よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【参考資料2】 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26881.html
出典情報 厚生科学審議会 会感染症部会(第63回 8/1)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

が、前世代ワクチンと同様に高い発症予防効果が示されている(Saijo M, 2006,
Iizuka I, 2017, Gordon SN, 2011)。また、ヒトにおいては、サル痘ウイルスに対する
交叉中和抗体を誘導することが示されている(Jeffery S, 2011)。痘そうワクチンのサル
痘予防効果については、引き続き科学的知見を取得する努力が求められているが、天然痘
予防における痘そうワクチンの使用実績やこれらの動物モデルでの実験結果、限定的な疫
学研究、観察研究の結果を踏まえて、世界保健機関(WHO)は、サル痘に対するワクチンと
して LC16m8 ワクチンを含む痘そうワクチンの使用を推奨している(WHO, 2022c)
LC16m8 ワクチンの安全性については、昭和 49 年度に約 5 万人の小児に接種され、重
篤な副反応は報告されなかった。また詳細に臨床症状を観察し得た 10,578 例での発熱
率は 7.7%であり、その他の副反応もいずれも軽症だった(山口, 1975)。成人の接種に
おいても、米国での 154 人の治験(Jeffery S, 2011)、2002 年から 2005 年に国内
で行われた接種 3,221 例 (Saito T, 2009)においても、重篤な副反応は報告されてい
ない。

医薬品について
いくつかの抗ウイルス薬について、in vitro および動物実験での活性が証明されており、
サル痘の治療に利用できる可能性があるが、サル痘に対する薬事承認を得ているのは EU
における tecovirimat(ST-246)のみである。
tecovirimat は、米国 SIGA Technologies 社が開発する抗ウイルス薬であり、2018
年に米国で経口の抗天然痘薬として承認され、2022 年5月に同適応の静注薬として承認
された(US FDA , 2018 , SIGA, 2022)。また、EU では天然痘、ワクチニア症、サル
痘、牛痘に適応がある経口薬として承認された(European Medicines Agency,
2022)。いずれも臨床試験で効果を評価することは困難であることから、非ヒト哺乳類(サ
ル)を含む複数の動物での致死的チャレンジ試験のデータにより有効性が評価されている。
サル痘に対する効果については、サルにおけるサル痘の致死的チャレンジ試験でも有効性
が確認されている(US FDA, 2018, Grosenbach DW, 2018)。英国からヒトでのサ
ル痘の治療例が1例報告されており、他の抗ウイルス薬である brincidofovir で治療され
た3例と比較して、症状及び上気道ウイルス排出期間が短く、退院までに有害事象は確認さ
れなかった(Adler H, 2022)。ヒトにおける安全性は 359 人で評価されており、最も多
い副作用は頭痛(10 人に 1 人程度)と吐き気(最大 10 人に 1 人程度)で後遺症なく回復
している(European Medicines Agency, 2022, Grosenbach DW, 2018)。
また、ヒトでの第 2 世代天然痘ワクチン接種後の重篤な副反応例に対しての治療目的の使
用例があるが(Vora S, 2008, CDC, 2009, Lederman ER, 2012, Whitehouse
ER, 2019, Lindholm DA, 2019)重篤な副作用は見られていない。

©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2022.

5/10