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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[341KB] (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36611.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和5年度第2回 11/30)《厚生労働省》 |
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令和5年11月30日
令和5年度第2回
感染症定期報告感染症別文献一覧表(2023/4/1~2023/7/31)
医薬品等安全対策部会
資料 4-1
ID
感染症(PT)
1 ウイルス感染
2
3
ウイルス感染
ウイルス感染
出典
概要
Emerg Infect Dis.
29(2023)286-293
情報源:Emerging Infectious Diseases DOI:https://doi.org/10.3201/eid2902.221468(2023年2月27日付
け)
【要約】2022年3月、心肺移植を受けたフランスの61歳の女性が、主に肝酵素の増加を特徴とする慢性肝
炎の治療を求めた。一般的な病因を除外した後、メタゲノム次世代シーケンシングを使用して肝生検サン
プルを分析し、未知の種のサーコウイルス(仮称ヒトサーコウイルス1(HCirV-1)を特定した。他のウイル
ス又は細菌の配列は見つからなかった。HCirV-1は、最も近い既知のウイルス配列と70%のアミノ酸同
一性を共有していた。ウイルスゲノムは、2017年から2019年まで血液サンプルでは検出できていなかっ
たが、2020年9月に低レベルで検出可能になり、2022年1月に非常に高い力価(10^10ゲノムコピー/mL)
でピークに達した。2022年3月、肝臓と血液中に>10^8のゲノムコピー/g又はmLが見つかり、肝臓の細胞
溶解を伴っていた。肝細胞の2%でHCirV-1転写産物を検出し、ウイルス複製を示し、肝障害における
HCirV-1の役割を支持した。
●通信元:ProMED
ヒトサーコウイルス肝感染症の1回目の報告です。しかし、ProMEDは以前、ベトナムとマラウイからのヒト
サーコウイルス感染に関して投稿しています(サーコウイルス-ベトナム、マラウイ:ヒト、脳脊髄液
20130624.1789227;サーコウイルス-ベトナム:急性CNS感染症20130618.1780170)。この分離株がサーコ
ウイルス科のシクロウイルスとして分類されると思われるものとどのような関係があるかは明らかではあ
りません。その後、アフリカの症例CSF PCRは偽陽性であると報告されました(チャンMCW、クォック
SWY、チャンPKS。ヒト脳脊髄液中のシクロウイルスマラウイ株VS5700009の偽陽性PCR検出。Jクリンビ
ロル。2015;68: 76-78;DOI: 10.1016/j.jcv.2015.05.007.)- Mod.LL
Front Microbiol.
13(2023)1091908
トスカーナウイルス(TOSV)とシチリア型サシチョウバエ熱ウイルス(SFSV)は、どちらもサシチョウバエが
媒介するフレボウイルスで、ヒトに感染し疾患を引き起こす可能性がある。TOSVとSFSVに対する抗体は
ウマ、ネコ、イヌ、ウシ、ヤギ、コウモリから発見されたが、増幅宿主は発見されていない。最近、3つの異
なる野鳥種の脳と腎臓の組織からTOSV RNAが検出されたが、SFSVと野鳥の間の相互作用を支持する
データはない。しかし数種のサシチョウバエは家禽の血液を餌としている。渡り鳥は疾患伝播において重
要な役割を果たしており、ヨーロッパウズラは渡り鳥である上に狩猟種であるため、食物連鎖を介した直
接接触による疾患伝播の可能性を高めている。本研究ではスペインの野生ヨーロッパウズラの血清を収
集し、TOSVとSFSVに対する中和抗体の存在について調べた。2018年、2019年、2021年にスペインの2つ
の場所(カタルーニャのピレネー山脈に位置する村のAlp付近の農地と、Mallorca島中部のSineu村と
Vilafranca de Bonany村付近の農地)で111羽の雄のヨーロッパウズラから血液を採取した。SFSV抗体は
血清陽性率45.45%(50/110)、TOSV抗体は血清陽性率42.45%(45/106)で、20例は両ウイルスに対して
血清陽性であった。SFSVとTOSVの血清陽性率は地域間で有意差はなく、年齢群間でも有意差がなかっ
た。本研究では野鳥のSFSV中和抗体、TOSV中和抗体を初めて発見した。またこの結果は、これまでに
脊椎動物で検出された中で最も中和抗体検出率が高かった。本研究で得られた結果と、最近の大型渡り
鳥におけるTOSVの検出を考慮すると、ウズラ(そしておそらくは他の鳥類)がTOSVとSFSV、他のサシ
チョウバエ媒介性フレボウイルスの保有宿主か増幅宿主となり得ることを考慮すべきである。ウズラは陸
生哺乳類よりもかなり移動性が高く、ウイルスを広範囲に拡大させる可能性がある。欧州では年間少なく
とも1,607,964羽のウズラが狩猟され、その際イヌとヒトがウズラと直接接触するためウイルスの拡散リス
クが懸念される。本研究の結果はこれまでのデータとともに、ウズラがこれらのウイルスの生態において
目立った役割を果たしていることを示す一連のエビデンスとなっている。今後の研究では、実験的研究と
野生生物に基づく研究の両方を用いて、この仮説に取り組む必要がある。
ProMED-mail
20230226.8708615
問題点:フランスにおいて、新規サーコウイルス(HCirV-1)による初めてのヒト感染例が確認された。【概
要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。2022年3月、フランスの心肺移
植歴を有する61歳女性において主に肝臓酵素の増加を特徴とする慢性肝炎が認められた。一般的な病
因を除外した後、メタゲノム次世代シーケンス(mNGS)を用いた肝生検サンプル分析の結果、未知の種
が同定され、暫定的にHCirV-1と名付けられた。他のウイルスや細菌のシーケンスは見つからなかった。
HCirV-1は最も近い既知のウイルス配列と70%のアミノ酸同一性を共有していた。ウイルスゲノムは、
2017~2019年の血液検体では検出されず、2020年9月に低レベルで検出可能になり、2022年1月に非常
に高力価(10^10ゲノムコピー/mL)でピークに達した。2022年3月には、肝臓と血液で10^8を超えるゲノム
コピー/g又はmLが検出され、同時に肝細胞溶解が認められた。肝細胞の2%でHCirV-1転写物が検出さ
れ、ウイルス複製が証明され、肝障害におけるHCirV-1の役割が裏付けられた。【症例報告】症例は心室
中隔欠損症に関連するアイゼンメンゲル症候群に対し、17年前に心肺移植を受けていた。急性肺同種移
植片機能不全治療のため、肝炎が発生する16ヵ月前にパルスステロイドを投与されていた。2021年11
月、コルチコステロイドのパルス療法より14ヵ月後、ガンシクロビル耐性ウイルスによるサイトメガロウイ
ルス大腸炎のために入院し、ホスカビル、マリバビル、続いてレテルモビルによる長期維持療法を要し
た。超音波検査では、症状や肝臓の異常のない細胞溶解が検出された。入院より4ヵ月後に肝炎は悪化
した。肝生検による一次陰性結果後、mNGSを実施し、新規サーコウイルスHCirV-1の存在が明らかに
なった。2022年11月、臨床症状は安定しており、細胞溶解は完治した。HCirV-1の感染源を確認する際、
患者は2匹のネコとの接触を報告し、これらは鳥類やげっ歯類と接触していた。2匹とも糞便中のHCirV-1
PCRは陰性であった。国外への渡航歴はなかった。症例はHCirV-1が最初に検出される17ヵ月前に輸血
を受けていた。【考察】2022年11月時点で、本症例の感染源は特定されていない。具体的には、動物ウイ
ルスのスピルオーバーによるものなのか、それともこれまで知られていないヒトウイルスによるものなの
かを特定することができなかった。系統解析の結果、このウイルスは本症例の感染源としては考えられな
い野生の外来動物を宿主とする既知のウイルスに最も近いとされたが、HCirV-1は動物由来である可能
性があり、E型肝炎ウイルスと同様の方法で食事由来である可能性があると推測された。HCirV-1は唾
液、尿、糞便中に排出された。ウイルスがヒトからヒトへ感染する可能性があるかどうかはまだ調査され
ていない。
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令和5年度第2回
感染症定期報告感染症別文献一覧表(2023/4/1~2023/7/31)
医薬品等安全対策部会
資料 4-1
ID
感染症(PT)
1 ウイルス感染
2
3
ウイルス感染
ウイルス感染
出典
概要
Emerg Infect Dis.
29(2023)286-293
情報源:Emerging Infectious Diseases DOI:https://doi.org/10.3201/eid2902.221468(2023年2月27日付
け)
【要約】2022年3月、心肺移植を受けたフランスの61歳の女性が、主に肝酵素の増加を特徴とする慢性肝
炎の治療を求めた。一般的な病因を除外した後、メタゲノム次世代シーケンシングを使用して肝生検サン
プルを分析し、未知の種のサーコウイルス(仮称ヒトサーコウイルス1(HCirV-1)を特定した。他のウイル
ス又は細菌の配列は見つからなかった。HCirV-1は、最も近い既知のウイルス配列と70%のアミノ酸同
一性を共有していた。ウイルスゲノムは、2017年から2019年まで血液サンプルでは検出できていなかっ
たが、2020年9月に低レベルで検出可能になり、2022年1月に非常に高い力価(10^10ゲノムコピー/mL)
でピークに達した。2022年3月、肝臓と血液中に>10^8のゲノムコピー/g又はmLが見つかり、肝臓の細胞
溶解を伴っていた。肝細胞の2%でHCirV-1転写産物を検出し、ウイルス複製を示し、肝障害における
HCirV-1の役割を支持した。
●通信元:ProMED
ヒトサーコウイルス肝感染症の1回目の報告です。しかし、ProMEDは以前、ベトナムとマラウイからのヒト
サーコウイルス感染に関して投稿しています(サーコウイルス-ベトナム、マラウイ:ヒト、脳脊髄液
20130624.1789227;サーコウイルス-ベトナム:急性CNS感染症20130618.1780170)。この分離株がサーコ
ウイルス科のシクロウイルスとして分類されると思われるものとどのような関係があるかは明らかではあ
りません。その後、アフリカの症例CSF PCRは偽陽性であると報告されました(チャンMCW、クォック
SWY、チャンPKS。ヒト脳脊髄液中のシクロウイルスマラウイ株VS5700009の偽陽性PCR検出。Jクリンビ
ロル。2015;68: 76-78;DOI: 10.1016/j.jcv.2015.05.007.)- Mod.LL
Front Microbiol.
13(2023)1091908
トスカーナウイルス(TOSV)とシチリア型サシチョウバエ熱ウイルス(SFSV)は、どちらもサシチョウバエが
媒介するフレボウイルスで、ヒトに感染し疾患を引き起こす可能性がある。TOSVとSFSVに対する抗体は
ウマ、ネコ、イヌ、ウシ、ヤギ、コウモリから発見されたが、増幅宿主は発見されていない。最近、3つの異
なる野鳥種の脳と腎臓の組織からTOSV RNAが検出されたが、SFSVと野鳥の間の相互作用を支持する
データはない。しかし数種のサシチョウバエは家禽の血液を餌としている。渡り鳥は疾患伝播において重
要な役割を果たしており、ヨーロッパウズラは渡り鳥である上に狩猟種であるため、食物連鎖を介した直
接接触による疾患伝播の可能性を高めている。本研究ではスペインの野生ヨーロッパウズラの血清を収
集し、TOSVとSFSVに対する中和抗体の存在について調べた。2018年、2019年、2021年にスペインの2つ
の場所(カタルーニャのピレネー山脈に位置する村のAlp付近の農地と、Mallorca島中部のSineu村と
Vilafranca de Bonany村付近の農地)で111羽の雄のヨーロッパウズラから血液を採取した。SFSV抗体は
血清陽性率45.45%(50/110)、TOSV抗体は血清陽性率42.45%(45/106)で、20例は両ウイルスに対して
血清陽性であった。SFSVとTOSVの血清陽性率は地域間で有意差はなく、年齢群間でも有意差がなかっ
た。本研究では野鳥のSFSV中和抗体、TOSV中和抗体を初めて発見した。またこの結果は、これまでに
脊椎動物で検出された中で最も中和抗体検出率が高かった。本研究で得られた結果と、最近の大型渡り
鳥におけるTOSVの検出を考慮すると、ウズラ(そしておそらくは他の鳥類)がTOSVとSFSV、他のサシ
チョウバエ媒介性フレボウイルスの保有宿主か増幅宿主となり得ることを考慮すべきである。ウズラは陸
生哺乳類よりもかなり移動性が高く、ウイルスを広範囲に拡大させる可能性がある。欧州では年間少なく
とも1,607,964羽のウズラが狩猟され、その際イヌとヒトがウズラと直接接触するためウイルスの拡散リス
クが懸念される。本研究の結果はこれまでのデータとともに、ウズラがこれらのウイルスの生態において
目立った役割を果たしていることを示す一連のエビデンスとなっている。今後の研究では、実験的研究と
野生生物に基づく研究の両方を用いて、この仮説に取り組む必要がある。
ProMED-mail
20230226.8708615
問題点:フランスにおいて、新規サーコウイルス(HCirV-1)による初めてのヒト感染例が確認された。【概
要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。2022年3月、フランスの心肺移
植歴を有する61歳女性において主に肝臓酵素の増加を特徴とする慢性肝炎が認められた。一般的な病
因を除外した後、メタゲノム次世代シーケンス(mNGS)を用いた肝生検サンプル分析の結果、未知の種
が同定され、暫定的にHCirV-1と名付けられた。他のウイルスや細菌のシーケンスは見つからなかった。
HCirV-1は最も近い既知のウイルス配列と70%のアミノ酸同一性を共有していた。ウイルスゲノムは、
2017~2019年の血液検体では検出されず、2020年9月に低レベルで検出可能になり、2022年1月に非常
に高力価(10^10ゲノムコピー/mL)でピークに達した。2022年3月には、肝臓と血液で10^8を超えるゲノム
コピー/g又はmLが検出され、同時に肝細胞溶解が認められた。肝細胞の2%でHCirV-1転写物が検出さ
れ、ウイルス複製が証明され、肝障害におけるHCirV-1の役割が裏付けられた。【症例報告】症例は心室
中隔欠損症に関連するアイゼンメンゲル症候群に対し、17年前に心肺移植を受けていた。急性肺同種移
植片機能不全治療のため、肝炎が発生する16ヵ月前にパルスステロイドを投与されていた。2021年11
月、コルチコステロイドのパルス療法より14ヵ月後、ガンシクロビル耐性ウイルスによるサイトメガロウイ
ルス大腸炎のために入院し、ホスカビル、マリバビル、続いてレテルモビルによる長期維持療法を要し
た。超音波検査では、症状や肝臓の異常のない細胞溶解が検出された。入院より4ヵ月後に肝炎は悪化
した。肝生検による一次陰性結果後、mNGSを実施し、新規サーコウイルスHCirV-1の存在が明らかに
なった。2022年11月、臨床症状は安定しており、細胞溶解は完治した。HCirV-1の感染源を確認する際、
患者は2匹のネコとの接触を報告し、これらは鳥類やげっ歯類と接触していた。2匹とも糞便中のHCirV-1
PCRは陰性であった。国外への渡航歴はなかった。症例はHCirV-1が最初に検出される17ヵ月前に輸血
を受けていた。【考察】2022年11月時点で、本症例の感染源は特定されていない。具体的には、動物ウイ
ルスのスピルオーバーによるものなのか、それともこれまで知られていないヒトウイルスによるものなの
かを特定することができなかった。系統解析の結果、このウイルスは本症例の感染源としては考えられな
い野生の外来動物を宿主とする既知のウイルスに最も近いとされたが、HCirV-1は動物由来である可能
性があり、E型肝炎ウイルスと同様の方法で食事由来である可能性があると推測された。HCirV-1は唾
液、尿、糞便中に排出された。ウイルスがヒトからヒトへ感染する可能性があるかどうかはまだ調査され
ていない。
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