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07 参考資料1 おたふくかぜワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版、国立感染症研究所) (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》 |
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あっても感染既往が無いとは言えない。感染既往があるかどうかの判断
には、HI法やCF法よりも次に述べるELISA法が有用である。急性期の血
清と2~4週間程度の間隔をあけて採取した回復期の血清(ペア血清)でHI、
CF、NT抗体価を測定するとき、4倍(2管)以上の上昇があればムンプスウ
イルスの感染を受けたと判断できる8)。ELISA法は、IgM抗体とIgG抗体を
測定するキットが複数市販されている。陰性・陽性を決めるカットオフ
値の設定に曖昧な点があること、異なるキット間での測定数値の比較が
できないことなどの問題点はあるものの、準備に手間を取られず、手技
の容易さから近年は汎用されている。一般的に急性期のIgM抗体を検出す
るか、ペア血清でIgG抗体価の2倍以上の上昇をもっておたふくかぜと診
断される1)。
(イ)ウイルス学的検査法
ムンプスウイルスは1 本 鎖 マイ ナ ス RNA を ゲ ノム と し て 持 つ パラ
ミクソウイルス科ルブラウイルス属のウイルスである。Vero 細胞などが
ムンプスウイルスに感受性を示し、感染により融合細胞が見られる。こ
の様な細胞変性効果(CPE)は、ウイルスの株毎に異なるため、不明瞭な場
合には 0.4%モルモット赤血球を細胞表面に重層し、細胞の赤血球吸着
(HAD)能を確かめる。CPE 又は HAD 陰性の場合は、培養上清を再び別の細
胞に接種し、3継代しても HAD 陰性の場合は、検体中にムンプスウイル
スは含まれていないと判断する。
ムンプスウイルスの同定試験としては RT-PCR によるウイルス遺伝子検
出法 10)、抗ムンプスウイルス血清を使用して中和指数を出す方法、ある
いは組織免疫染色により感染細胞のウイルス抗原を検出する方法などあ
り、いずれかでも陽性の場合は、検体中にムンプスウイルスが含まれて
いると判断する。
ム ン プス ウ イ ル ス 遺 伝 子 のうち最も小さい SH 遺伝子(316 塩基)は
多型性に富んでおり 10)、その塩基配列を元にして 2010 年現在で A から M
まで 13 種類の遺伝子型が報告されている。
(ウ)生化学検査法
血液と尿中には、S、P と SP 型の三種類のアミラーゼアイソザイムが存
在する。S は唾液腺型、P は膵臓型で SP はどちらにも共通の型である。
ムンプスウイルス感染により唾液腺腫脹をきたすと S 型アミラーゼが顕
著に上昇し、正常値に戻るには 2~3 週間を要する。ムンプスウイルス感
染により、 まれに膵炎を併発することがあり、この場合には P 型アミ
ラーゼも正常値より上昇する。血清中アミラーゼは、新生児ではほとん
ど認められないが、年齢とともに上昇し 5~10 歳でほぼ成人の値に達する。
正常成人の血清中の総アミラーゼの基準値(IU/ℓ)は 60~200、尿中の総ア
ミラーゼは 160~960 である。また、血清中に含まれるアミラーゼは、S 型
が 35~79%、P 型が 21~65%、尿中に含まれるアミラーゼは、S 型が 12~59%、
P 型が 41~88%である。これらの基準値及び S 型の割合が増えたときには
頸部リンパ節炎との識別が可能である 11)。
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あっても感染既往が無いとは言えない。感染既往があるかどうかの判断
には、HI法やCF法よりも次に述べるELISA法が有用である。急性期の血
清と2~4週間程度の間隔をあけて採取した回復期の血清(ペア血清)でHI、
CF、NT抗体価を測定するとき、4倍(2管)以上の上昇があればムンプスウ
イルスの感染を受けたと判断できる8)。ELISA法は、IgM抗体とIgG抗体を
測定するキットが複数市販されている。陰性・陽性を決めるカットオフ
値の設定に曖昧な点があること、異なるキット間での測定数値の比較が
できないことなどの問題点はあるものの、準備に手間を取られず、手技
の容易さから近年は汎用されている。一般的に急性期のIgM抗体を検出す
るか、ペア血清でIgG抗体価の2倍以上の上昇をもっておたふくかぜと診
断される1)。
(イ)ウイルス学的検査法
ムンプスウイルスは1 本 鎖 マイ ナ ス RNA を ゲ ノム と し て 持 つ パラ
ミクソウイルス科ルブラウイルス属のウイルスである。Vero 細胞などが
ムンプスウイルスに感受性を示し、感染により融合細胞が見られる。こ
の様な細胞変性効果(CPE)は、ウイルスの株毎に異なるため、不明瞭な場
合には 0.4%モルモット赤血球を細胞表面に重層し、細胞の赤血球吸着
(HAD)能を確かめる。CPE 又は HAD 陰性の場合は、培養上清を再び別の細
胞に接種し、3継代しても HAD 陰性の場合は、検体中にムンプスウイル
スは含まれていないと判断する。
ムンプスウイルスの同定試験としては RT-PCR によるウイルス遺伝子検
出法 10)、抗ムンプスウイルス血清を使用して中和指数を出す方法、ある
いは組織免疫染色により感染細胞のウイルス抗原を検出する方法などあ
り、いずれかでも陽性の場合は、検体中にムンプスウイルスが含まれて
いると判断する。
ム ン プス ウ イ ル ス 遺 伝 子 のうち最も小さい SH 遺伝子(316 塩基)は
多型性に富んでおり 10)、その塩基配列を元にして 2010 年現在で A から M
まで 13 種類の遺伝子型が報告されている。
(ウ)生化学検査法
血液と尿中には、S、P と SP 型の三種類のアミラーゼアイソザイムが存
在する。S は唾液腺型、P は膵臓型で SP はどちらにも共通の型である。
ムンプスウイルス感染により唾液腺腫脹をきたすと S 型アミラーゼが顕
著に上昇し、正常値に戻るには 2~3 週間を要する。ムンプスウイルス感
染により、 まれに膵炎を併発することがあり、この場合には P 型アミ
ラーゼも正常値より上昇する。血清中アミラーゼは、新生児ではほとん
ど認められないが、年齢とともに上昇し 5~10 歳でほぼ成人の値に達する。
正常成人の血清中の総アミラーゼの基準値(IU/ℓ)は 60~200、尿中の総ア
ミラーゼは 160~960 である。また、血清中に含まれるアミラーゼは、S 型
が 35~79%、P 型が 21~65%、尿中に含まれるアミラーゼは、S 型が 12~59%、
P 型が 41~88%である。これらの基準値及び S 型の割合が増えたときには
頸部リンパ節炎との識別が可能である 11)。
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