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資料2ー5:永井委員提出資料 (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24877.html
出典情報 循環器病対策推進協議会(第7回 3/30)《厚生労働省》
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の解明が重要であるが、心臓や血管のみに焦点を絞って研究を進めるのではなく、異なる臓
器や異なるシステム(自律神経、中枢神経、骨髄、腎臓、腸内細菌など)との相互作用も分
析する必要がある。さらにその知見に基づいてバイオマーカーを見出し、治療法を開発する
必要がある。
一方、急速に増加している心不全では、治療によってバイオマーカーの数値が改善しても、
長期予後が改善するとは限らない。このため治療法の評価には、長期間にわたる生存率、重
大な発作の頻度、QOL、健康寿命などの指標に基づくことが重要であり、そのためには詳細
な患者データを集積し、観察研究、開発研究、臨床試験が必須であり、これらを容易に実施
できる体制を整備することが重要と考えられる。
2. 急性期の循環器病
循環器病は急激に発症すると、数分から数時間の単位で生命に関わる事態となる。とくに
脳卒中、急性冠症候群(急性心筋梗塞および不安定狭心症)、大動脈解離、急性心不全、致
死的不整脈などはいずれも短期間に死亡する可能性が高い。
わが国の循環器病の年間発生数の全貌はいまだに不明であるが、概数として脳梗塞は約20
万5千例、脳内出血は約6万8千例、くも膜下出血は約2万例、急性心筋梗塞は約7万6千例、急
性大動脈解離は約2万5千例、重篤な心不全は約30万例と推定されている。また重篤な不整脈
は突然死に至る可能性が高く、わが国の年間突然死約8万人の主要な原因となる。これらの
循環器病は救命措置が必要であるが、病院に到着しても死亡率は8-13%に及ぶ。さらに急性
期に救命されたとしても、当初の処置が遅れると脳や心臓、腎臓などの臓器に重大な障害を
残す。後遺症により、日常生活の活動度が大きく低下し、退院後に介護が必要となることが
多い。急性期循環器病においては、医師(救急医、心臓血管外科医、脳外科医、循環器内科
医、脳卒中医など)、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士などによる高いレベルの
チーム医療が求められ、標準化された救急医療体制を確立し、全国に均霑化する必要がある。
研究においては、急性期循環器病の病態解明と治療法、重症化と合併症の防止法の開発が重
要課題である。また新規の治療法は、必ず臨床研究を行い、生存率、重症化率、合併症発症
率などのアウトカムから評価しなければならない。
急性期循環器病の発症早期は、患者自身はもとより、医療者も危機が迫っていることに気
づかないことが多い。そのため急変しうるという循環器病の特徴と発症早期の適切な対応に
関して、デバイスや遠隔医療を開発し、医療者と患者・国民に対する効果的な啓発活動に結
びつけることが重要である。
3. 回復期の循環器病
急性期循環器病は救命されたとしても、障害を受けた脳や心臓血管の機能を回復するため
にはリハビリテーションを欠かせない。脳卒中、心臓血管病のいずれにおいても、早期かつ
継続的なリハビリテーションは、回復後の生活の質に高い効果を示す。しかしいまだに循環