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高齢者の孤独感を規定する要因に関する分析: 親しい友人・仲間を持つことが「孤独感」の軽減に有効 佐藤 博樹(PDF形式:589KB) (3 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/zentai/pdf_index.html
出典情報 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(6/14)《内閣府》
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高齢者の孤独感を規定する要因に関する分析:
親しい友人・仲間を持つことが「孤独感」の軽減に有効
中央大学大学院
佐藤 博樹
1.「社会的孤立」と「孤独感」
「社会的孤立」と「孤独感」は、相互に関係するが、異なる概念である。「社会的孤
立」は、社会から客観的に断絶されている状態を意味する のに対して、「孤独感」は主観
的な感覚を意味する。両者は相互に関係する概念であるが、「社会的孤立」が「孤独感」
を必然的にもたらすわけではないことが知られている。高齢者では、未婚者だけでなく、
既婚者でも配偶者がなくなったり、子供がいても子供が独立したり することで、独居者
(「一人暮らし」)が増えたり、さらには身体能力の低下などから社会的な交流が低下
し、「社会的孤立」の状態にある者が増えることになる。他方で、「孤独感」は、冠動脈
疾患や脳卒中、うつ病、認知症などのリスクを高めるなど、健康にマイナスの障害を及ぼ
すことが知られている。こうしたことから、「社会的孤立」に陥りやすい高齢者が、 「社
会的孤立」の状況に置かれても、「孤独感」を感じることなく、「孤独感」を軽減できる
方法や要因を明らかにすることが、大事な政策的な課題となる。

2.高齢者の「孤独感」に関する先行研究と本稿の分析枠組
2000年 以 降 に 刊 行 さ れ た 高 齢 者 の 孤 独 感 に 関 す る 実 証 的 な 研 究 は 、 高 齢 者 一 般 を 対 象 と
したものだけでなく、高齢者の特定の層(独居者や集合住宅居住者など)に限定したもの
も 多 い 。 ま た 、 「 孤 独 感 」 の 測 定 尺 度 で は 、 U C L A 日 本 版 孤 独 感 尺 度 ( 20の 設 問 ) や そ
の 簡 易 版 ( 3 つ の 設 問 ; Igarashi 2019) を 用 い る も の や 、 「 孤 独 感 」 の 大 小 に 関 し て 5
段階で回答を求めるもの、さらには独自に開発された孤独感尺度(AOK孤独感尺度、安
藤 ほ か 2000) を 利 用 し た も の な ど が あ る 。 こ う し た 研 究 の い く つ か を 紹 介 す る と 、 つ ぎ の
ようになる。
舛 田 ら ( 2012) は 、 65歳 以 上 の 高 齢 者 を 対 象 と し て 、 U C L A 日 本 版 孤 独 感 尺 度 の 信 頼
性・妥当性を検討することに加えて、相関分析によって①女性に比較して男性の「孤独
感」が高いこと、②対人ネットワークの量でなく質が「孤独感」の軽減に貢献すること、
③看病や世話をしてくれる人がいることや近所付き合いが多いことが「孤独感」の軽減に
貢献することなどを明らかにしている。
永 井 ら ( 2016) は 、 在 宅 で 高 齢 者 を 介 護 す る 65歳 以 上 の 高 齢 者 の 「 孤 独 感 」 ( U C L A
日本版孤独感尺度)を目的変数とした重回帰分析によって、自治会・趣味などの地域活動
への参加や経済的自由への満足度、さらには相談できる専門職がいることが「孤独感」を
有意に引き下げていることを明らかにしている。
安 藤 ら ( 2018) は 、 住 宅 団 地 に 居 住 す る 65歳 以 上 の 独 居 高 齢 者 を 対 象 と し A O K 孤 独 感
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