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<政策提言>ポストSDGsの未来を見据えた看護学教育モデル・コア・カリキュラム (1 ページ)
出典
公開元URL | https://hgpi.org/research/ph-20240530.html |
出典情報 | ポストSDGsの未来を見据えた看護学教育モデル・コア・カリキュラム:気候変動と健康を含むプラネタリーヘルスの視点の必要性(5/30)《日本医療政策機構》 |
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2024 年 5 月
日本医療政策機構(HGPI)プラネタリーヘルスプロジェクト政策提言
ポスト SDGs の未来を見据えた看護学教育モデル・コア・カリキュラム:
気候変動と健康を含むプラネタリーヘルスの視点の必要性
現在、文部科学省では、看護学教育モデル・コア・カリキュラム(以下「カリキュラム」という。
)の
改訂に向けた検討が進められている。新しいカリキュラムは、2026(令和 8)年度から運用開始される
予定となっている。看護学に先だって、2022(令和 4)年度に医学・歯学・薬学教育モデル・コア・カ
リキュラムの改訂が行われ、2024(令和 6)年度より新しいカリキュラムに基づく教育が開始された。
医学カリキュラムにおいては、20 年後の社会を想定した医師として求められる資質・能力を改訂の基本
方針の一つと位置づけ、その要素の一つとして「気候変動と医療」という項目が新たに加わった。
ここ数十年、気候変動など地球規模の環境変化に起因する新興感染症や気象災害による健康問題が世界
全体に影響を及ぼしている。気候変動は、環境問題全般の根本的な原因であり、健康の社会的決定要因
(きれいな空気、安全な飲料水、十分な栄養、安全な居住環境など)に、より広い規模でそして将来の
世代にまで影響を及ぼし、基本的人権の一つである生存権・環境権が脅かされている状況にある。この
全人類・全世代に影響のある気候変動と健康影響への課題をうけて、世界各国では、持続可能な開発目
標(SDGs: Sustainable Development Goals)などの議論も参考にしながら、医療従事者の教育において、
「持続可能性」と「プラネタリーヘルス」に対する包括的な理解を促進するための教育カリキュラムを
導入することの重要性について益々認識が強まっている。
プラネタリーヘルスは、地球環境と人間の健康とが相互に影響し合うメカニズムを探求する概念であ
る。これまで看護が対象を理解するための範疇としてきた、物理的環境、化学的環境、生物的環境、社
会的環境などの「外的環境」もプラネタリーヘルスの一側面として考えられる。これまで看護学におい
ては、環境が人間の健康に与える影響の一側面について取り扱ってきたが、今後はプラネタリーヘルス
の概念に基づき、人間の健康と地球(自然環境)の健康の表裏一体性を認識し、両側面に目を向けてい
くことが必要である。
世界では気候変動問題における看護の役割の重要性については 10 年以上前より唱えられてきており、
国際看護協議会(ICN: International Council of Nurses)は、2018 年に「看護師、気候変動と健康」という
声明を発表し、
「看護師は気候変動に強い保健システムを構築するために早急に行動を起こす」ことを
求めている。また欧米を中心とした国外の大学においては、
「プラネタリーヘルス」、「持続可能な医
療」
、
「気候変動と健康」等といったトピックを医学・看護学カリキュラムに組み込み始めており、今回
のモデル・コア・カリキュラム改定において参考とされている、アメリカ看護大学協会(AACN:
American Association of Colleges of Nursing)の必須要素(Essentials)においても、「Planetary Health」
、
「Climate Science」といった理解の重要性について明記されている。
この様な国内外の社会的背景や潮流をうけ、日本においてもこの先の未来を見据え、この課題に対応可
能な看護人材を育成すべく、看護教育に「プラネタリーヘルス」、
「気候変動と健康」の視点を導入する
ことは必須であると言える。この様な考えから、日本医療政策機構では、看護学教育モデル・コア・カ
リキュラムに対して、特にそこで求められる「能力」および「資質」について、以下を提言する。
特定非営利活動法人 日本医療政策機構
〒100-0004 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 3 階 Global Business Hub Tokyo
Tel: 03-4243-7156 Fax: 03-4243-7378 E-mail: info@hgpi.org
日本医療政策機構(HGPI)プラネタリーヘルスプロジェクト政策提言
ポスト SDGs の未来を見据えた看護学教育モデル・コア・カリキュラム:
気候変動と健康を含むプラネタリーヘルスの視点の必要性
現在、文部科学省では、看護学教育モデル・コア・カリキュラム(以下「カリキュラム」という。
)の
改訂に向けた検討が進められている。新しいカリキュラムは、2026(令和 8)年度から運用開始される
予定となっている。看護学に先だって、2022(令和 4)年度に医学・歯学・薬学教育モデル・コア・カ
リキュラムの改訂が行われ、2024(令和 6)年度より新しいカリキュラムに基づく教育が開始された。
医学カリキュラムにおいては、20 年後の社会を想定した医師として求められる資質・能力を改訂の基本
方針の一つと位置づけ、その要素の一つとして「気候変動と医療」という項目が新たに加わった。
ここ数十年、気候変動など地球規模の環境変化に起因する新興感染症や気象災害による健康問題が世界
全体に影響を及ぼしている。気候変動は、環境問題全般の根本的な原因であり、健康の社会的決定要因
(きれいな空気、安全な飲料水、十分な栄養、安全な居住環境など)に、より広い規模でそして将来の
世代にまで影響を及ぼし、基本的人権の一つである生存権・環境権が脅かされている状況にある。この
全人類・全世代に影響のある気候変動と健康影響への課題をうけて、世界各国では、持続可能な開発目
標(SDGs: Sustainable Development Goals)などの議論も参考にしながら、医療従事者の教育において、
「持続可能性」と「プラネタリーヘルス」に対する包括的な理解を促進するための教育カリキュラムを
導入することの重要性について益々認識が強まっている。
プラネタリーヘルスは、地球環境と人間の健康とが相互に影響し合うメカニズムを探求する概念であ
る。これまで看護が対象を理解するための範疇としてきた、物理的環境、化学的環境、生物的環境、社
会的環境などの「外的環境」もプラネタリーヘルスの一側面として考えられる。これまで看護学におい
ては、環境が人間の健康に与える影響の一側面について取り扱ってきたが、今後はプラネタリーヘルス
の概念に基づき、人間の健康と地球(自然環境)の健康の表裏一体性を認識し、両側面に目を向けてい
くことが必要である。
世界では気候変動問題における看護の役割の重要性については 10 年以上前より唱えられてきており、
国際看護協議会(ICN: International Council of Nurses)は、2018 年に「看護師、気候変動と健康」という
声明を発表し、
「看護師は気候変動に強い保健システムを構築するために早急に行動を起こす」ことを
求めている。また欧米を中心とした国外の大学においては、
「プラネタリーヘルス」、「持続可能な医
療」
、
「気候変動と健康」等といったトピックを医学・看護学カリキュラムに組み込み始めており、今回
のモデル・コア・カリキュラム改定において参考とされている、アメリカ看護大学協会(AACN:
American Association of Colleges of Nursing)の必須要素(Essentials)においても、「Planetary Health」
、
「Climate Science」といった理解の重要性について明記されている。
この様な国内外の社会的背景や潮流をうけ、日本においてもこの先の未来を見据え、この課題に対応可
能な看護人材を育成すべく、看護教育に「プラネタリーヘルス」、
「気候変動と健康」の視点を導入する
ことは必須であると言える。この様な考えから、日本医療政策機構では、看護学教育モデル・コア・カ
リキュラムに対して、特にそこで求められる「能力」および「資質」について、以下を提言する。
特定非営利活動法人 日本医療政策機構
〒100-0004 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 3 階 Global Business Hub Tokyo
Tel: 03-4243-7156 Fax: 03-4243-7378 E-mail: info@hgpi.org