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世界最大の胃がんゲノム解析により日本人胃がんの治療標的を同定 飲酒との関連もゲノム解析から初めて発見し新たな予防法の開発が期待 (3 ページ)

公開元URL https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0314_1/index.html
出典情報 プレスリリース(2022年度)世界最大の胃がんゲノム解析により日本人胃がんの治療標的を同定(3/14)《国立がん研究センター》
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(注)RNA シークエンス解析のみの症例もあり。また RNA シークエンスは高品質 RNA が得られた症例
のみで実施。
びまん型胃がんにおける発症要因の同定
喫煙や紫外線などがんの発生要因は、細胞の DNA に特徴的な変異(変異シグネチャー(注 6))を起こ
すことが知られています。そのため、がん細胞に生じた変異シグネチャーを解析することで、そのがんの
発生要因を推定することが可能です。今回の胃がんのゲノム解析においては、14 種類の変異シグネチ
ャーが同定され、中でも SBS16 という変異シグネチャーは、びまん型胃がん・東アジア人種に多く、また
男性、飲酒量、アルコールを代謝しにくい体質(分解能が弱いゲノム多型(注 7) (ADH1B/ALDH2))と有
意な相関を示しました。更にびまん型胃がんの発症において鍵となるドライバー遺伝子である RHOA 遺
伝子の変異が SBS16 で誘発されることが示され、飲酒に関連したゲノム異常が RHOA ドライバー変異
を誘発し、びまん型胃がんを発症することをゲノム解析から明らかにしました。

図 1:アルコール関連の変異シグネチャーが多い胃がんのゲノム解析結果
同定された 14 種類の変異シグネチャーの中でも SBS16 はびまん型胃がん・東アジア人種に多く、また
男性、飲酒量やアルコール分解能が弱いゲノム多型(注 7) (ADH1B/ALDH2)と有意な相関を示した。

胃がんにおけるドライバー遺伝子の全貌解明
今回の解析から、胃がんにおけるドライバー遺伝子を新規含め全部で 75 個発見しました。これはこ
れまでの米国 TCGA の報告である 25 個を大きく上回る結果です。何らかの治療法が知られているドラ
イバー遺伝子を一つ以上持っている症例は全体の約 25% (24.6%)に認められ、すでに胃がんに対して
臨床で使用可能な治療薬がある症例は全体の約 10%(9.6%)でした。治療標的としては、VEGFA,
FGFR2 キナーゼ、PD-L1/L2 といった免疫チェックポイント分子のゲノム異常(3’UTR 構造異常や遺伝
子増幅)、NRG1/2 や RET など複数のキナーゼ融合遺伝子が同定でき、新たな治療標的として有望と
考えられました。

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