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資料 1 - 5 研究班から提出のあった資料等 (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》
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273 肋骨異常を伴う先天性側弯症
○ 概要
1.概要
小児に発症する脊柱側弯症はその原因も様々で、その態様も個々の患者ごとで大変大きな差がある。成
長期、特に思春期に悪化しやすいが、脊柱変形の悪化が少ないものは予後も良くQOL(生活の質)の観点
からも大きな問題にはならないことが多い。一方、新生児、乳幼児期に発症する脊柱変形の中にはその変
形悪化が著しい症例が少なからずあり、それに伴い胸郭変形も高度になり、胸郭容量の減少により肺成長
が阻害され呼吸機能低下を来す。患者によっては成長に伴いさらに悪化して、最終的には拘束性換気障害、
閉塞性換気障害などの病態を引き起こし、慢性呼吸不全の状態となる症例も存在する。このように脊柱変
形など種々の原因で小児成長期に高度胸郭変形が発症する症例では、結果として正常な肺の成長やその
呼吸機能をサ ポート できない病態 を呈す る 。その治療 としてVEPTR (Vertical Expandable Prosthetic
Titanium Rib)と呼ばれる人工肋骨が開発されている。本症候群の中で、特に一次性としてまとめられている
ものは、椎骨と肋骨の両方の発生学的異常により形態的変化を来し脊柱変形のみならず胸郭変形とそれ
らの成長障害を引き起こし、最終的には呼吸器系の障害から生命にも重大な影響を与える。本疾患の自然
経過や病態には未だ未解明なものが多々あるが、VEPTRを代表とした成長温存手術治療は、本疾患に罹
患した小児患者の成長後の生活を改善させるのみならず、生命予後も改善させることが期待されている。
2.原因
重症タイプの患者が多い国もあると言われているが、いまだ、その原因は明確にされておらず、その原因
因子は不明であるが、突然変異で生じると考えられている。
3.症状
症状は無症状から高度呼吸器障害により死に至るものまで様々な病態と症状を呈する。先天性脊椎奇形
や肋骨異常は成長により悪化し脊柱側弯症や後弯症、胸郭変形を引き起こすため、初期は軽度な側弯や
胸郭変形であることも少なくない。奇形椎のタイプや肋骨異常の範囲などによりその変形には大きな差があ
り、また、差が生じてくる。初期は風邪を引きやすい、身体が傾く、外見が非対称などであるが、高度になる
と呼吸障害として肺活量の減少が生じ、肺炎を頻回に引き起こし、努力性呼吸、呼吸数の増加、夜間無呼
吸発作などが認められるようになる。一方、体幹の変形と短縮、一側胸郭の虚脱、立位や座位バランス不
良、などが生じる。
4.治療法
根治的治療は未だない。以前は、脊柱変形の悪化に対する脊柱矯正固定術が早期より行われてきたが、
成長をも止めてしまうため、高度悪化症例においては最終的には胸郭の発育不全から呼吸機能障害を予
防することはできなかった。そのため、治療は対症療法としての呼吸管理であり、在宅酸素療法、BIPAP 療
法などが小児科医師により行われてきた。現在は胸郭と脊柱変形の悪化予防と変形矯正を VEPTR などの
インプラントを用いる成長温存手術が行なわれてきている。しかし、この方法は半年に一度の追加手術が

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