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感染症週報 2023年第28週(7月10日-7月16日) (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2023.html |
出典情報 | 感染症週報 2023年第28週(7月10日-7月16日)(7/28)《国立感染症研究所》 |
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Infectious Diseases Weekly Report Japan
2023年 第28週
(7月10日〜 7月16日)
:通巻第25巻 第28号
注目すべき感染症
◆ヘルパンギーナ・RSウイルス感染症
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス
性咽頭炎であり、乳幼児を中心に夏季に流行する。いわゆる夏かぜの代表的疾患であり、通常
は5月頃より流行し始め、7月頃にかけてピークを形成し、8月頃から減少を始め、9〜10月に
かけてほとんど見られなくなる。ヘルパンギーナの大多数はエンテロウイルス属に属するウイル
スに起因し、主にコクサッキーウイルスA群(CA)である場合が多いが、コクサッキーウイルスB
群やエコーウイルスが原因となる場合もある。臨床症状は感染から2〜4日の潜伏期間の後に、
突然の発熱に続いて咽頭痛が出現し、口腔内に小水疱が出現する。発熱時に熱性けいれんな
どを伴うことがある。ほとんどは予後良好であるが、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを
合併することがある。感染経路は主に経口(糞口)感染、接触感染、飛沫感染である。
ヘルパンギーナは、感染症発生動向調査の小児科定点把握の 5 類感染症であり、全国約
3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週報告されている。2020年、2021年、2022年の累積報
告数は 2017 ~ 2019 年の平均(平均報告数:94,139)を大きく下回った(2020 年:25,292、
2021年:37,417、2022年:38,011)。例年、第30週頃に定点当たり報告数のピークがあったが、
2020年、2021年、2022年は年間を通して各週の定点当たり報告数は小さく、ピークは遅かった
(2020年:第32週、2021年:第42週、2022年:第35週)。一方、2023年第28週現在の累積報
告数(125,842)は、2017~2019年の累積報告数の平均を大きく上回っており、第4~28週の各
週の定点当たり報告数は、過去10年の当該週の定点当たり報告数を上回っている。2023年第
10~27週では、第18週を除いて、毎週、前週の定点当たり報告数を上回り、2023年第27週の
定点当たり報告数(7.32)は過去10年間の各週における定点当たり報告数の中で最大であった。
第28週の定点当たり報告数(6.86)は前週より減少したものの、依然として高い水準で推移して
いる。
2023年第28週現在、東日本から報告が多く、上位5都道府県は、宮城県(20.62)、岩手県
(18.50)、山形県(13.64)、北海道(12.24)、長野県(12.06)であった。第27週までの直近5週間の
定点当たり報告数上位5位の都道府県は以下であった。
第23週:宮崎県(10.67)、和歌山県(7.10)、愛媛県(6.14)、大分県(6.06)、鹿児島県(5.94)
第24週:和歌山県(10.50)、宮崎県(10.06)、鹿児島県(9.94)、静岡県(8.85)、愛媛県(8.00)
第25週:宮城県(14.00)、鹿児島県(12.25)、静岡県(10.12)、三重県(9.82)、和歌山県(9.47)
第26週:宮城県(15.85)、三重県(12.38)、鹿児島県(11.00)、群馬県(10.06)、岩手県(9.43)
第27週:宮城県(23.20)、岩手県(14.70)、三重県(12.47)、新潟県(11.78)、群馬県(11.65)
2023年第1〜28週までの累積報告数(125,842)では、例年と同様に男性(52.1%)が女性に比
べてやや多かった。一方、年齢分布は例年とは異なる傾向がみられた。年齢(群)
別では、1歳が
20.7%(男性:52.6%)と最も多く、次に2歳が19.2%(男性:50.8%)、3歳が16.7%(男性:
51.7%)、4歳が14.8%(男性:52.3%)、6歳以上が11.8%(男性:52.3%)、5歳が10.8%(男性:
53.0%)、0歳が6.0%(男性:52.7%)の順であった。2017~2022年のそれぞれの年齢(群)別と比
べると、2023年は3歳、4歳、5歳の割合は増加し、0歳、1歳の割合は減少した。5歳以下が占
める割合は2023年は88.2%と低かった(2017年:91.4%、2018年:91.5%、2019年:92.5%)。
2017〜2022年各年の第1〜28週における累積報告数
(n)の年齢分布の概要は以下であった。
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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2023年 第28週
(7月10日〜 7月16日)
:通巻第25巻 第28号
注目すべき感染症
◆ヘルパンギーナ・RSウイルス感染症
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス
性咽頭炎であり、乳幼児を中心に夏季に流行する。いわゆる夏かぜの代表的疾患であり、通常
は5月頃より流行し始め、7月頃にかけてピークを形成し、8月頃から減少を始め、9〜10月に
かけてほとんど見られなくなる。ヘルパンギーナの大多数はエンテロウイルス属に属するウイル
スに起因し、主にコクサッキーウイルスA群(CA)である場合が多いが、コクサッキーウイルスB
群やエコーウイルスが原因となる場合もある。臨床症状は感染から2〜4日の潜伏期間の後に、
突然の発熱に続いて咽頭痛が出現し、口腔内に小水疱が出現する。発熱時に熱性けいれんな
どを伴うことがある。ほとんどは予後良好であるが、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを
合併することがある。感染経路は主に経口(糞口)感染、接触感染、飛沫感染である。
ヘルパンギーナは、感染症発生動向調査の小児科定点把握の 5 類感染症であり、全国約
3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週報告されている。2020年、2021年、2022年の累積報
告数は 2017 ~ 2019 年の平均(平均報告数:94,139)を大きく下回った(2020 年:25,292、
2021年:37,417、2022年:38,011)。例年、第30週頃に定点当たり報告数のピークがあったが、
2020年、2021年、2022年は年間を通して各週の定点当たり報告数は小さく、ピークは遅かった
(2020年:第32週、2021年:第42週、2022年:第35週)。一方、2023年第28週現在の累積報
告数(125,842)は、2017~2019年の累積報告数の平均を大きく上回っており、第4~28週の各
週の定点当たり報告数は、過去10年の当該週の定点当たり報告数を上回っている。2023年第
10~27週では、第18週を除いて、毎週、前週の定点当たり報告数を上回り、2023年第27週の
定点当たり報告数(7.32)は過去10年間の各週における定点当たり報告数の中で最大であった。
第28週の定点当たり報告数(6.86)は前週より減少したものの、依然として高い水準で推移して
いる。
2023年第28週現在、東日本から報告が多く、上位5都道府県は、宮城県(20.62)、岩手県
(18.50)、山形県(13.64)、北海道(12.24)、長野県(12.06)であった。第27週までの直近5週間の
定点当たり報告数上位5位の都道府県は以下であった。
第23週:宮崎県(10.67)、和歌山県(7.10)、愛媛県(6.14)、大分県(6.06)、鹿児島県(5.94)
第24週:和歌山県(10.50)、宮崎県(10.06)、鹿児島県(9.94)、静岡県(8.85)、愛媛県(8.00)
第25週:宮城県(14.00)、鹿児島県(12.25)、静岡県(10.12)、三重県(9.82)、和歌山県(9.47)
第26週:宮城県(15.85)、三重県(12.38)、鹿児島県(11.00)、群馬県(10.06)、岩手県(9.43)
第27週:宮城県(23.20)、岩手県(14.70)、三重県(12.47)、新潟県(11.78)、群馬県(11.65)
2023年第1〜28週までの累積報告数(125,842)では、例年と同様に男性(52.1%)が女性に比
べてやや多かった。一方、年齢分布は例年とは異なる傾向がみられた。年齢(群)
別では、1歳が
20.7%(男性:52.6%)と最も多く、次に2歳が19.2%(男性:50.8%)、3歳が16.7%(男性:
51.7%)、4歳が14.8%(男性:52.3%)、6歳以上が11.8%(男性:52.3%)、5歳が10.8%(男性:
53.0%)、0歳が6.0%(男性:52.7%)の順であった。2017~2022年のそれぞれの年齢(群)別と比
べると、2023年は3歳、4歳、5歳の割合は増加し、0歳、1歳の割合は減少した。5歳以下が占
める割合は2023年は88.2%と低かった(2017年:91.4%、2018年:91.5%、2019年:92.5%)。
2017〜2022年各年の第1〜28週における累積報告数
(n)の年齢分布の概要は以下であった。
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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