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参考資料1 変異株リスク評価 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第111回 12/21)《厚生労働省》
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国立感染症研究所. 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第 23 報)

究所, 2022d)。検疫での検体陽性者の滞在国は大部分が南アジア、東南アジアであり、世界的な検
出状況を反映しているものと考えられる。


XBB 系統はスパイクタンパク質の受容体結合部位中の R346T、N460K、F486S などのアミノ酸変
異を有し、中和抗体からの逃避能が上昇する可能性が示唆されている。また、実験的にも中和抗体
からの逃避能が高いこと(Cao Y. et al., 2022b)や、従来株、オミクロン対応 2 価の両ワクチンの感
染予防効果が低下する可能性が示唆されている(Kurhade C. et al.,2022)一方で、オミクロン対応 2
価ワクチンは従来株ワクチンよりも免疫原性が高い可能性が示唆されている(Zou J. et al., 2022)。
ただし、いずれも査読を受けていないプレプリント論文であることに注意が必要である。また、感
染者数増加の優位性も BA.2.75 系統や BA.4.6 系統と比較して高い可能性があるものの、XBB 系統
が占める割合の上昇と感染者数の増加との明確な関連性はなく、臨床的な所見からは、重症度の上
昇は示唆されていない(WHO, 2022c)。再感染のリスクが高まる可能性も示唆されているが、オミ
クロン既感染者の再感染についての証拠はない(WHO, 2022c)。また、治療薬やワクチンの有効性
について、疫学的な評価はされていない。国内外での報告数が少ないことから、今後の国内外での
検出状況、感染者数や重症者数の推移を注視する必要がある。

BS.1 系統について


検疫において、2022 年 8 月下旬に日本に到着した入国者 3 名の陽性検体から、BA.2.3.2 系統(BA.2
系統の亜系統)が起源と考えられるが、これまでに報告のない変異を有するウイルスが検出され、
BS.1 系統と命名された(GitHub, 2022)。当該 3 名の陽性者の行動歴にはいずれもベトナムへの渡航
があったが到着日および到着空港は異なっており、明らかな疫学リンクは確認できない。また、
BS.1 系統に変異が加わった BS.1.1 系統、BS.1.2 系統が報告されている(Cov-lineages.org, 2022)。
12 月 7 日時点で BS.1 系統(亜系統を含む)は検疫で 39 件、国内で 42 件の報告がある(GISAID,
2022)。また、12 月 1 日時点で日本以外にオーストラリア、ベトナム、韓国など計 24 か国から
GISAID に 323 件が登録されている(covSPECTRUM, 2022)。



BS.1 系統は BA.2.3.2 系統の有する変異に加え、スパイクタンパク質に 3 つのアミノ酸の挿入、
Y144 欠失、R346T、L452R、N460R、G476S、R493Q (reversion)および S640F の特異的変異を有
している。これらスパイクタンパク質の変異による抗体結合部位への構造の影響に伴い、中和抗体
からの逃避能の上昇が示唆される。また、ORF6 に 27266~27300 欠失によるフレームシフトが認
められることから、自然免疫応答への影響が示唆される。ただし、国内外での報告数が少ないこと
から、感染者数増加の優位性、重症度、治療薬やワクチンの有効性への影響についての明らかな知
見はなく、今後の国内外での検出状況、感染者数や重症者数の推移を注視する必要がある。

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