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参考資料3 令和3年度 厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)「新規及び既存の放射線診療に対応する放射線防護の基準策定のための研究」分担研究報告書 (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211244_00004.html |
出典情報 | 医療放射線の適正管理に関する検討会(第2回 1/26)《厚生労働省》 |
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3-3.RALS 室に設置した CT 装置の安全な運用方法の検討
RI 規制法や医療法を基に,研究者の協議の上,運用方法(案)を策定した.詳細は資
料1「診療用放射線照射装置(remote afterloading system: RALS)使用室に併設され
た診療用 CT エックス線撮影装置の単独撮影における「適切な防護措置」
(案)」の通り
である.
4.考察
4-1.RALS 室 CT に関するアンケート調査
全国から回答を得た.地域偏在性は無かったと考えられる.RALS 装置から漏洩した
線量で生じる被ばく線量(表 2)は,ガンマ線エネルギーの高い Co-60 を装備した装置
が 高 か っ た . Co-60 線 源 を 使 用 す る 施 設 か ら の 回 答 数 が 少 な い も の の , 旧 型 の
MultiSource より新型の SagiNova で線量が低下していた.SagiNova では,線源収納容
器の構造が改善されたためである.
代表的な施設で被ばく線量を計測した結果を資料2「RALS 室 CT_被ばく線量計測結
果」に示す.国内で最も流通している Ir-192 を使用するマイクロセレクトロン HDR-V3
と , 線 源 収 納 容 器 か ら の 漏 洩 線 量 が 最 も 高 い と 考 え ら れ る Co-60 を 使 用 す る
MultiSource,それぞれ 2 施設で計測した.施設が所有するサーベイメータを用いて,
RALS 装置から CT 撮影時で想定される患者部位までの最も近い位置で計測した.4 施設
で最も高い線量を示したのは,RALS 装置から1 m で計測した Co-60 を使用する施設で
あった.装置表面から 1 メートルにおける 15 分間の積算線量は最大で 0.3 µSv であり,
1 時間あたりに換算すると 1.2 µSv/h となり,表 2 の結果とも相違せず,RALS 装置から
の被ばく線量は十分に低くなることを確認できた.
CT 撮影が 1 回当たり 1 時間を要し,患者一人の CT 撮影回数を,安全側に考えて,年
に 10 回の実施と仮定すると,当該患者の RALS 室の滞在時間は年あたり 10 時間となる.
以上より,すべての装置で国際放射線防護委員会勧告の公衆の実効線量限度である年
1.0 mSv を十分に下回る.
高線量率密封小線源治療は,一施設あたりおよそ年間 25 名,延べ 90 回(中央値)に
実施されていた(表 3)
.患者の入退室に 1 回当たり 3 時間程度を要するため,RALS 室
の CT 装置を占有する時間は約 300 時間となる.また,アンケートの「設問項目⑤RALS
室 CT の設置の有無や使用日数」では,回答施設の年間使用日数は平均で 92 日であり,
RALS 室 CT は使用されない時間が長いことがわかる.このような状況のため,「設問項
目⑥RALS 室 CT を他の目的に使用する希望調査」では,65%の施設で外照射の治療計画
のために使用したいとの希望があった(表 4).これらの回答は,現有の外照射計画用 CT
装置の待機期間が延長している施設と,治療計画用 CT 装置と併用したい施設とに大別
できる.
画像診断への使用希望は,17%と低かった(表 5)
.これは,すでに画像診断部門に十
225
RI 規制法や医療法を基に,研究者の協議の上,運用方法(案)を策定した.詳細は資
料1「診療用放射線照射装置(remote afterloading system: RALS)使用室に併設され
た診療用 CT エックス線撮影装置の単独撮影における「適切な防護措置」
(案)」の通り
である.
4.考察
4-1.RALS 室 CT に関するアンケート調査
全国から回答を得た.地域偏在性は無かったと考えられる.RALS 装置から漏洩した
線量で生じる被ばく線量(表 2)は,ガンマ線エネルギーの高い Co-60 を装備した装置
が 高 か っ た . Co-60 線 源 を 使 用 す る 施 設 か ら の 回 答 数 が 少 な い も の の , 旧 型 の
MultiSource より新型の SagiNova で線量が低下していた.SagiNova では,線源収納容
器の構造が改善されたためである.
代表的な施設で被ばく線量を計測した結果を資料2「RALS 室 CT_被ばく線量計測結
果」に示す.国内で最も流通している Ir-192 を使用するマイクロセレクトロン HDR-V3
と , 線 源 収 納 容 器 か ら の 漏 洩 線 量 が 最 も 高 い と 考 え ら れ る Co-60 を 使 用 す る
MultiSource,それぞれ 2 施設で計測した.施設が所有するサーベイメータを用いて,
RALS 装置から CT 撮影時で想定される患者部位までの最も近い位置で計測した.4 施設
で最も高い線量を示したのは,RALS 装置から1 m で計測した Co-60 を使用する施設で
あった.装置表面から 1 メートルにおける 15 分間の積算線量は最大で 0.3 µSv であり,
1 時間あたりに換算すると 1.2 µSv/h となり,表 2 の結果とも相違せず,RALS 装置から
の被ばく線量は十分に低くなることを確認できた.
CT 撮影が 1 回当たり 1 時間を要し,患者一人の CT 撮影回数を,安全側に考えて,年
に 10 回の実施と仮定すると,当該患者の RALS 室の滞在時間は年あたり 10 時間となる.
以上より,すべての装置で国際放射線防護委員会勧告の公衆の実効線量限度である年
1.0 mSv を十分に下回る.
高線量率密封小線源治療は,一施設あたりおよそ年間 25 名,延べ 90 回(中央値)に
実施されていた(表 3)
.患者の入退室に 1 回当たり 3 時間程度を要するため,RALS 室
の CT 装置を占有する時間は約 300 時間となる.また,アンケートの「設問項目⑤RALS
室 CT の設置の有無や使用日数」では,回答施設の年間使用日数は平均で 92 日であり,
RALS 室 CT は使用されない時間が長いことがわかる.このような状況のため,「設問項
目⑥RALS 室 CT を他の目的に使用する希望調査」では,65%の施設で外照射の治療計画
のために使用したいとの希望があった(表 4).これらの回答は,現有の外照射計画用 CT
装置の待機期間が延長している施設と,治療計画用 CT 装置と併用したい施設とに大別
できる.
画像診断への使用希望は,17%と低かった(表 5)
.これは,すでに画像診断部門に十
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