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資料6-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29460.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第3回 12/1)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
7 ウイルス感染
8 クラミジア感染
9
出典
【要約】Powassanウイルス(POWV)は、カナダ、米国北東部および中北部、極東ロシアで広く認められる新興のダ
ニ媒介アルボウイルスである。依然としてまれではあるが、過去10年間でPOWV疾患の報告例が増加しており、ほ
とんど(>90%)の症例が神経浸潤性であり、関連する致死率は高い(>10%)。POWVの輸血に関連するリスクは依然
として不明であり、介入の適応はないと思われるが、POWVおよび他のダニ媒介性感染の発生率の増加との関連
で、輸血によるPOWVの可能性のある症例1例には警戒が必要である。【輸血関連リスク】輸血感染のPowassanウ
イルスの可能性のある症例が1例報告されている。ダニに曝露していない腎移植レシピエントの最初の患者が、手
術から約3週間後に脳炎を発症した。最初に頭痛、発熱、筋肉痛、および下痢が見られ、症状は、錯乱、羞明、運
Transfusion. 61(2021) 動失調、振戦、構音障害、視力障害、および感音難聴が進行した。初回入院時(移植時)に3単位の赤血球を輸血
3286-3288
した。臓器ドナーは除外された。すなわち、臓器ドナーの保存した調達前の血漿および血清はPOWV陰性であっ
た。ウィスコンシン州(流行地域)の供血者の1人は、供血の1ヵ月前にダニに曝露していた。供血者の供血後のサ
ンプルは、RT-PCR(高サイクル閾値で1対3のプライマーで陽性)によるPOWV RNAについて決定的なものではな
かった。保管された供血サンプルの最初の抗体検査は陰性であったが、6ヵ月後にIgMおよび中和抗体の再検査は
陽性であった。明記されていないが、ドナーは無症候性であったと仮定されている。レシピエントは数カ月かけてほ
ぼ完全に回復した。【考察】輸血による感染の可能性がある1症例では、輸血に関連するリスクに情報を与える因
子について有意義なコメントをするには不十分であるが、注意を払い、適切な状況で現在進行中の臨床サーベイラ
ンスを行い、調査する必要がある。
Int J Environ Res
Public Health. 19
(2022)2174
サイトメガロウイ ProMED-mail
ルス感染
20220506.8703070
10 サルモネラ症
概要
BMC Infectious
Diseases. 22(2022)14
クラミジア科は世界中で動物とヒトの急性疾患や慢性疾患を引き起こしている偏性細胞内細菌である。オウム病は
Chlamydia psittaci によって引き起こされる人畜共通感染症で、ヒトでは鳥類飼育者、獣医、養鶏業者、屠殺場の労
働者が主に罹患する。C. psittaci は長い間鳥類における唯一の病原種と考えられてきたが、他のクラミジア種も疾
患に関与している可能性が示唆されている。Chlamydia gallinacea は最近発見された病原性が不明な新種で、アル
ゼンチン、中国、オランダ、ポーランド、米国、オーストラリア、メキシコの家禽におけるクラミジア症の優勢な病原体
として報告される一方、無症状の家禽からも検出されている。フランスの屠殺場では非定型肺炎症例の後にC.
gallinacea が検出され人畜共通感染が初めて想起されたが、症例が確認されたことはなく、C. gallinacea の病原性
と人畜共通感染能についてはまだわかっていない。本研究では家禽および農場で職業曝露した労働者におけるク
ラミジア種の頻度を推定するため、イタリア北西部で横断的研究を行った。養鶏場は規模(250羽以上の商業養鶏
場、250羽未満の裏庭養鶏場)、飼育種(ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、家禽類混合)、経営の種別に
従って層別化し、危険因子特定のため養鶏場の様々な情報を収集した。各養鶏場の家禽から総排泄腔スワブ試
料を、職業曝露労働者(農業従事者や獣医等)からは喀痰試料を収集した。83の商業養鶏場と31の裏庭養鶏場か
ら、総計2063羽の家禽類と145人の職業曝露労働者の試料を収集し、クラミジア科スクリーニングと種決定のため
のリアルタイムPCRを用いて分析した。クラミジア科は23の養鶏場で検出され、集団有病率は20.2%(95% CI:13.228.7)だった。商業養鶏場(13.3%;95% CI:6.8-22.5)よりも裏庭養鶏場(38.7%;95% CI:21.8-57.8)の方が集団有病率
は高かった。C. gallinacea は18の養鶏場で、C. psittaci は3つの養鶏場で検出された。農業従事者から採取した113
の喀痰試料のうち16がクラミジア科陽性で、有病率は14.2%(95% CI:8.3-22)であった。獣医や医療関係者の陽性
はなかった。ヒト陽性例の約70%がC. gallinacea に感染していた。陽性者の中に過去の呼吸器疾患や肺炎、進行中
の徴候や症状を報告した者はいなかった。家禽とヒトは感染したクラミジア種が強く一致していた。裏庭養鶏場では
放し飼いが多く農業従事者の個人用保護具装着が少ないことや、周辺に茂み(野鳥が隠れたり営巣したりする)が
あるとクラミジア感染リスクが高くなることなどから、クラミジア陽性に関連する主な危険因子は、野鳥への曝露とバ
イオセキュリティと考えられた。C. gallinacea と関係したヒト症例は、この種について初めて報告された10数年前の
文献以来報告されたことがない。我々の知る限り国際レベルで初めて、クラミジア陽性養鶏場で働く農業従事者か
らC. gallinacea が検出され、鳥類からヒトへの伝播が示唆された。
問題点:米国において、ブタサイトメガロウイルスによる初めてのヒト感染例が確認された。
【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。本発表は、組換えられた動物臓器の
普及がヒト集団への新しい病原体の侵入を容易にする可能性があるという、動物からヒトへの移植に対する最も緊
急性の高い異論の1つを支持するものである。
57歳男性は遺伝子組換えブタから心臓を移植し、2ヵ月間生存したが、動物に感染するウイルスの兆候を示した。
患者におけるウイルスDNAの存在は、2022年3月8日における患者の突然の悪化および死亡の原因となった感染
症を示唆している可能性がある、とメリーランド大学医学部の移植外科医は米国移植学会で発表した。
当該ブタはヒト免疫系による拒絶反応を起こすことのないよう遺伝子操作された。ブタの心臓はヴァージニア州に
本拠を置く再生医療会社から患者に提供された。大学関係者は、当該ブタにブタサイトメガロウイルス(CMV)と呼
ばれるウイルス検査を実施していた、と述べた。しかし、検査では活動性感染症のみが検出され、ブタの体内に潜
伏するウイルスは検出されない。移植は当初、成功したと判断された。患者は臓器拒絶の兆候を示さず、ブタの心
臓は1ヵ月超機能し続け、移植患者にとって重要なマイルストーンを通過した。移植後20日目、検査にて患者にブタ
CMVの存在が示されたが、大変低レベルであったため、外科医は検査室でのエラーかもしれないと考えた。手術後
45日目、患者は急激に病状が悪化し、その後の検査でウイルスレベルの急上昇が示された。患者は大変憂鬱な
様子で具合が悪く、注意力を失った。医師らと話そうとしなかった。苦しそうに息をしながらベッドに横たわり、熱っぽ
かった。同医師は、20日目のごく早い段階で現れたウイルスが時間の経過に伴い増殖し始め、これが作用因子で
あった可能性があると考えた。提供されるヒト臓器が極度に不足している只中で、今回の動物心臓の移植はここ
数ヵ月における画期的な移植の一つであり、新しい腎臓、心臓および肺を必要とする何万人もの患者に希望を与
えていた。しかし、特に動物疾患のヒト集団への潜在的侵入という予期せぬ結果は、遺伝子組換え臓器の利用に
対する熱意を弱める可能性がある。
【背景】サルモネラ症は、リザーバーとなる様々な動物との直接的または間接的な接触により生じる、世界的な人
獣共通感染症の主な原因である。オーストラリアのニューサウスウェールズ州(NSW)において、サルモネラ症は主
に食物媒介性であると考えられているが、動物のリザーバーの相対的な寄与については不明である。【方法】本分
析には、2008年1月~2019年8月の間に、NSWにおいて、動物より分離された4543の血清型分離株と、国内で獲得
されたヒト症例より分離された30073の血清型分離株が包含された。Bayesian source attribution手法を使用して、
肉用鶏、卵用鶏、反芻動物、ブタ、未知または未採取の感染源による食物媒介性サルモネラ症の割合を推定し
た。追加の解析では、4つの時期と5つの地域を共変量に含めた。【結果】単一の血清型であるSalmonella
Typhimurium は、2008~2014年に発生した症例の65~75%を占めていたが、2017~2019年に発生した症例では
<50%であった。卵用鶏の寄与は、2008~2010年では最も高かったが(48.7%、95%CrI 24.2~70.3%)、2017~
2019年には半分に減少した(23.1%、95%CrI 5.7~38.9%)。また、大都市の集団よりも農村部や遠隔地の集団で
少なかった。未採取の感染源による症例の割合は全体の11.3%(95%CrI 1.2~22.1%)であり、農村部や遠隔地の
集団で多かった。ブタに起因する症例の割合は2009~2016年の約20%から2017~2019年の約40%に増加してお
り、サルモネラ血清型4、5、12:i:‐による症例の増加と一致していた。【結論】卵用鶏は、2010年頃のNSWにおける
国内で獲得されたサルモネラ感染症の主なリザーバーであった可能性がある。しかし、卵用鶏群へのワクチン接種
の増加や、卵の取り扱いに関する食品安全規制の強化に伴い、原因としての寄与は減少した。2017~2019年にお
けるブタおよび未採取の感染源の寄与の明らかな増加については、更なる調査が必要である。
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感染症(PT)
7 ウイルス感染
8 クラミジア感染
9
出典
【要約】Powassanウイルス(POWV)は、カナダ、米国北東部および中北部、極東ロシアで広く認められる新興のダ
ニ媒介アルボウイルスである。依然としてまれではあるが、過去10年間でPOWV疾患の報告例が増加しており、ほ
とんど(>90%)の症例が神経浸潤性であり、関連する致死率は高い(>10%)。POWVの輸血に関連するリスクは依然
として不明であり、介入の適応はないと思われるが、POWVおよび他のダニ媒介性感染の発生率の増加との関連
で、輸血によるPOWVの可能性のある症例1例には警戒が必要である。【輸血関連リスク】輸血感染のPowassanウ
イルスの可能性のある症例が1例報告されている。ダニに曝露していない腎移植レシピエントの最初の患者が、手
術から約3週間後に脳炎を発症した。最初に頭痛、発熱、筋肉痛、および下痢が見られ、症状は、錯乱、羞明、運
Transfusion. 61(2021) 動失調、振戦、構音障害、視力障害、および感音難聴が進行した。初回入院時(移植時)に3単位の赤血球を輸血
3286-3288
した。臓器ドナーは除外された。すなわち、臓器ドナーの保存した調達前の血漿および血清はPOWV陰性であっ
た。ウィスコンシン州(流行地域)の供血者の1人は、供血の1ヵ月前にダニに曝露していた。供血者の供血後のサ
ンプルは、RT-PCR(高サイクル閾値で1対3のプライマーで陽性)によるPOWV RNAについて決定的なものではな
かった。保管された供血サンプルの最初の抗体検査は陰性であったが、6ヵ月後にIgMおよび中和抗体の再検査は
陽性であった。明記されていないが、ドナーは無症候性であったと仮定されている。レシピエントは数カ月かけてほ
ぼ完全に回復した。【考察】輸血による感染の可能性がある1症例では、輸血に関連するリスクに情報を与える因
子について有意義なコメントをするには不十分であるが、注意を払い、適切な状況で現在進行中の臨床サーベイラ
ンスを行い、調査する必要がある。
Int J Environ Res
Public Health. 19
(2022)2174
サイトメガロウイ ProMED-mail
ルス感染
20220506.8703070
10 サルモネラ症
概要
BMC Infectious
Diseases. 22(2022)14
クラミジア科は世界中で動物とヒトの急性疾患や慢性疾患を引き起こしている偏性細胞内細菌である。オウム病は
Chlamydia psittaci によって引き起こされる人畜共通感染症で、ヒトでは鳥類飼育者、獣医、養鶏業者、屠殺場の労
働者が主に罹患する。C. psittaci は長い間鳥類における唯一の病原種と考えられてきたが、他のクラミジア種も疾
患に関与している可能性が示唆されている。Chlamydia gallinacea は最近発見された病原性が不明な新種で、アル
ゼンチン、中国、オランダ、ポーランド、米国、オーストラリア、メキシコの家禽におけるクラミジア症の優勢な病原体
として報告される一方、無症状の家禽からも検出されている。フランスの屠殺場では非定型肺炎症例の後にC.
gallinacea が検出され人畜共通感染が初めて想起されたが、症例が確認されたことはなく、C. gallinacea の病原性
と人畜共通感染能についてはまだわかっていない。本研究では家禽および農場で職業曝露した労働者におけるク
ラミジア種の頻度を推定するため、イタリア北西部で横断的研究を行った。養鶏場は規模(250羽以上の商業養鶏
場、250羽未満の裏庭養鶏場)、飼育種(ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、家禽類混合)、経営の種別に
従って層別化し、危険因子特定のため養鶏場の様々な情報を収集した。各養鶏場の家禽から総排泄腔スワブ試
料を、職業曝露労働者(農業従事者や獣医等)からは喀痰試料を収集した。83の商業養鶏場と31の裏庭養鶏場か
ら、総計2063羽の家禽類と145人の職業曝露労働者の試料を収集し、クラミジア科スクリーニングと種決定のため
のリアルタイムPCRを用いて分析した。クラミジア科は23の養鶏場で検出され、集団有病率は20.2%(95% CI:13.228.7)だった。商業養鶏場(13.3%;95% CI:6.8-22.5)よりも裏庭養鶏場(38.7%;95% CI:21.8-57.8)の方が集団有病率
は高かった。C. gallinacea は18の養鶏場で、C. psittaci は3つの養鶏場で検出された。農業従事者から採取した113
の喀痰試料のうち16がクラミジア科陽性で、有病率は14.2%(95% CI:8.3-22)であった。獣医や医療関係者の陽性
はなかった。ヒト陽性例の約70%がC. gallinacea に感染していた。陽性者の中に過去の呼吸器疾患や肺炎、進行中
の徴候や症状を報告した者はいなかった。家禽とヒトは感染したクラミジア種が強く一致していた。裏庭養鶏場では
放し飼いが多く農業従事者の個人用保護具装着が少ないことや、周辺に茂み(野鳥が隠れたり営巣したりする)が
あるとクラミジア感染リスクが高くなることなどから、クラミジア陽性に関連する主な危険因子は、野鳥への曝露とバ
イオセキュリティと考えられた。C. gallinacea と関係したヒト症例は、この種について初めて報告された10数年前の
文献以来報告されたことがない。我々の知る限り国際レベルで初めて、クラミジア陽性養鶏場で働く農業従事者か
らC. gallinacea が検出され、鳥類からヒトへの伝播が示唆された。
問題点:米国において、ブタサイトメガロウイルスによる初めてのヒト感染例が確認された。
【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。本発表は、組換えられた動物臓器の
普及がヒト集団への新しい病原体の侵入を容易にする可能性があるという、動物からヒトへの移植に対する最も緊
急性の高い異論の1つを支持するものである。
57歳男性は遺伝子組換えブタから心臓を移植し、2ヵ月間生存したが、動物に感染するウイルスの兆候を示した。
患者におけるウイルスDNAの存在は、2022年3月8日における患者の突然の悪化および死亡の原因となった感染
症を示唆している可能性がある、とメリーランド大学医学部の移植外科医は米国移植学会で発表した。
当該ブタはヒト免疫系による拒絶反応を起こすことのないよう遺伝子操作された。ブタの心臓はヴァージニア州に
本拠を置く再生医療会社から患者に提供された。大学関係者は、当該ブタにブタサイトメガロウイルス(CMV)と呼
ばれるウイルス検査を実施していた、と述べた。しかし、検査では活動性感染症のみが検出され、ブタの体内に潜
伏するウイルスは検出されない。移植は当初、成功したと判断された。患者は臓器拒絶の兆候を示さず、ブタの心
臓は1ヵ月超機能し続け、移植患者にとって重要なマイルストーンを通過した。移植後20日目、検査にて患者にブタ
CMVの存在が示されたが、大変低レベルであったため、外科医は検査室でのエラーかもしれないと考えた。手術後
45日目、患者は急激に病状が悪化し、その後の検査でウイルスレベルの急上昇が示された。患者は大変憂鬱な
様子で具合が悪く、注意力を失った。医師らと話そうとしなかった。苦しそうに息をしながらベッドに横たわり、熱っぽ
かった。同医師は、20日目のごく早い段階で現れたウイルスが時間の経過に伴い増殖し始め、これが作用因子で
あった可能性があると考えた。提供されるヒト臓器が極度に不足している只中で、今回の動物心臓の移植はここ
数ヵ月における画期的な移植の一つであり、新しい腎臓、心臓および肺を必要とする何万人もの患者に希望を与
えていた。しかし、特に動物疾患のヒト集団への潜在的侵入という予期せぬ結果は、遺伝子組換え臓器の利用に
対する熱意を弱める可能性がある。
【背景】サルモネラ症は、リザーバーとなる様々な動物との直接的または間接的な接触により生じる、世界的な人
獣共通感染症の主な原因である。オーストラリアのニューサウスウェールズ州(NSW)において、サルモネラ症は主
に食物媒介性であると考えられているが、動物のリザーバーの相対的な寄与については不明である。【方法】本分
析には、2008年1月~2019年8月の間に、NSWにおいて、動物より分離された4543の血清型分離株と、国内で獲得
されたヒト症例より分離された30073の血清型分離株が包含された。Bayesian source attribution手法を使用して、
肉用鶏、卵用鶏、反芻動物、ブタ、未知または未採取の感染源による食物媒介性サルモネラ症の割合を推定し
た。追加の解析では、4つの時期と5つの地域を共変量に含めた。【結果】単一の血清型であるSalmonella
Typhimurium は、2008~2014年に発生した症例の65~75%を占めていたが、2017~2019年に発生した症例では
<50%であった。卵用鶏の寄与は、2008~2010年では最も高かったが(48.7%、95%CrI 24.2~70.3%)、2017~
2019年には半分に減少した(23.1%、95%CrI 5.7~38.9%)。また、大都市の集団よりも農村部や遠隔地の集団で
少なかった。未採取の感染源による症例の割合は全体の11.3%(95%CrI 1.2~22.1%)であり、農村部や遠隔地の
集団で多かった。ブタに起因する症例の割合は2009~2016年の約20%から2017~2019年の約40%に増加してお
り、サルモネラ血清型4、5、12:i:‐による症例の増加と一致していた。【結論】卵用鶏は、2010年頃のNSWにおける
国内で獲得されたサルモネラ感染症の主なリザーバーであった可能性がある。しかし、卵用鶏群へのワクチン接種
の増加や、卵の取り扱いに関する食品安全規制の強化に伴い、原因としての寄与は減少した。2017~2019年にお
けるブタおよび未採取の感染源の寄与の明らかな増加については、更なる調査が必要である。
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