よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料2ー5:永井委員提出資料 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24877.html
出典情報 循環器病対策推進協議会(第7回 3/30)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

医療費や救急体制だけでなく、年間10兆円に及ぶ介護においても循環器病は大きな存在で
ある。実際、2016(平成28)年の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった原因に占
める割合は、脳血管疾患が16.6%、心疾患が4.6%であり、両者を合わせた循環器病は21.2%と
最多である。したがって循環器病を克服する新しい医療技術を開発するだけでなく、循環器
医療の適応や有効性の検証とともに、費用対効果に関する研究も進めなければならない。
6. 優先して推進すべき研究課題
1) マウスからヒトへ「循環器病三位一体研究」:マルチオミックス・動物モデル・臨床詳
細データの統合
循環器病は、複合的かつ動的な恒常性維持機構の破綻によって生ずる。このため遺伝子、
分子、細胞、臓器連関などによる環境遺伝相互作用を、まず動物の病態モデルで研究を進め
なければならない。このために小型動物及び中型動物を用いた病態モデルを開発することが
重要である。さらに動物モデルで明らかにされた知見は、詳細に記載された多数の臨床症例
を対象に検証する。
詳細かつ縦断的に時系列で記載された臨床データセットは、ゲノム等のバイオバンクの機
能も兼ねる。これにより、研究課題の抽出、病態や医薬品の効果を反映するバイオマーカー
の開発、医薬品・医療機器開発の際のコホート、さらに循環器病の発症、重症化、合併症、
再発のリスク因子や予後の疫学的分析が可能となる。なおこの詳細な臨床データセットは、
現在、国立循環器病センターを中心に進めている6循環器疾患登録よりもはるかに詳細なも
ので、中核的な高機能病院がネットワークを作って行うのが望ましい。
2)市民参加型の循環器病予防研究と遠隔医療システムの開発
循環器病は数十年にわたる長い経過をとり、病態は徐々に変化する。このため入院や外来
診療のみでは、病像を把握することは難しい。そこで診察の間隙となる日常生活における循
環器病の状態を把握するために、デバイス、在宅検査キット、遠隔医療のためのIT開発など
が求められる。得られたデータは、上記の「循環器病三位一体研究」と統合し、数理モデル
を用いたビッグデータ分析やAI開発へ展開する。これらの研究成果は、循環器病の早期発見
や重症化・合併症・再発予防システムとして活用され、一般の市民が循環器病を予防し、循
環器病とともに賢く生きる教育ツールとすることができる。
3)循環器病研究のイノベーションエコシステム
上記の研究課題を進めることによって、循環器病研究は循環型の研究サイクルを構築する
ことができる。従来、基礎研究から薬事承認というリニアモデルで考えられていた研究開発