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感染症週報 2024年第41週(10月7日-10月13日) (14 ページ)

公開元URL https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2024.html
出典情報 感染症週報 2024年第41週(10月7日-10月13日)(10/25)《国立感染症研究所》
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Infectious Diseases Weekly Report Japan

2024年 第41週
(10月7日〜 10月13日)
:通巻第26巻 第41号

注目すべき感染症
◆腸管出血性大腸菌感染症 2024年第1〜41週(2024年10月16日現在)
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症は、Vero毒素(Vero toxin:VTまたはShiga toxin:
Stx)を産生するEHECによって起こり、発症した場合の主な症状は腹痛、水様性下痢および血
便である。EHEC感染に引き続いて重篤な合併症として発症することがある溶血性尿毒症症候
群(HUS)は、死亡あるいは腎機能障害や神経学的障害などの後遺症を残す可能性があり、脳
症を併発することもある。EHECはウシ等の家畜が腸管内に健康保菌しており、と畜処理や食
肉処理の過程等で食材や調理器具が汚染され、食品の洗浄や加熱等の適切な取り扱いが充分
でない場合等に経口的に感染するほか、保育園等の施設においては感染者からの接触感染も起
こる。これまでに国内でEHECの感染事例の原因食品等と特定あるいは推定されたものには、
牛肉、牛生肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、サラダ等がある。
EHEC感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に
より、全数把握対象である三類感染症に位置づけられており、診断した医師は直ちに最寄りの
保健所に届け出ることが義務付けられている。毎年、3,000~4,000例程度が報告されており
(2020年3,094例、2021年3,243例、2022年3,370例、2023年3,834例)、例年、夏期に報告数の
ピークが見られる傾向にある。2024年のEHEC感染症報告数(第41週時点)においても、診断週
で第20週から増加し始め、第27週で2024年の最多(154例)に達した。第41週は129例であっ
た。本年第41週までの累積報告数2,985例は、2020〜2024年の各年同週までの累積報告数を
比較すると、2番目に多い報告数であった(2020年2,418例、2021年2,566例、2022年2,795例、
2023 年 3,045 例)。また、患者(有症状者)のみに限定した本年第 41 週までの累積報告数は
1,900例であり、2020〜2024年で3番目に多い報告数となっている(2020年1,593例、2021年
1,662例、2022年1,920例、2023年2,052例:以上、各年同週まで)。性別では、男性が1,256例
(42.1%)、女性が1,729例(57.9%)で、年齢中央値28歳(範囲0〜105)であった〔男性:25歳(0〜
105)、女性:31歳(0〜101)〕。患者(有症状者)のみに限定すると、年齢中央値24歳(範囲0〜
105)であった。第1〜41週の累積報告数を推定感染地域別にみると、東京都(208例)が最も多
く、次いで大阪府(125例)、群馬県(122例)、福岡県
(94例)、北海道(91例)の順で上位を占め
た(重複含む)。なお、推定感染地域が国外と報告された症例は188例(EHEC感染症累積報告
数の6.3%)であり、韓国(143例)、ベトナム(13例)、中国(4例)、フィリピン(4例)、ネパール
(4例)の順で上位を占めた。第41週時点までに報告されたEHEC感染症のうち、血清群・毒素
型の情報が明らかであった報告の内訳は、O157 VT1・VT2(709例)、O157 VT2(708例)、
O26 VT1(315例)、O103 VT1(173例)等であった(重複あり)
(以上、暫定値)。
EHEC感染症の重篤な合併症として発症することのあるHUSは、第41週までに累計57例
〔うち女性41例(71.9%)〕が報告された。届出時点で患者(有症状者)報告数に占めるHUS発症
者の割合は、3.0%であった。直近5年間の同週までのHUSの累積報告数と届出時点で患者(有
症状者)報告数に占めるHUS発症者の割合は2019年58例(2.7%)、2020年50例(3.1%)、2021年
45例(2.7%)、2022年40例(2.1%)、2023年50例(2.4%)である。2024年第1〜41週のHUSの年
齢中央値は5歳(範囲1〜86)であった〔男性:5歳(1〜11)、女性:11歳(1〜86)〕。年齢群別で
は0〜9歳が34例で、HUS症例全体の59.6%を占めた。例年同様、女性と低年齢の小児で発症
が多く報告されている。判明した血清群別ではO157が36例で、そのうち、O157 VT2は20例、
O157 VT1・VT2は9例であった。EHEC感染症届出時点における脳症の発症は6例(うち5例
でHUS発症)であった。

Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases

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