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【参考資料2】 (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26881.html
出典情報 厚生科学審議会 会感染症部会(第63回 8/1)《厚生労働省》
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確定診断されている事例からは西アフリカ系統群のウイルスが検出されており、全ゲノム
解析の結果では近縁のウイルスが多く検出されている。
西アフリカ系統群は、中央アフリカで主に流行するコンゴ盆地系統群と比較して、重症化
しにくく、またヒトからヒトへの感染性が低いとされる。7 月 12 日時点で、今回の常在国
外での発生と関連している株として 327 株の全ゲノム解析結果が Nextstrain に登録
されている(Nextstrain, 2022)。これらはいずれも西アフリカ系統群であり、非常に
近縁であることから、単一の起源の存在が示唆されている。また、2018 年に英国、イス
ラエル、シンガポール、ナイジェリアで解析されたウイルスと近縁であること、当時検出さ
れたウイルスから約 50 塩基の変異がみられ、想定されるサル痘ウイルスの変異の速度よ
り速く変異が起こっていることが示唆された。しかし、多くの変異が加わった原因や、変異
が流行の動態に影響を与えているかは不明である(Isidro J, 2022)。なお、2022 年
に米国から、今回の発生と関連しているウイルスとは近縁でない2株も報告されている。
これらの症例では、共に常在国への渡航歴があることから、今回、常在国外で拡大してい
る流行とは関連しない症例と考えられた (ECDC, 2022b)。
近年、感染症や病原体等の命名は、偏見防止のために地理的な名称を用いない配慮がな
されており、サル痘ウイルスは、コンゴ盆地系統群をクレード 1、西アフリカ系統群をクレー
ド 2 と 3 に分類する方法が提唱されている(Happi C, 2022)。

ワクチンについて
痘そう(天然痘)ワクチンは、痘そうウイルスやサル痘ウイルスと同じオルソポックスウイルス
属の一つであるワクチニアウイルスをウイルス株として使用したワクチンである。痘そうワク
チンのサル痘に対する予防効果については、天然痘根絶後の 1980 年代のコンゴ民主共
和国でのデータでは、予防効果は 85%と推定されている(Fine PE, 1988)。また、
2003 年に米国で発生したサル痘アウトブレイクの事後の調査では、痘そうワクチン接種
者にはサル痘ウイルスに対する防御免疫が誘導されていたことが示されている(Karem
KI, 2007, Hammarlund E, 2005)。オルソポックスウイルス属間の抗原交叉はよく知
られており、天然痘の根絶以後は、痘そうワクチンの効果については、動物実験で、当該動
物種に感染し病原性のあるオルソポックスウイルス属のウイルスをチャレンジウイルスとし
て検討されてきた。その中で、サルにおけるサル痘に対する予防効果についても示されて
きた。
日本で開発された痘そうワクチン(一般名:乾燥細胞培養痘そうワクチン)は、根絶期に使わ
れたワクチン株であるリスター株を親株として作成された LC16m8 株由来の弱毒化生ワ
クチン(以下、LC16m8 ワクチン)であり、痘そうに対する予防ワクチンとして承認されて
いる。LC16m8 ワクチンは、サルにおいて、サル痘に対して、前世代ワクチン(天然痘根絶
期に使われていたワクチン)に比べて中和抗体誘導量は低下する(Kennedy JS, 2011)
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2022.

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