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AIで早期胃がんの範囲診断が可能に -内視鏡専門医の診断精度に迫る- (3 ページ)

公開元URL https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0606/index.html
出典情報 AIで早期胃がんの範囲診断が可能に-内視鏡専門医の診断精度に迫る-(6/6)《理化学研究所》
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参考資料配付

で予測します。本研究では、予測したい画像を複数に分割してから CNN に入力
し、複数回の予測結果を重ね合わせて予測の高精度化を図っています。具体的に
は、範囲診断したい内視鏡画像を約 1,600 個のブロックに分割し、ブロックご
とでの病変の存在確率を予測します(図 1)。予測結果を重み付け関数[6]に従っ
て重ね合わせることよって、各画素の予測は最大で約 1,600 回となり、予測精
度が大幅に向上しました。ブロック分割数と予測精度は比例する一方で、分割数
と予測時間は反比例することから、将来の検診や日常診療などにおいては、予測
性能とリアルタイム性のどちらを重視するかなど、目的によってブロック数を
決定した上で、予測することが可能です。

図 1 早期胃がんの領域予測のフロー
学習済みの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて、入力画像(内視鏡検査画像)に存在する
早期胃がんの領域予測を実現するフローを示す。入力画像を可変数のブロックに分割し、CNN によってブ
ロックごとの病変の存在確率を予測する。存在確率を重み付け関数に従って元の入力画像に当てはめるこ
とで、1 画素ごとの存在確率が求められる。ヒートマップは、存在確率が 50%以上の画素を病変領域とし
てレインボーカラーで表示したもの。

構築した AI を、学習用データとは別の約 1 年間に収集された連続 137 症例
(がん画像 462 枚、正常画像 396 枚)を使って評価したところ、がん画像 387
枚(83.8%)、正常画像 307 枚(77.5%)で早期胃がんの有無を正しく判定した
ことが分かりました。陽性的中率[7]は 81.3%、陰性的中率[7]は 80.4%でした。症
例ベースでは、130 例(94.9%)で病変の有無を正しく判定しました。また、専
門医が内視鏡検査後の病理診断を参照して作成した正確な範囲診断と、AI によ
る予測領域とを比較したところ、IoU[8]と呼ばれる正解領域と予測領域の一致度
について、その評価指標の一種である mIoU[8]で 66.5%を獲得しました。図 2 は
予測結果の一例を示しています。

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