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<政策提言>ポストSDGsの未来を見据えた看護学教育モデル・コア・カリキュラム (4 ページ)

公開元URL https://hgpi.org/research/ph-20240530.html
出典情報 ポストSDGsの未来を見据えた看護学教育モデル・コア・カリキュラム:気候変動と健康を含むプラネタリーヘルスの視点の必要性(5/30)《日本医療政策機構》
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2024 年 5 月
「B-3-2) 看護における倫理」の項目においては、医療・看護における倫理に関する規範・原則や指
針としていくつかの具体例を記載している。
しかし、ICN が発行した「看護師、気候変動と健康」は、公平性・社会正義の観点か
ら重要な指針であるため、学習内容に加えるべきであると考える。気候変動の影響
は、表面化するまでに時間差があるため、将来世代の人々においてより強い影響が生
まれる。ダイバーシティによる不平等と同時に、世代間での不平等についても考え、
行動する必要がある。
「E-3 災害時の看護実践」の項目においては、平時からの備えと被災時の対応について学習のねら
いとして定められている。特に、気候変動によって引き起こされる豪雨、洪水、熱波などの自然災
害は、負傷者や死者を増加させる可能性がある。
今後、気候変動により、予測不能で大規模な自然災害の発生が増加することが予想さ
れるため、こうした項目の重要度はますます高まっていくと考えられるが、それと同
時に災害を起こす原因となる気候変動を悪化させないための対策についても学ぶ必要
があると考える。現在、日本の温室効果ガス(GHG)総排出量の 4.6%を医療部門が
占めているが、現在の医療制度を見直し、医療需要のさらなる増加に適応させない限
り、GHG 排出量は増加し続けることが予想される。気候変動の進行を食い止めるため
医療の脱炭素化対策についての学習が必要である。
人間の健康は、健全な地球環境の存在によってのみ達成されるものであり、両者は不可分であることを
強く認識することが重要である。看護職者は人々の「生存権」と共に、その基盤となる「環境権2」につ
いても学び、権利擁護者として活躍していくことが期待される。医療における「環境」の概念的要素を
再考し、プラネタリーヘルスを組み込んだ新しい「環境」概念へのパラダイムシフトが必要である。
参考:
看護における環境の定義
(日本看護科学学会. 看護学学術用語検討委員会 -看護学を構成する重要な用語集より)
「看護における環境とは、一般的に内部環境と外部環境の 2 つの側面に分類して捉えられる。

内部環境は、生体内の恒常性を維持する内的メカニズムを含み、外部環境とは、人間の生活と
生存に影響を与える外的条件を含めて、物理的環境、化学的環境、生物的環境、社会的環境な
どとして論じられている。
看護職者は、人の健康に影響を及ぼしている環境、そして環境およびその中の重要な要素の相
互作用を分析する方法に関して、十分な知識と技術をもつことが必要である。そして、その分
析に基づいて、健康に及ぼしている環境を改善しつつ、人々の健康の回復を支援する。」

2

環境権は、「健康で快適な生活を維持する条件としての良い環境を享受し、これを支配する権利」などと定義される。
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