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ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(周知依頼) (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190382_00010.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和3年度第2回 3/16)《厚生労働省》
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別添2
2022 年 2 月
乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を希望されている方へ
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)

乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast
Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))という疾患があります。この疾患はT細胞性のリン
パ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。主に表面の性状がザラザラなインプラントを使用した症例
で発生します。
2019 年 7 月まで国内で使用されていたアラガン社の製品は、表面の性状がザラザラで、凸凹が深く表面積が大き
いマクロテクスチャードタイプに該当し、BIA-ALCL のリスクが他のタイプよりも高いため、出荷停止となっています。
これらの製品の代替品として、北米・欧州などで流通するスムーズタイプ(表面の性状がつるつる)、マイクロテクス
チャードタイプ(表面の性状がザラザラで凸凹が浅く表面積が小さいタイプ)、欧州などで流通するスムーズシルク(ス
ムーズタイプに分類され、表面の凸凹や表面積が極めて小さいタイプ)の下記の製品が認可されました。
◼ 乳房再建用ティッシュエキスパンダー
・ナトレル 133S (アラガン社)
スムーズタイプ、アナトミカル型(しずく型)で、注入ポートが内包されています。ポートは磁性体を含むため、留
置中は MRI 撮影が禁止されています。
・MOTIVA FLORA(エスタブリッシュメントラブス社)
スムーズシルク、アナトミカル型で、注入ポートが内包されています。使用されているポートは磁性体を含まな
いため、留置中の MRI 撮影が可能です。
◼ 乳房インプラント
1.スムーズタイプのインプラント
全てラウンド型(おわん型)です。スムーズタイプのインプラントは BIA-ALCL のリスクは限りなく低くなります。
アラガン社の Inspira シリーズとシエントラ社の Sientra ブレストインプラントがあります。
日本人の一般的な乳房と形状が異なること、破損や被膜拘縮等の合併症に注意が必要です。
2.マイクロテクスチャードタイプのインプラント
シエントラ社のラウンド型(おわん型)とアナトミカル型(しずく型)のインプラントがあります。乳房の形態によっ
ては、アナトミカル型の方が適合しやすい場合もありますが、種類が少ないことと、術後インプラント回転など
の合併症の可能性があります。
BIA-ALCL の発生率は明らかになっていませんが、2020 年 8 月までに報告されている 733 例の BIA-ALCL
発症例のうち、シエントラ社(マイクロテクスチャードタイプ・国内承認品)の製品は 10 例と報告されています。
3.スムーズシルクのインプラント
2021 年 12 月に新しくエスタブリッシュメントラブス社のラウンド型(おわん型)のインプラントが
認可されました。使用例での BIA-ALCL 発症の報告はなく(2022 年 2 月現在)、スムーズタイプと
同様に BIA-ALCL のリスクは限りなく低くなります。
出荷停止となったアラガン社製品を使用した症例での BIA-ALCL 発症は、2020 年 8 月までに 620 例(約 2200 3300 人に 1 人)、国内では 4 例(2022 年 2 月現在)が報告されています。他の会社のインプラントを含めると、2021 年
1 月までに、全世界で 900 例以上の発症が報告されています(アメリカ形成外科学会 HP)。
BIA-ALCL は、インプラントを入れてから平均 7-9 年ほどで発症する可能性があり、症状としてはインプラント周囲
に液体がたまって胸が大きく腫れることや、インプラント周囲のしこりなどがあります。BIA-ALCL を発症しても、多くの
場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒するとされています。
本学会では、インプラントの破損や合併症の発見のために 2 年に 1 度の画像検査を推奨してまいりました 。この BIAALCL においては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、引き続き一生涯の自己検診と医療機関での
定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じた場合にも受診をお願いいたします。
* 内容に関して不明点がありましたら,日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局
(e-mail: jopbs-office01@shunkosha.com) までお問い合わせください。