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医療機器感染症定期報告感染症別文献一覧表 (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190382_00013.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和5年度第1回 7/20)《厚生労働省》 |
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感染症(PT)
出典
概要
症例は74歳男性。飲食業。慢性歯肉炎で歯科治療中。2021年1月下旬に37
度台の発熱と関節痛が出現し、翌日に40度の高熱と急速進行性の意識障
害で搬送。体表に創傷なし。体温40.9度、JCS200、項部硬直、髄液検査で
細胞数315/μl(多核球95%)、糖24mg/dLを認め、細菌性髄膜炎と診断し、
Meropenem、Vancomycin、Dexamethasoneで加療開始した。血液及び髄液
第160回日本神経学会
培養からStreptococcus suis (豚レンサ球菌)が検出された。入院第2病日以
12 レンサ球菌感染 東海・北陸地方会
降は意識が改善し、第8病日に髄液所見も改善したが、高度失調と両側感
(2021/06/26)4
音性難聴が顕著となった。長期的な抗生剤投与で症状及び髄液所見改善
後もMRI拡散強調画像で脳表の一部に高信号所見が残存した。豚レンサ球
菌性髄膜炎は食肉加工業や養豚従業者での報告例が散見され、失調、感
音性難聴の合併が多い。既報告例とあわせ、豚レンサ球菌性髄膜炎症例の
特徴を考察し、報告する。
13 回虫症
Am J Trop Med Hyg.
106(2022)1583-1584
日本(沖縄)の67歳、男性が線虫感染症で当院を受診した。海外渡航歴な
し、身体所見、検査所見、胸部/腹部CTに異常はみられなかった。便中に卵
は検出されなかった。線虫は形態学的に雄のアスカリス成虫と同定された。
パモ酸ピランテル500mgの単回投与から2日後、糞便中にアスカリス線虫が
もう1匹排泄されていた。患者の農場は豚舎に隣接しており、来院の4年前、
2年前、5ヶ月前にブタの糞尿を施肥していた。また、手洗いが不十分なまま
昼食をとることが多く、回虫の卵に汚染された手指の経口接触により感染し
た可能性がある。ゲノム解析の結果、リボソームRNA内部転写スペーサー1
領域の133位Cと246位Aの2つの多型部位は、それぞれAscaris suum のもの
と同定され、ブタ由来であることが示唆された。
Ascaris lumbricoides とAscaris suum は、それぞれヒトとブタに感染する蠕虫
である。A. lumbricoides による感染は、発展途上国の熱帯地域に住む約4億
4,700万人に影響を与えると推定されている。しかし、近年、A. lumbricoides
14 回虫症
15 回虫症
による自生感染がなかった国でヒトの回虫症の症例数が増加している。これ
らの場所では、ブタがヒトへの感染が主な原因であるとされてきた。ヒトとブタ
の回虫症の実際の疫学的シナリオはまだ不明である。そのため、リボソーム
Parasitology Research. DNAの内部転写領域1を使用して、卵から得られたDNAを使用して、2つの種
121(2022)2389-2397
の間におけるアレル特異的PCR法に基づく種特異的分子診断のアプリケー
ションを提示する。方法論を検証するために、ブラジルの7つの州の68人のヒ
ト及びミナスジェライス州の6頭のブタから、回虫属に陽性の糞便サンプルが
得られた。ヒト→ヒトから得られたすべてのサンプルはA. lumbricoides として
遺伝子型が特定され、ブタから得られたすべてのサンプルはA. suum として
遺伝子型が特定された。近年A. lumbricoides による自生感染がなかった国
でヒトの回虫症は、ブタ由来(A. suum )である可能性が高い。
Transactions of the
Royal Society of
Tropical Medicine and
Hygiene.
116(2022)949-958
カメルーンでは、人間の回虫症についての研究は行われてきたが、ブタが子
供の感染の持続に寄与しているか、また、ヒト由来の回虫症とブタ由来の回
虫症との間の進化的関係を解明するための研究は行われていなかった。ヒ
トとブタから収集された回虫から抽出されたDNAを使用し、シトクロムcオキシ
ダーゼサブユニット1(cox1)及びNADHデヒドロゲナーゼサブユニット1
(nad1)遺伝子のセグメントを配列決定し、83匹の線虫について分析して、カ
メルーンにおける回虫の局所伝達動態を分析した。Ascaris lumbricoides と
Ascaris suum 個体群の間の制限された遺伝子流動は、宿主としてのヒトとブ
タの選好とそれぞれ相関していることは明らかであった。系統解析とハプロタ
イプネットワークにより、ハプロタイプはAとBの2つの主要なクラスターに分割
される。ただし、宿主間の交差伝達とハイブリダイゼーションのサポートは、
両方の宿主の虫間でハプロタイプが共有されることで明らかになった。この
研究は、カメルーンにおける回虫の遺伝学の将来の研究のための有用な
ベースラインとなる情報を提供し、ヒトの回虫症の効果的かつ持続可能なコ
ントロールは、ヒトとブタの両方の宿主を対象として考える必要があることを
示唆している。
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感染症(PT)
出典
概要
症例は74歳男性。飲食業。慢性歯肉炎で歯科治療中。2021年1月下旬に37
度台の発熱と関節痛が出現し、翌日に40度の高熱と急速進行性の意識障
害で搬送。体表に創傷なし。体温40.9度、JCS200、項部硬直、髄液検査で
細胞数315/μl(多核球95%)、糖24mg/dLを認め、細菌性髄膜炎と診断し、
Meropenem、Vancomycin、Dexamethasoneで加療開始した。血液及び髄液
第160回日本神経学会
培養からStreptococcus suis (豚レンサ球菌)が検出された。入院第2病日以
12 レンサ球菌感染 東海・北陸地方会
降は意識が改善し、第8病日に髄液所見も改善したが、高度失調と両側感
(2021/06/26)4
音性難聴が顕著となった。長期的な抗生剤投与で症状及び髄液所見改善
後もMRI拡散強調画像で脳表の一部に高信号所見が残存した。豚レンサ球
菌性髄膜炎は食肉加工業や養豚従業者での報告例が散見され、失調、感
音性難聴の合併が多い。既報告例とあわせ、豚レンサ球菌性髄膜炎症例の
特徴を考察し、報告する。
13 回虫症
Am J Trop Med Hyg.
106(2022)1583-1584
日本(沖縄)の67歳、男性が線虫感染症で当院を受診した。海外渡航歴な
し、身体所見、検査所見、胸部/腹部CTに異常はみられなかった。便中に卵
は検出されなかった。線虫は形態学的に雄のアスカリス成虫と同定された。
パモ酸ピランテル500mgの単回投与から2日後、糞便中にアスカリス線虫が
もう1匹排泄されていた。患者の農場は豚舎に隣接しており、来院の4年前、
2年前、5ヶ月前にブタの糞尿を施肥していた。また、手洗いが不十分なまま
昼食をとることが多く、回虫の卵に汚染された手指の経口接触により感染し
た可能性がある。ゲノム解析の結果、リボソームRNA内部転写スペーサー1
領域の133位Cと246位Aの2つの多型部位は、それぞれAscaris suum のもの
と同定され、ブタ由来であることが示唆された。
Ascaris lumbricoides とAscaris suum は、それぞれヒトとブタに感染する蠕虫
である。A. lumbricoides による感染は、発展途上国の熱帯地域に住む約4億
4,700万人に影響を与えると推定されている。しかし、近年、A. lumbricoides
14 回虫症
15 回虫症
による自生感染がなかった国でヒトの回虫症の症例数が増加している。これ
らの場所では、ブタがヒトへの感染が主な原因であるとされてきた。ヒトとブタ
の回虫症の実際の疫学的シナリオはまだ不明である。そのため、リボソーム
Parasitology Research. DNAの内部転写領域1を使用して、卵から得られたDNAを使用して、2つの種
121(2022)2389-2397
の間におけるアレル特異的PCR法に基づく種特異的分子診断のアプリケー
ションを提示する。方法論を検証するために、ブラジルの7つの州の68人のヒ
ト及びミナスジェライス州の6頭のブタから、回虫属に陽性の糞便サンプルが
得られた。ヒト→ヒトから得られたすべてのサンプルはA. lumbricoides として
遺伝子型が特定され、ブタから得られたすべてのサンプルはA. suum として
遺伝子型が特定された。近年A. lumbricoides による自生感染がなかった国
でヒトの回虫症は、ブタ由来(A. suum )である可能性が高い。
Transactions of the
Royal Society of
Tropical Medicine and
Hygiene.
116(2022)949-958
カメルーンでは、人間の回虫症についての研究は行われてきたが、ブタが子
供の感染の持続に寄与しているか、また、ヒト由来の回虫症とブタ由来の回
虫症との間の進化的関係を解明するための研究は行われていなかった。ヒ
トとブタから収集された回虫から抽出されたDNAを使用し、シトクロムcオキシ
ダーゼサブユニット1(cox1)及びNADHデヒドロゲナーゼサブユニット1
(nad1)遺伝子のセグメントを配列決定し、83匹の線虫について分析して、カ
メルーンにおける回虫の局所伝達動態を分析した。Ascaris lumbricoides と
Ascaris suum 個体群の間の制限された遺伝子流動は、宿主としてのヒトとブ
タの選好とそれぞれ相関していることは明らかであった。系統解析とハプロタ
イプネットワークにより、ハプロタイプはAとBの2つの主要なクラスターに分割
される。ただし、宿主間の交差伝達とハイブリダイゼーションのサポートは、
両方の宿主の虫間でハプロタイプが共有されることで明らかになった。この
研究は、カメルーンにおける回虫の遺伝学の将来の研究のための有用な
ベースラインとなる情報を提供し、ヒトの回虫症の効果的かつ持続可能なコ
ントロールは、ヒトとブタの両方の宿主を対象として考える必要があることを
示唆している。
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