よむ、つかう、まなぶ。
資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[341KB] (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36611.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和5年度第2回 11/30)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
ID
4
5
6
7
感染症(PT)
クリプトスポリジ
ウム感染
サルモネラ症
トリパノソーマ症
ブルセラ症
出典
概要
Arch Razi Inst.
77(2022)2345-2352
クリプトスポリジウム属は最も重要な細胞内寄生原虫の1つであり、ウシでは1970年に、ヒトでは1976年に
検出された。1979年、Cryptosporidium felis は主要宿主として機能するネコから初めて発見されたが、ヒト
とウシはマイナーな宿主として感染する可能性がある。イラクでは、クリプトスポリジウム属を検出するた
めに多くの研究が行われたが、どの動物やヒトでもC. felis に関するオンラインデータや報告はなかった。
そこで本研究では、分子PCR法を用いてウシのC. felis 感染を実証した。 2021年2-4月にイラク、Wasito州
の郊外・農村地域の、1歳以下の雌と雄の下痢性子牛130頭から糞便試料を収集した。C. felis の熱ショッ
クタンパク質70遺伝子を標的とするPCRを実施したところ、23頭(17.69%)の個体が陽性であった。臨床
検査の結果、陽性子牛と陰性子牛の体温、脈拍、呼吸数に有意差は認められなかった。陽性結果と人
口統計学的リスク因子との関連性は、農村部と郊外地域の間で、感染の有病率とC. felis 曝露のリスクに
有意差を示さなかった。しかし、12か月齢の子牛よりも6か月齢の子牛で、また雄よりも雌で、より高い有
意値が報告された。5つの地方C. felis 分離株は、登録番号MZ964600.1、MZ964601.1、MZ964602.1、
MZ964603.1、MZ964604.1で記録された。地方C. felis 分離株とNCBI-BLAST C. felis 分離株の間の相同
性配列同一性の分析は、地方C. felis 分離株とスウェーデンのC. felis 分離株(KP642069.1)の間の顕著
に高い同一性(99.45-99.72%)を検出した。いくつかの報告ではウシにおけるCryptosporidium spp.、C.
hominis 、C. parvum 、C. andersoni 、C. bovis 、C. ryanae の感染が示されているが、C. felis 感染について
はほとんど分かっていない。過去の研究ではヒトのクリプトスポリジウム症がネコからヒトへのC. felis の
伝播によって引き起こされること、地方C. felis 分離株とオーストラリアのネコ由来C. felis 分離株
(AF221538.1)の顕著な近縁性よりC. felis のネコから子牛への伝播の妥当性が示されている。本研究の
結果は、ウシにおけるC. felis 感染の範囲が世界的に予想されていたよりも広く、ウシからヒトへの感染の
可能性が高いという疫学的及び分子的エビデンスを提供する。
Emerg Infect Dis.
29(2023)314-322
アンピシリン、ストレプトマイシン、スルファメトキサゾール、テトラサイクリン(ASSuT)に耐性のある
Salmonella enterica 血清型4,[5],12:i:-感染症の報告が増加している。米国におけるこのサルモネラ菌株
による感染症の疫学、耐性特性、遺伝学について説明するため、5つの国立監視システムからのデータ
を分析した。ASSuT耐性Salmonella 4,[5],12:i:-は、2009~2013年におけるサルモネラ感染症の1.1%か
ら、2014~2018年におけるサルモネラ感染症の2.6%に増加した。この耐性パターンを持たない
Salmonella 4,[5],12:i:-分離株の割合は、同じ時間枠で、3.1%から2.4%に減少した。2015~2018年に配
列決定された分離株のうち、合計で69%が同じ系統分岐群内にあった。その分岐群内において、分離株
の77%がASSuT耐性の遺伝的決定基を有し、16%はシプロフロキサシン、セフトリアキソン、又はアジス
ロマイシンに対する感受性低下の遺伝的決定基を有していた。2009~2018年の間に、FoodNetサイトは
4,[5],12:i:-による感染症3,772例を報告した。特定の患者情報が得られている感染症例のうち、29%
(1,053/3,666例)は一晩入院し、4.1%(154/3,772例)は菌血症を有し、0.5%(17/3,669例)が死亡した。パ
ルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)の情報が得られている3,160例(84%)の4,[5],12:i:-感染症例のう
ち、1,427例(45%)は多剤耐性(MDR)分岐群で認められるPFGEパターンを有していた。豚肉の消費は、
他のサルモネラ感染症と比較して、血清型4,[5],12:i:-と関連する頻度が高かった(aOR 1.39、95%CI
1.18-1.65)。また、4,[5],12:i:-による感染症において、豚肉の消費はMDR分岐群で認められるPFGEパ
ターンと関連していた(aOR 1.86、95%CI 1.29-2.67)。これらの関連性は、認められたアウトブレイクによ
る症例222例(5.9%)を除外した後も持続していた。2009~2018年の間に、37州から123件の4,[5],12:i:-に
よるアウトブレイクが報告された。これらは、2,004例のアウトブレイク関連疾患、295例の入院、3例の死
亡で構成された。4,[5],12:i:-に起因するサルモネラのアウトブレイクの割合は、2009~2013年における
4.5%(42/926件)から2014~2018年における7.9%(81/1,026件)に増加していた。4,[5],12:i:-感染による
123件のアウトブレイクのうち、61%(75件)は食品、15%(18件)は動物との接触、5.7%(7件)は他のヒト
からの感染によるものであった。19%(23件)の感染方式は不明であった。PFGE情報が得られた
4,[5],12:i:-によるアウトブレイク114件のうち、62.2%(74件)はMDR分岐群で認められるPFGEパターンを
有していた。これら114件のアウトブレイクのうち、22件は単一の食品によるものであり、うち12件は豚肉
によるものであった。それら12件のうち、11件がMDR分岐群で認められるPFGEパターンを有していた。単
一の動物との接触による12件のアウトブレイクのうち、5件はブタとの接触によるものであった。5件全て
がMDR分岐群で認められるPFGEパターンを有していた。ブタのSalmonella 4,[5],12:i:-保菌を防ぐことで、
この菌株のヒトへの感染を回避できる可能性がある。
Vet World.
16(2023)149-153
トリパノソーマには様々な種があるが、すべてが哺乳類に病原性を持つわけではない。ウシでは5種のト
リパノソーマ(Trypanosoma congolense 、T. congolense savannah type、T. congolense forest type、
Trypanosoma vivax 、Trypanosoma brucei )が病原性を持ち、ヒトの睡眠病はTrypanosoma brucei
gambiense かTrypanosoma brucei rhodesiense によって引き起こされる。これまでの研究では、N’Dama
のような特定のウシ品種は、寄生虫血症や貧血を制御する能力を持つトリパノソーマ耐性があるため、
寄生虫を宿し保有宿主として機能することが示されている。我々はこのようなウシが、サハラ以南アフリカ
におけるウシ疾患伝染動態に大きく寄与し、ヒトトリパノソーマの潜在的な保有宿主であり、疾患制御と薬
剤耐性の課題を増大させているという仮説を立てている。本研究ではナイジェリア南西部の屠殺場にお
いて、一見健康そうなN’Dama牛127頭から屠殺時に血液サンプル(各10mL)を採取し、内部転写スペー
サー1遺伝子と18SリボソームRNA遺伝子を利用して、127例のゲノムDNA抽出物における動物トリパノ
ソーマとヒトトリパノソーマの分子的特性評価、分離株の系統関係を分析した。PCRの結果から、127例の
ウシサンプルのうち9例(7.1%)がトリパノソーマに対して陽性に増幅され、バンドサイズは250-710bpの範
囲であった。興味深いことに、この分析では複数のトリパノソーマ種(T. congolense savannah typeとT.
congolense forest type)を保有するウシと、ヒトトリパノソーマ(T. brucei )に感染した可能性のある別の
ウシが示された。配列解析とNCBI BLAST検索によるGenBank登録配列との類似性確認、PCRとゲル電
気泳動分析による種の同定、複数の配列アラインメントと系統解析を実施した結果、分離株RIT001、
RIT004、RIT005はT. vivax 、T. congolense forest typeとクラスターを形成し、分離株RIT002、RIT003、
RIT008はT. congolense savannah typeに近縁で、分離株RIT006とRIT007はT. congolense に最も近縁で
あることがわかった。重要なことに、分離株RIT009はヒトのT. brucei gambiense と非常に近縁であった。
本研究では分子遺伝子型解析により、ウシにおけるトリパノソーマ種の多様性と複数の混合感染が特定
された。重要なことに、ヒト分離株と非常に近縁な分離株RIT009が発見されたため、トリパノソーマ耐性
N’Dama牛が宿主として機能しヒトトリパノソーマの伝播を補助し得ることが確認された。
ProMED-mail
20230116.8707811
ヒトブルセラ症は、ブルセラ属の細菌によって引き起こされる人獣共通感染症である。感染は、非特異的
な臨床症状を伴う亜急性又は慢性の衰弱性疾患をもたらし、加熱殺菌されていない乳製品の摂取による
場合が多い。今回、我々は、南アメリカ北東岸に位置するフランス領ギアナの異なる町に入院した男性患
者における、ブルセラ症の2例を経験したので報告する。これらの男性はいずれも、アマゾンの深い熱帯
雨林で金鉱夫として働いていたブラジル市民で、森の中で生活し、ブタをはじめとする野生動物の肉を狩
猟して摂取していたことを明かした。ゲノム解析により、2つの細菌分離株がブルセラの新種である可能
性を示していることが明らかになった。世界のこの地域で野生生物と接触する医師は、これらの病原体の
存在と、ヒトへの感染の可能性に注意する必要がある。
2/5
4
5
6
7
感染症(PT)
クリプトスポリジ
ウム感染
サルモネラ症
トリパノソーマ症
ブルセラ症
出典
概要
Arch Razi Inst.
77(2022)2345-2352
クリプトスポリジウム属は最も重要な細胞内寄生原虫の1つであり、ウシでは1970年に、ヒトでは1976年に
検出された。1979年、Cryptosporidium felis は主要宿主として機能するネコから初めて発見されたが、ヒト
とウシはマイナーな宿主として感染する可能性がある。イラクでは、クリプトスポリジウム属を検出するた
めに多くの研究が行われたが、どの動物やヒトでもC. felis に関するオンラインデータや報告はなかった。
そこで本研究では、分子PCR法を用いてウシのC. felis 感染を実証した。 2021年2-4月にイラク、Wasito州
の郊外・農村地域の、1歳以下の雌と雄の下痢性子牛130頭から糞便試料を収集した。C. felis の熱ショッ
クタンパク質70遺伝子を標的とするPCRを実施したところ、23頭(17.69%)の個体が陽性であった。臨床
検査の結果、陽性子牛と陰性子牛の体温、脈拍、呼吸数に有意差は認められなかった。陽性結果と人
口統計学的リスク因子との関連性は、農村部と郊外地域の間で、感染の有病率とC. felis 曝露のリスクに
有意差を示さなかった。しかし、12か月齢の子牛よりも6か月齢の子牛で、また雄よりも雌で、より高い有
意値が報告された。5つの地方C. felis 分離株は、登録番号MZ964600.1、MZ964601.1、MZ964602.1、
MZ964603.1、MZ964604.1で記録された。地方C. felis 分離株とNCBI-BLAST C. felis 分離株の間の相同
性配列同一性の分析は、地方C. felis 分離株とスウェーデンのC. felis 分離株(KP642069.1)の間の顕著
に高い同一性(99.45-99.72%)を検出した。いくつかの報告ではウシにおけるCryptosporidium spp.、C.
hominis 、C. parvum 、C. andersoni 、C. bovis 、C. ryanae の感染が示されているが、C. felis 感染について
はほとんど分かっていない。過去の研究ではヒトのクリプトスポリジウム症がネコからヒトへのC. felis の
伝播によって引き起こされること、地方C. felis 分離株とオーストラリアのネコ由来C. felis 分離株
(AF221538.1)の顕著な近縁性よりC. felis のネコから子牛への伝播の妥当性が示されている。本研究の
結果は、ウシにおけるC. felis 感染の範囲が世界的に予想されていたよりも広く、ウシからヒトへの感染の
可能性が高いという疫学的及び分子的エビデンスを提供する。
Emerg Infect Dis.
29(2023)314-322
アンピシリン、ストレプトマイシン、スルファメトキサゾール、テトラサイクリン(ASSuT)に耐性のある
Salmonella enterica 血清型4,[5],12:i:-感染症の報告が増加している。米国におけるこのサルモネラ菌株
による感染症の疫学、耐性特性、遺伝学について説明するため、5つの国立監視システムからのデータ
を分析した。ASSuT耐性Salmonella 4,[5],12:i:-は、2009~2013年におけるサルモネラ感染症の1.1%か
ら、2014~2018年におけるサルモネラ感染症の2.6%に増加した。この耐性パターンを持たない
Salmonella 4,[5],12:i:-分離株の割合は、同じ時間枠で、3.1%から2.4%に減少した。2015~2018年に配
列決定された分離株のうち、合計で69%が同じ系統分岐群内にあった。その分岐群内において、分離株
の77%がASSuT耐性の遺伝的決定基を有し、16%はシプロフロキサシン、セフトリアキソン、又はアジス
ロマイシンに対する感受性低下の遺伝的決定基を有していた。2009~2018年の間に、FoodNetサイトは
4,[5],12:i:-による感染症3,772例を報告した。特定の患者情報が得られている感染症例のうち、29%
(1,053/3,666例)は一晩入院し、4.1%(154/3,772例)は菌血症を有し、0.5%(17/3,669例)が死亡した。パ
ルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)の情報が得られている3,160例(84%)の4,[5],12:i:-感染症例のう
ち、1,427例(45%)は多剤耐性(MDR)分岐群で認められるPFGEパターンを有していた。豚肉の消費は、
他のサルモネラ感染症と比較して、血清型4,[5],12:i:-と関連する頻度が高かった(aOR 1.39、95%CI
1.18-1.65)。また、4,[5],12:i:-による感染症において、豚肉の消費はMDR分岐群で認められるPFGEパ
ターンと関連していた(aOR 1.86、95%CI 1.29-2.67)。これらの関連性は、認められたアウトブレイクによ
る症例222例(5.9%)を除外した後も持続していた。2009~2018年の間に、37州から123件の4,[5],12:i:-に
よるアウトブレイクが報告された。これらは、2,004例のアウトブレイク関連疾患、295例の入院、3例の死
亡で構成された。4,[5],12:i:-に起因するサルモネラのアウトブレイクの割合は、2009~2013年における
4.5%(42/926件)から2014~2018年における7.9%(81/1,026件)に増加していた。4,[5],12:i:-感染による
123件のアウトブレイクのうち、61%(75件)は食品、15%(18件)は動物との接触、5.7%(7件)は他のヒト
からの感染によるものであった。19%(23件)の感染方式は不明であった。PFGE情報が得られた
4,[5],12:i:-によるアウトブレイク114件のうち、62.2%(74件)はMDR分岐群で認められるPFGEパターンを
有していた。これら114件のアウトブレイクのうち、22件は単一の食品によるものであり、うち12件は豚肉
によるものであった。それら12件のうち、11件がMDR分岐群で認められるPFGEパターンを有していた。単
一の動物との接触による12件のアウトブレイクのうち、5件はブタとの接触によるものであった。5件全て
がMDR分岐群で認められるPFGEパターンを有していた。ブタのSalmonella 4,[5],12:i:-保菌を防ぐことで、
この菌株のヒトへの感染を回避できる可能性がある。
Vet World.
16(2023)149-153
トリパノソーマには様々な種があるが、すべてが哺乳類に病原性を持つわけではない。ウシでは5種のト
リパノソーマ(Trypanosoma congolense 、T. congolense savannah type、T. congolense forest type、
Trypanosoma vivax 、Trypanosoma brucei )が病原性を持ち、ヒトの睡眠病はTrypanosoma brucei
gambiense かTrypanosoma brucei rhodesiense によって引き起こされる。これまでの研究では、N’Dama
のような特定のウシ品種は、寄生虫血症や貧血を制御する能力を持つトリパノソーマ耐性があるため、
寄生虫を宿し保有宿主として機能することが示されている。我々はこのようなウシが、サハラ以南アフリカ
におけるウシ疾患伝染動態に大きく寄与し、ヒトトリパノソーマの潜在的な保有宿主であり、疾患制御と薬
剤耐性の課題を増大させているという仮説を立てている。本研究ではナイジェリア南西部の屠殺場にお
いて、一見健康そうなN’Dama牛127頭から屠殺時に血液サンプル(各10mL)を採取し、内部転写スペー
サー1遺伝子と18SリボソームRNA遺伝子を利用して、127例のゲノムDNA抽出物における動物トリパノ
ソーマとヒトトリパノソーマの分子的特性評価、分離株の系統関係を分析した。PCRの結果から、127例の
ウシサンプルのうち9例(7.1%)がトリパノソーマに対して陽性に増幅され、バンドサイズは250-710bpの範
囲であった。興味深いことに、この分析では複数のトリパノソーマ種(T. congolense savannah typeとT.
congolense forest type)を保有するウシと、ヒトトリパノソーマ(T. brucei )に感染した可能性のある別の
ウシが示された。配列解析とNCBI BLAST検索によるGenBank登録配列との類似性確認、PCRとゲル電
気泳動分析による種の同定、複数の配列アラインメントと系統解析を実施した結果、分離株RIT001、
RIT004、RIT005はT. vivax 、T. congolense forest typeとクラスターを形成し、分離株RIT002、RIT003、
RIT008はT. congolense savannah typeに近縁で、分離株RIT006とRIT007はT. congolense に最も近縁で
あることがわかった。重要なことに、分離株RIT009はヒトのT. brucei gambiense と非常に近縁であった。
本研究では分子遺伝子型解析により、ウシにおけるトリパノソーマ種の多様性と複数の混合感染が特定
された。重要なことに、ヒト分離株と非常に近縁な分離株RIT009が発見されたため、トリパノソーマ耐性
N’Dama牛が宿主として機能しヒトトリパノソーマの伝播を補助し得ることが確認された。
ProMED-mail
20230116.8707811
ヒトブルセラ症は、ブルセラ属の細菌によって引き起こされる人獣共通感染症である。感染は、非特異的
な臨床症状を伴う亜急性又は慢性の衰弱性疾患をもたらし、加熱殺菌されていない乳製品の摂取による
場合が多い。今回、我々は、南アメリカ北東岸に位置するフランス領ギアナの異なる町に入院した男性患
者における、ブルセラ症の2例を経験したので報告する。これらの男性はいずれも、アマゾンの深い熱帯
雨林で金鉱夫として働いていたブラジル市民で、森の中で生活し、ブタをはじめとする野生動物の肉を狩
猟して摂取していたことを明かした。ゲノム解析により、2つの細菌分離株がブルセラの新種である可能
性を示していることが明らかになった。世界のこの地域で野生生物と接触する医師は、これらの病原体の
存在と、ヒトへの感染の可能性に注意する必要がある。
2/5