[経営] 金融機関、地方中小病院の経営がとくに厳しいと認識 日医総研WP
- 日医総研ワーキングペーパー 医療機関経営における金融機関の有効活用に向けて:インタビュー調査とマクロデータ分析(2/16)《日本医師会総合政策研究機構》
- 発信元:日本医師会総合政策研究機構 カテゴリ: 医療提供体制 診療報酬 介護保険
日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が2月16日に公表した、ワーキングペーパー(WP)「医療機関経営における金融機関の有効活用に向けて:インタビュー調査とマクロデータ分析」(堤信之氏、坂口一樹氏、石尾勝氏)によると、金融機関は医療業界の成長性・将来性を肯定的に捉えているものの、楽観視はしておらず、とくに地方の中小病院の経営環境が厳しいと認識していることが明らかになった。
調査では、金融機関の医療業界や医療機関経営に対する見方を明らかにすることを目的に、インタビューを行った。対象は地方銀行5社、メガバンク1社、医師信用組合1社、税理士法人1社の計8社(参照)。
医療業界の成長性、将来性は、金融機関に概ね肯定的に捉えられており、医療・福祉業界への融資額は1行を除き、「堅調に右肩上がりで推移している」との回答だった(参照)。ただ、昨今の医療を取り巻く事業環境の変化については、「5年前や10年前と比べて明らかに厳しくなってきている」とシビアな目で見ており、とくに地方の中小規模の民間病院が厳しい状況にあるというのが共通認識だった。慢性的な人材不足が状況悪化に拍車をかけているとの指摘もあった(参照)。
融資審査時に金融機関がチェックするポイントは、一般企業同様、事業計画とその実現可能性、借入額の妥当性とその使途だが、理事長と事務長の関係性や、理事長を含む法人役員間のパワーバランス、医師を含めた職員の確保計画-など、マネジメントやガバナンス体制にも着目するとの声も目立った(参照)(参照)。
病院の建て替えに伴う資金需要は大病院を中心にほぼ一巡したとの見解で一致した。その一方で100床前後の民間中小病院が取り残されているが、将来の収益性の問題から融資は難しく、都市部では代替地の確保が大きな障害になっている実情も浮き彫りになった(参照)(参照)。
医療機関経営と銀行貸出の関係のマクロデータ分析も実施。診療報酬本体がマイナス改定になると医療等向けの貸出は減少し、プラス改定が維持されると増加傾向になることから、WPは、「銀行が医療機関を地域の中核事業体として支えていくためにも、診療報酬本体がしっかり確保されていなければならない」との認識を示した(参照)。
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