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世界最大の胃がんゲノム解析により日本人胃がんの治療標的を同定 飲酒との関連もゲノム解析から初めて発見し新たな予防法の開発が期待 (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0314_1/index.html |
出典情報 | プレスリリース(2022年度)世界最大の胃がんゲノム解析により日本人胃がんの治療標的を同定(3/14)《国立がん研究センター》 |
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胃がんにおける免疫療法バイオマーカーの同定
免疫細胞はがん抗原を認識し、サイトカインであるインターフェロンガンマを放出して、がん細胞を攻
撃することが知られています。インターフェロンガンマの刺激はがん細胞上の受容体(インターフェロンガ
ンマ受容体:INFGR1/2)とその下流シグナル分子 (JAK1/2)によって伝達されます(下図)。高度変異胃
がんでは、HLA 遺伝子や B2M 遺伝子といったがん抗原提示に関わる分子、更にはこうしたインターフ
ェロンガンマ経路分子における機能喪失型変異やゲノム異常を 70%以上の症例で認め、こうした症例
では免疫チェックポイント阻害剤の効果が低い可能性が考えられました(図 4)。更に発現解析データを
用いて腫瘍内における免疫細胞の量や活性化について評価した結果、HER2 遺伝子増幅、KRAS 変
異、TP53 変異、WNT 経路異常といったドライバー遺伝子が低免疫活性状態(免疫療法が効きにくい
可能性)と相関し、一方で PIK3CA 変異やクロマチン制御分子 (ARID1A, ARID2, BAP1 など)異常が
高免疫活性化状態(免疫活性が高い状態)と相関することを明らかにしました。全部で 16 個のドライバー
異常が免疫状態と相関しており、これらは胃がんに対する免疫治療における新たなゲノムバイオマーカ
ーとなる可能性があります。(図 5)
図 4:高度変異胃がんにおける免疫関連遺伝子異常の頻度
図上:がん抗原の提示(HLA)やがん免疫反応(IFNG/JAK)に重要な遺伝子の異常が高度変異胃がんの
約 70%の症例で見られた。(水色:コピー数欠失、オレンジ:フレームシフト変異、紫:ミスセンス変
異、緑:ナンセンス変異、赤:スプライシング異常)
図下:胃がん細胞における免疫応答 抗原提示と IFN ガンマとその受容体の構造模式図
5
免疫細胞はがん抗原を認識し、サイトカインであるインターフェロンガンマを放出して、がん細胞を攻
撃することが知られています。インターフェロンガンマの刺激はがん細胞上の受容体(インターフェロンガ
ンマ受容体:INFGR1/2)とその下流シグナル分子 (JAK1/2)によって伝達されます(下図)。高度変異胃
がんでは、HLA 遺伝子や B2M 遺伝子といったがん抗原提示に関わる分子、更にはこうしたインターフ
ェロンガンマ経路分子における機能喪失型変異やゲノム異常を 70%以上の症例で認め、こうした症例
では免疫チェックポイント阻害剤の効果が低い可能性が考えられました(図 4)。更に発現解析データを
用いて腫瘍内における免疫細胞の量や活性化について評価した結果、HER2 遺伝子増幅、KRAS 変
異、TP53 変異、WNT 経路異常といったドライバー遺伝子が低免疫活性状態(免疫療法が効きにくい
可能性)と相関し、一方で PIK3CA 変異やクロマチン制御分子 (ARID1A, ARID2, BAP1 など)異常が
高免疫活性化状態(免疫活性が高い状態)と相関することを明らかにしました。全部で 16 個のドライバー
異常が免疫状態と相関しており、これらは胃がんに対する免疫治療における新たなゲノムバイオマーカ
ーとなる可能性があります。(図 5)
図 4:高度変異胃がんにおける免疫関連遺伝子異常の頻度
図上:がん抗原の提示(HLA)やがん免疫反応(IFNG/JAK)に重要な遺伝子の異常が高度変異胃がんの
約 70%の症例で見られた。(水色:コピー数欠失、オレンジ:フレームシフト変異、紫:ミスセンス変
異、緑:ナンセンス変異、赤:スプライシング異常)
図下:胃がん細胞における免疫応答 抗原提示と IFN ガンマとその受容体の構造模式図
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