[医療提供体制] 必要病床数以上の増床等で知事の権限強化 医療計画検討会
今回のポイント
●厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」は1月22日、現時点では病床不足であっても、既存病床数が地域医療構想の必要病床数(2025年)を上回る見込みの構想区域で、病床の新規開設や増床の許可申請があった場合の対応案を了承○やむを得ない理由が認められない場合、公的医療機関については都道府県知事が新規開設や増床の許可を与えない、民間医療機関については申請の中止や申請病床数の削除を勧告し、従わなければ保険医療機関の指定を行わない措置を可能とする。実施には医療法と健康保険法の改正が必要になる
○救命救急センターの充実段階評価の見直し案も承認。現在はA~Cの3段階評価だが、284ある全施設がA評価を獲得していることから、さらなる質の向上を目指して最上位のS評価を新設し、4段階評価に改める
厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」は1月22日、現時点では病床不足であっても、既存病床数が地域医療構想の必要病床数(2025年)を上回る見込みの構想区域で、病床の新規開設や増床の許可申請があった場合に許可を与えないなどの対応が取れるよう、都道府県知事の権限を強化することを決めた。社会保障審議会・医療部会への報告を経て、法改正に向けた準備を進める。
厚労省は同日の検討会で、地域医療構想調整会議の進め方を説明した。それによると、各構想区域に設置された地域医療構想調整会議は、地域医療構想達成に向けた議論を今後2年程度かけて集中的に実施。都道府県は調整会議での合意事項を踏まえて毎年度、▽合意を得た医療機関が構想区域で担う役割▽2025年に持つべき医療機能ごとの病床数-を盛り込んだ具体的方針をまとめる(参照)(参照)。
医療機関にも対応を求め、公立病院は「新公立病院改革プラン」、公的医療機関は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定して2017年度中に調整会議で協議。構想区域内で担う役割を大きく変更する病院は今後の事業計画を策定して速やかに、それ以外の医療機関においても遅くとも2018年度末までに協議を終えることとしている(参照)(参照)。
この際、構想区域内ですでに過剰な機能の病床に転換する場合や、病床が過剰な2次医療圏で新規開設や増床申請を行った場合、都道府県知事は転換の中止の命令・要請や、許可を与えないなどの対応を取れるが、検討会で論点になったのは、既存病床数が基準病床数を下回るため現時点での新規開設や増床は可能なものの、地域医療構想の必要病床数に照らすと将来、病床過剰になることが見込まれるケース。第6次医療計画では29の2次医療圏が該当するという(参照)。
対応策として厚労省は、やむを得ない理由が認められない場合、公的医療機関については都道府県知事が新規開設や増床の許可を与えない、民間医療機関については申請の中止や申請病床数の削除を勧告し、従わなければ保険医療機関の指定を行わない措置を可能とすることを提案。了承された。実施には医療法と健康保険法の改正が必要になる(参照)。
◆救命救急センターの充実段階評価は4段階評価に見直し
検討会では、救命救急センターの充実段階評価の見直し案も承認された。現在はA~Cの3段階評価だが、284ある全施設がA評価を獲得していることから、さらなる質の向上を目指して最上位のS評価を新設し、4段階評価に改める(参照)(参照)。
評価内容も見直し、受入応需の改善に向けた検討の状況などの改善プロセスや、地域の関係機関との連携などに着目した評価項目を追加。是正が必要な項目数と評価点(獲得点数)とのマトリクスに基づいて結果を判定する。是正項目0かつ評価点90点以上を「S評価」とし、2018年度を対象にした評価から適用。質の向上に向けた継続的な取り組みを促すため、2019年度以降、評価基準の段階的引き上げを行うこととする(参照)。
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