[改定速報] 診療報酬・介護報酬のマイナス改定を要求 財政審・建議
今回のポイント
●財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会・財政制度分科会は11月29日、「平成30年度予算の編成等に関する建議」をまとめた○2020年度のプライマリーバランス黒字化達成が困難なことが明らかになってから初の予算編成となるため、財政再建に変わらず取り組む姿勢を示す意味でも、一般歳出の伸びを5,300億円以下、うち社会保障費の伸びを5,000億円以下に抑える必要があると強調
○診療報酬については2%半ばのマイナス改定を要求。さらに診療報酬本体は、物価・賃金の水準よりも高水準にあるとして本体もマイナス改定とすべきと主張。介護報酬についても、介護職員の処遇改善目的で実施した2017年度臨時改定のプラス影響を抑制うる観点から、一定程度のマイナス改定とすることが適当との認識を表明
財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会・財政制度分科会は11月29日、「平成30年度(2018年度)予算の編成等に関する建議」をまとめた。2018年度は、少子化対策への支出拡大で2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化達成が困難になることが明らかになって初めての予算編成であることから、財政再建に取り組む方針に変わりがないことを明示するためにも、「一般歳出の伸びを5,300億円以下、そのうち社会保障関係費の伸びを5,000億円以下に抑えることが求められるのは言うまでもない」と主張(参照)。診療報酬については2%半ばのマイナス改定、介護報酬についても一定程度のマイナス改定が適当との認識を示した(参照)(参照)。
診療報酬改定率の考え方では、医療費は診療行為と診療報酬単価を掛け合わせたものだが、診療行為は人口の高齢化に伴う増加が避けられないことから、国民負担の増加を抑制するには、診療報酬単価を抑制していくべきと指摘。医療費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に収めるためには、「2年に1回の診療報酬改定で2%半ば以上のマイナス改定が必要」とした。診療報酬は医療機関の経営原資の側面もあるが、建議は診療報酬本体の水準は、累次の診療報酬改定で「概ね上昇を続けてきた」との見方を表明。その結果、診療報酬本体は賃金や物価の水準に比べて高い水準になっていると問題視し、「国民負担の抑制や制度の持続可能性の観点から、診療報酬本体についてもマイナス改定が必要」と主張した(参照)。
個別課題では、【7対1入院基本料】について、算定にあたっては「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合が25%以上であることが求められるものの、残り75%の患者の状態はとくに問われず、評価項目に1つも該当しない患者も存在すると指摘。必ずしも重症度や看護必要度が高くない患者が急性期病床に入院している可能性があるほか、算定病床数の地域差も大きいことから、「今後どの程度病床数を適正化していくのか見通しを示した上で、これに向けて重症度、医療・看護必要度など算定要件の一層の厳格化を行うべき」とした(参照)。
介護報酬については、介護人材の処遇改善を目的とした2017年度臨時改定でのプラスの影響を2018年度改定では極力抑えていく必要があるとし、「2018年度単年度だけを見れば、一定程度のマイナス改定とすることが適当」と述べた(参照)。
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