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ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(周知依頼) (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190382_00010.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和3年度第2回 3/16)《厚生労働省》 |
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2022 年 2 月
出荷停止となった乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)
乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リ
ンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))という疾患があ
ります。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。
わが国で認可され、乳房再建などを目的として臨床使用されてきたインプラントであるアラガン
社のナトレル 410, 110, 115, 120 は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。これは、表面
の性状がザラザラしていて凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプで、この疾患の
リスクが他のタイプよりも高いと報告されています。
このため、2019 年 7 月 24 日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたる FDA の指導の下、アラ
ガン社が全世界を対象として同社の Biocell を用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしま
した。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。
世界的には、このインプラントが挿入されている方のうち約 2200-3300 人に1人(0.030-0.045%)
にこのリンパ腫が発生すると報告されています。日本でも 4 人の発症が報告されました。他の会
社のインプラント含めると、2021 年 1 月までに、全世界で 900 例以上の発症が報告されています
(アメリカ形成外科学会 HP)。インプラントを入れてから平均 7-9 年ほどで発症する可能性があり、
症状としてはインプラント周囲に液体がたまって胸が大きく腫れることや、インプラント周囲のしこ
りなどがあります。
BIA-ALCL を発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒す
るとされています。一方で、発見が遅れた場合や切除しきれない場合には化学療法や分子標的
薬、放射線治療等の追加治療が必要となり、死亡した例(2020 年 8 月までに報告された世界での
発症 733 例のうち 36 例・4.9%)も報告されています。
該当の乳房インプラントが挿入されている方については、発症リスクは 0.030-0.045%と低く、摘
出手術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるため、症状のない方に対する予防的なインプ
ラントの摘出は必要ありません。腫れやしこりがないかをご自身でチェックするとともに、医療機関
での定期受診をお願いします。FDA やそれよりも前に流通停止を決定していた EU、カナダにおい
ても同様の見解です。
本学会では、インプラントの破損や合併症の発見のために 2 年に 1 度の画像検査を推奨して
まいりました。この BIA-ALCL においては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、引
き続き一生涯の自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じ
た場合にも受診をお願いいたします。
* 内容に関して不明点がありましたら日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(email: jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。
出荷停止となった乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)
乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リ
ンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))という疾患があ
ります。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。
わが国で認可され、乳房再建などを目的として臨床使用されてきたインプラントであるアラガン
社のナトレル 410, 110, 115, 120 は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。これは、表面
の性状がザラザラしていて凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプで、この疾患の
リスクが他のタイプよりも高いと報告されています。
このため、2019 年 7 月 24 日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたる FDA の指導の下、アラ
ガン社が全世界を対象として同社の Biocell を用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしま
した。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。
世界的には、このインプラントが挿入されている方のうち約 2200-3300 人に1人(0.030-0.045%)
にこのリンパ腫が発生すると報告されています。日本でも 4 人の発症が報告されました。他の会
社のインプラント含めると、2021 年 1 月までに、全世界で 900 例以上の発症が報告されています
(アメリカ形成外科学会 HP)。インプラントを入れてから平均 7-9 年ほどで発症する可能性があり、
症状としてはインプラント周囲に液体がたまって胸が大きく腫れることや、インプラント周囲のしこ
りなどがあります。
BIA-ALCL を発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒す
るとされています。一方で、発見が遅れた場合や切除しきれない場合には化学療法や分子標的
薬、放射線治療等の追加治療が必要となり、死亡した例(2020 年 8 月までに報告された世界での
発症 733 例のうち 36 例・4.9%)も報告されています。
該当の乳房インプラントが挿入されている方については、発症リスクは 0.030-0.045%と低く、摘
出手術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるため、症状のない方に対する予防的なインプ
ラントの摘出は必要ありません。腫れやしこりがないかをご自身でチェックするとともに、医療機関
での定期受診をお願いします。FDA やそれよりも前に流通停止を決定していた EU、カナダにおい
ても同様の見解です。
本学会では、インプラントの破損や合併症の発見のために 2 年に 1 度の画像検査を推奨して
まいりました。この BIA-ALCL においては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、引
き続き一生涯の自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じ
た場合にも受診をお願いいたします。
* 内容に関して不明点がありましたら日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(email: jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。