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高齢者の孤独感を規定する要因に関する分析: 親しい友人・仲間を持つことが「孤独感」の軽減に有効 佐藤 博樹(PDF形式:589KB) (9 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/zentai/pdf_index.html
出典情報 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(6/14)《内閣府》
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説明変数の有意確率をみると、有意確率が1%未満となった変数は、要支援・要介護支
援ダミー、現在の健康状態(5段階)、あまり外出しないダミー、親しくしている友人・
仲間をもっていない(5段階)の4つで、有意確率が3%未満は、家庭内役割無ダミーで
ある。これ以外の変数では、有意確率3%未満を基準とすると有意なものはない。このほ
か で は 、 コ ロ ナ 影 響 有 ダ ミ ー が 有 意 確 率 10% 未 満 で は 有 意 と な る 。 以 上 を 踏 ま え る と 、 分
析結果は下記のようになる。
第1に、年齢や性別といった属性は、「孤独感」と有意な関係があるとは言えなかっ
た。つまり、女性に比較して男性の「孤独感」が高くなることや、年齢が高い層に比べて
若い層のほうが「孤独感」が高いという先行研究とは異なる結果となった。この結果に
は、性別や年齢層ではなく、健康状態や外出の頻度などが「孤独感」に影響して いること
が関係していよう。
第2に、「社会的孤立」に関係するパートナーがいないこと、子供がいないこと、一人
暮らしであること(独居)、収入がある仕事をしていないこと(無職) は、「孤独感」に
影響があるとは言えなかった。先行研究と同じく、「社会的孤立」が「孤独感」を 必然的
にもたらすわけではないといえる。
第3に、経済的なゆとりは、「孤独感」に影響するとは言えなかった。この点は先行研
究と異なる結果となった。
第4に、要支援・要介護状態にあることや健康状態が良くないことは、「孤独感」を有
意に高めることが確認できた。この点は、先行研究と同じである。
第5に、社会的なつながりに関してみると、社会活動に参加するかどうかは「孤独感」
に影響しているとは言えなかった。他方で、家庭内の役割がないことやあまり外出しない
こと、さらに親しくしている友人・仲間がいないことは、「孤独感」を有意に高めること
になることが確認できた。社会活動への参加が「孤独感」に有意に影響しないことは、社
会活動に参加することだけでなく、参加の機会を通じて、その場で親しくしている友人・
仲間が「いる」と感じることができるかどうかが、「孤独感」に影響する可能性を指摘で
きる。あまり外出しないことが「孤独感」を高めることになるのは、先行研究と同様の結
果といえる。
第6に、「孤独感」を高めることに有意な結果が得られた説明変数の標準化係数を比較
すると、親しくしている友人・仲間がいないことの影響が極めて大きいことがわかる。言
い換えれば、親しくしている友人・仲間を持つことができれば、「社会的孤立」の状況に
直面しても「孤独感」を軽減できるといえる。

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