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資料 3 - 1 新規の疾病追加について研究班から情報提供のあった疾病の診断基準等案 (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》
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線毛機能不全症候群(カルタゲナー(Kartagener)症候群を含む。)
○ 概要
1. 概要
線毛機能不全症候群(primary ciliary dyskinesia:PCD)は、線毛に関連する遺伝子の病的バリアントで起
こる遺伝性疾患であり、慢性鼻副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位の3徴候とする Kartagener 症候群を
含む。患者の多くは咳嗽を主訴とし、慢性鼻副鼻腔炎、滲出性中耳炎、気管支拡張症、不妊を発症し、呼
吸器感染を繰り返して、時に呼吸不全をきたし、肺移植の適応となる。診断は運動線毛の電子顕微鏡検査、
線毛に関連する遺伝学的検査、鼻腔一酸化窒素産生量測定などによりなされる。
2.原因
線毛の構造蛋白や線毛の組み立てなどに関連する遺伝子の病的バリアントを原因とする。この 20 年間
に原因遺伝子が次々に解明され、現時点ではおよそ 50 の原因遺伝子が同定されている。これらの遺伝子
の病的バリアントは線毛運動や線毛形成を障害し、気道、耳管の粘液線毛輸送機能を破綻させる。また、
精子の鞭毛の運動障害をきたす。一部は胎児の一次線毛の運動障害を引き起こし、内臓逆位や先天性心
疾患の原因となる。これまでに報告された遺伝子のバリアントは人種や国により多様である。同じ原因遺伝
子を持つ患者でも、障害される臓器や重症度が異なる。
3.症状
主な症状は湿性咳嗽を主とする呼吸器症状である。発症年齢は出生直後からみられることも、生後数年
でみられることもある。症状は年齢により若干異なる。線毛機能不全症候群を疑う徴候を以下に示す。
1.新生児では多呼吸、咳嗽、肺炎、無気肺がみられ、成人では気管支拡張症・細気管支炎をきたす。
2.さまざまな重症度の慢性鼻副鼻腔炎をきたす。
3.滲出性中耳炎あるいはその後遺症がみられる。
4.内臓逆位あるいは内臓錯位がみられることがある。
5.男性不妊症がみられる。
6.同胞に線毛機能不全症候群を疑う家族歴がある。
4.治療法
現在のところ根本的な治療法は無く、呼吸器の管理と呼吸器感染症に対する治療が中心となり、生涯気
道クリアランス療法や運動療法を含む呼吸リハビリテーション、急性増悪を含む感染症管理、感染予防お
よび喫煙を含めた環境改善の指導を継続する必要がある。治療の目標は,増悪を予防し、疾患の進行を
遅らせることにより QOL を保つことである。このために、気道クリアランス療法(ACT)や運動療法などの呼
吸リハビリテーション、急性増悪を含む感染症管理、感染予防および喫煙を含めた環境改善の指導を行う。
重症化した場合には肺移植が必要となる。男性不妊に対しては、卵細胞質内精子注入法
(intracytoplasmic sperm injection: ICSI、いわゆる顕微授精)を行うことにより高率に授精することが可能と
なる。

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