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感染症週報 2024年第41週(10月7日-10月13日) (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2024.html |
出典情報 | 感染症週報 2024年第41週(10月7日-10月13日)(10/25)《国立感染症研究所》 |
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Infectious Diseases Weekly Report Japan
2024年 第41週
(10月7日〜 10月13日)
:通巻第26巻 第41号
なお、第41週までには届出時点で死亡の情報が得られた症例はない。
2024年もEHECによる食中毒が報告されている。こうした食中毒の予防のためには、食肉の
十分な加熱処理、食材・調理器具の十分な洗浄や手洗いの励行などの徹底、生肉または加熱
不十分な食肉等を食べないようにすることが重要である。EHECを死滅させるには、食品の中
心温度について75℃で1分間以上の加熱が必要である。また、焼く前の生肉などに使用する箸
などの調理器具の使い分けなどについて、継続した啓発が必要と考えられる。
以前から、韓国はEHEC感染症の国外推定感染地域として多く報告されている。2018年以
降に診断された症例で、感染地域が韓国と報告されたものは2024年第41週時点で322例で、そ
の推移は、2018年30例、2019年53例、2020年0例、2021年0例、2022年4例、2023年92例、
2024年は第41週時点で143例と、新型コロナウイルス感染症の流行により渡航が制限されてい
た2020年から2022年を除くと、増加傾向が見られる。また、例年、報告数は国内推定感染地
域の症例と同様に夏に増加して冬に減少しているが、各年の診断月別の報告数のピークは、
2018年7例(5月および7月)、2019年12例(7月)、2023年23例(9月)、2024年45例(9月)と、こ
ちらも増加傾向が見られる。2018年以降の推定感染地域が韓国と報告された322例の基本属
性としては、年齢中央値が25歳(範囲7〜79)、性別は男性84例(26.1%)、女性238例(73.9%)
と、若年そして女性の多い傾向が見られる。また、感染原因については経口感染が306例と9割
以上を占め、具体的な食品名としてユッケや生レバー等の生の食肉の喫食歴が報告された症例
は233例であった。血清群はO157が196例、O26が43例、O103が29例等(重複含む)であった。
重症例としては、3例がHUSを発症したことが報告されている。
生食用牛肉の提供の法規制はその国や地域によって変わると考えられるが、加熱不十分な牛
肉にはEHEC感染のリスクがある。HUS発症者も確認されている状況を考えると、渡航先に関
わらず、旅先での生食用食肉の摂取は避けることが重要であると考えられる。なお、2024年
10月現在、日本人の主要な渡航先国としては、韓国が最多であり、新型コロナウイルス感染症
の流行後、増加傾向にある(2024年8月の各国のデータ:https://www.tourism.jp/tourismdatabase/stats/outbound/)。
また、保育等施設においてEHEC感染症の集団発生が毎年報告されている。日ごろから、食
品の適切な取り扱いや、下痢などの症状のある子どもは登園を控えることが重要である。無症
状の場合もあるため、接触感染予防として、オムツ交換時の手洗い・消毒、園児に対する排便
後・食事前の手洗い指導の徹底が重要である。また、低年齢児が使用する簡易ミニプールには
排泄物の汚染が拡がらないように十分注意し、必要に応じ使用水や器具を塩素消毒することが
重要である。過去には動物とのふれあい体験での感染と推定される事例も報告されており、動
物との接触後の十分な手洗いや消毒が必要である。
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の感染症発生動向調査に関する背景・詳細な情報と最新
の状況については、以下を参照いただきたい(引用日付2024年10月16日):
●腸管出血性大腸菌感染症
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ta/ehec.html
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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2024年 第41週
(10月7日〜 10月13日)
:通巻第26巻 第41号
なお、第41週までには届出時点で死亡の情報が得られた症例はない。
2024年もEHECによる食中毒が報告されている。こうした食中毒の予防のためには、食肉の
十分な加熱処理、食材・調理器具の十分な洗浄や手洗いの励行などの徹底、生肉または加熱
不十分な食肉等を食べないようにすることが重要である。EHECを死滅させるには、食品の中
心温度について75℃で1分間以上の加熱が必要である。また、焼く前の生肉などに使用する箸
などの調理器具の使い分けなどについて、継続した啓発が必要と考えられる。
以前から、韓国はEHEC感染症の国外推定感染地域として多く報告されている。2018年以
降に診断された症例で、感染地域が韓国と報告されたものは2024年第41週時点で322例で、そ
の推移は、2018年30例、2019年53例、2020年0例、2021年0例、2022年4例、2023年92例、
2024年は第41週時点で143例と、新型コロナウイルス感染症の流行により渡航が制限されてい
た2020年から2022年を除くと、増加傾向が見られる。また、例年、報告数は国内推定感染地
域の症例と同様に夏に増加して冬に減少しているが、各年の診断月別の報告数のピークは、
2018年7例(5月および7月)、2019年12例(7月)、2023年23例(9月)、2024年45例(9月)と、こ
ちらも増加傾向が見られる。2018年以降の推定感染地域が韓国と報告された322例の基本属
性としては、年齢中央値が25歳(範囲7〜79)、性別は男性84例(26.1%)、女性238例(73.9%)
と、若年そして女性の多い傾向が見られる。また、感染原因については経口感染が306例と9割
以上を占め、具体的な食品名としてユッケや生レバー等の生の食肉の喫食歴が報告された症例
は233例であった。血清群はO157が196例、O26が43例、O103が29例等(重複含む)であった。
重症例としては、3例がHUSを発症したことが報告されている。
生食用牛肉の提供の法規制はその国や地域によって変わると考えられるが、加熱不十分な牛
肉にはEHEC感染のリスクがある。HUS発症者も確認されている状況を考えると、渡航先に関
わらず、旅先での生食用食肉の摂取は避けることが重要であると考えられる。なお、2024年
10月現在、日本人の主要な渡航先国としては、韓国が最多であり、新型コロナウイルス感染症
の流行後、増加傾向にある(2024年8月の各国のデータ:https://www.tourism.jp/tourismdatabase/stats/outbound/)。
また、保育等施設においてEHEC感染症の集団発生が毎年報告されている。日ごろから、食
品の適切な取り扱いや、下痢などの症状のある子どもは登園を控えることが重要である。無症
状の場合もあるため、接触感染予防として、オムツ交換時の手洗い・消毒、園児に対する排便
後・食事前の手洗い指導の徹底が重要である。また、低年齢児が使用する簡易ミニプールには
排泄物の汚染が拡がらないように十分注意し、必要に応じ使用水や器具を塩素消毒することが
重要である。過去には動物とのふれあい体験での感染と推定される事例も報告されており、動
物との接触後の十分な手洗いや消毒が必要である。
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の感染症発生動向調査に関する背景・詳細な情報と最新
の状況については、以下を参照いただきたい(引用日付2024年10月16日):
●腸管出血性大腸菌感染症
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ta/ehec.html
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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