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【参考資料4】救急救命処置に関する提案への評価結果 提言書2 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41901.html
出典情報 救急医療の現場における医療関係職種の在り方 に関する検討会ワーキンググループ(第6回 7/29)《厚生労働省》
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なお、厚生労働省の死亡統計では、アナフィラキシーによる死亡者数は年間
50 名(薬物 24、ハチ毒 13、食物 4、他)(文献iii)である。アナフィラキシーによる心
停止までの時間の中央値は、検査薬、治療薬によるものが投与後 5 分、虫に刺さ
れた場合が 15 分、食物摂取による場合が 30 分と報告(文献iv)されており、死亡
者数の減少のためには、病院前のアドレナリン投与が効果的であると考えられる。
(3) 処置の難易度、危険性
① 適応の判断の難易度(既存の救急救命処置との比較など)

アナフィラキシーの判断は、前述の世界アレルギー機構ガイドラインより基
準が示されており、これによりアナフィラキシーの症例の 95%以上を捕捉でき
ると考えられている(文献v)。また、より簡易なものとして、①食物摂取・虫によ
る刺傷・薬物摂取というアナフィラキシーのトリガーがあり、②呼吸困難・低血
圧・蕁麻疹(拡散する、進行する)の症状がある場合といった基準が米国の
EMT-Basic を対象に提示されている。この基準に従って、包括的指示
(standing protocol)の下に、投与方法2に準ずる方法で筋肉内投与した実績
報告(文献vi)では、医師による事後検証で「アドレナリン投与の適応外」と判定
された症例が 4.9%(20/411)件あった。しかし、これら適応外投与の症例を含
めたすべての症例のいずれにおいても、胸痛、投与後の高血圧
(SBP>160mmHg)、頻脈(HR>140/分)、不整脈など傷病者に危惧される有害
反応や、針刺し事故など EMT に危惧される有害反応は認められなかった。
これらを勘案すれば、救急救命処置「ショックに対する静脈路確保と輸液」
の適応判断の難易度を超えるものではない。
② 手技の難易度(既存の救急救命処置との比較など)

◯投与方法1
医師から説明を受ければ傷病者自身でも使用可能な自動注射器を用いて
筋肉内投与する方法であり、現状の救急救命士もすでに習得している手技で
ある。成人用(0.3mg 製剤)と小児(0.15mg 製剤)の2種類の自動注射器があ
り、使い分ける必要がある。
◯投与方法2
救急救命士が心肺停止の傷病者に対して使用するアドレナリンのプレフィ
ルドシリンジ(1mg)に、注射針を装着して、筋肉内投与する。成人に対する投
与量(0.3mg)以上の薬液は予め廃棄するなど薬量の調整が必要である。小児
を対象とする場合などには、1mL シリンジなどに 0.15mg を吸引する手順も必
要となる。
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