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高齢者の孤独感を規定する要因に関する分析: 親しい友人・仲間を持つことが「孤独感」の軽減に有効 佐藤 博樹(PDF形式:589KB) (4 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/zentai/pdf_index.html
出典情報 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(6/14)《内閣府》
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尺度で測定した「孤独感」の規定要因を分析し、①女性に比較して男性の孤独感が高いこ
と、②別居子家族と会う頻度が少ない者や友人と会う頻度が少ない者で 孤独感が高いこと
を 明 ら か に し て い る 。 ま た 、 安 藤 ら ( 2016) は 、 都 市 部 の 一 人 暮 ら し の 65歳 以 上 の 高 齢 者
に関しても同様の結果を確認している。
伊 藤 ら ( 2019) は 団 地 に 住 む 70歳 以 上 の 独 居 高 齢 者 を 対 象 と し て 、 「 孤 独 感 」 の 大 小 を
5段階で尋ね、その結果を分析し、「社会的孤立」と「孤独感」は相関せず、他方で、
「余暇外出や家族・友人との対面交流外出」あるいは「団地外に頼りにできる人がいるこ
と」が「孤独感」を有意に引き下げることを明らかにしている。つまり、対面交流や余暇
のための外出機会の創出は、高齢者の「孤独感」の軽減に貢献することになる。さらに伊
藤 ら ( 2021) は 、 集 合 住 宅 団 地 に 居 住 す る 65歳 以 上 の 不 就 業 高 齢 者 を 対 象 と し て 、 「 孤 独
感」(UCLA日本版孤独感尺度:簡易版)と<近接交流性>(挨拶をする・立ち話をす
る・一緒にでかけるなどの知人・友人の数)及び<広域活動性>(運動頻度や外出頻度)
の関係を分析している。分析によると、<近接交流性>や<広域活動性>が「孤独感」の
軽減に貢献していることを明らかにしている。
山 村 ら ( 2021) は 、 65歳 以 上 の 無 職 の 独 居 高 齢 者 を 対 象 と し て 、 U C L A 日 本 版 孤 独 感
尺度(簡易版)で測定された「孤独感」を被説明変数とする重回帰分析の結果によると、
個人属性では、①女性より男性で、②子供を持つ人より持たない人で、③年齢が高い人よ
りも低い人で、④健康な人よりも身体に衰えを感じている人で、「 孤独感」が高いことを
確認している。さらに、外出頻度では、人に会う必要に迫られて外出する「交流外出」 頻
度と自分の楽しみのために外出する「余暇外出」頻度の両者では、いずれも頻度が高くな
ると「孤独感」を低減させる効果が確認されている。
以上の先行研究から下記が確認できよう。

第1に、独居や無業などの「社会的孤立」が、高齢者の「孤独感」を直接的に高めるわ
けではない。
第2に、高齢の女性に比較して、高齢の男性のほうが「孤独感」が高い。
第3に、高齢者の中では、年齢が低い人のほうが高い人に比較して「孤独感」が高い。
第4に、独居や無業の高齢者であっても、社会的なつながり(友人や家族、さらには地
域活動への参加など)を持てることや相談相手がいることは、「孤独感」の軽減に貢献す
る。
第5に、経済状態が良くないことや身体的な衰えがあることは、高齢者の「孤独感」を
高めることになる。経済状態や身体的な衰えは、社会的なつながりを維持することに対し
てマイナスの影響を及ぼすことを通じて、「孤独感」を高めている可能性が想定される。

以上のような先行研究の分析を踏まえて、本稿では下記の分析課題を設定した。
独 居 や 無 業 の 高 齢 者 に 限 定 せ ず 、 か つ 60歳 以 上 の 高 齢 者 を 対 象 と し て 、 「 孤 独 感 」 を 規
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