキャッ
プスクリーニング検査(Hearing Handicap Inventory for Elderly-Screening : HHIE-S)
で評価しました。本研究の参加基準を満たした対象者 4,739 名のうち、947 名(20.0%)
に HHIE-S 9 点以上と聴力低下が見られました。要介護状態の新規発生は、聴力低下のない
群では 4.5%であったのに対し、聴力低下のある群では 8.3%と、新規発生率の割合が、χ
2
検定にて有意に高いことが示されました(χ2 値 = 21.9, p < 0.05)。
孤独感の有無を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析の結果、対象者全体(4,739
名)では、男性、教育年数が少ない、現在は仕事をしていない、一人暮らしである、運動
習慣がない、難聴の重症度が高い、うつ傾向といった特徴のある人が、孤独を感じやすい
ことが示唆されました(表1)。
表1. 二項ロジスティック回帰分析における孤独感と潜在的な交絡因子との関連
変数
オッズ比 (95%信頼区間)
孤独感との関連の強さ
(赤字の変数は統計的有意性あり)
年齢
0.99 (0.98–1.00)
性別 (男性)
1.77 (1.46–2.14)
Body mass index
1.00 (0.98–1.02)
心疾患有
1.03 (0.87–1.23)
糖尿病有
1.14 (0.94–1.39)
眼疾患有
1.13 (0.99–1.30)
喫煙歴有
0.87 (0.73–1.05)
飲酒習慣有
1.10 (0.96–1.27)
服薬数
1.01 (0.99–1.04)
教育年数
0.91 (0.88–0.94)
教育年数が長いと 0.91 倍
現在の仕事有(収入有)
0.81 (0.69–0.94)
現在の仕事有は 0.81 倍
一人暮らし
1.23 (1.02–1.48)
一人暮らしは 1.23 倍
男性の場合は 1.77 倍
歩行速度
0.77 (0.54–1.09)
運動習慣有
0.77 (0.67–0.88)
運動習慣有は 0.77 倍
難聴の重症度 (HHIE-S, 9 点以上)
1.03 (1.02–1.04)
難聴の重症度が高いと 1.03 倍
うつ症状有 (GDS-15, 6 点以上)
3.89 (3.14–4.82)
うつ症状有は 3.89 倍
認知機能低下有 (MMSE, 23 点以下)
0.95 (0.74–1.22)
要介護状態の新規発生数
1.21 (0.91–1.63)
HHIE-S, Hearing Handicap Inventory for the Elderly-Screening.
GDS-15, Geriatric depression scale 15.
MMSE, Mini Mental State Examination.
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター http://www.ncgg.go.jp