一方で、経常利益と緊急包括支援事業等コロナ関連の補助金を除く経常利益の黒字病院割合を
比較すると、2020 年度が 73.5％と 27.5％、2021 年度は 85.3％と 45.1％、2022 年度は 82.4％と
26.5％となり 3 年続けて 40 ポイントを超える大きな乖離がみられたが、2023 年度は 38.2％と
31.4％の 6.8 ポイント差に縮まった。また、100 床あたりの医業利益・経常利益の比較では、2023
年度はコロナ関連の補助金を除く経常利益を含めてすべて赤字であった（図 9）。

（２） 一病院あたりの損益
6 年連続年度比較では、2023 年度の一病院あたりの医業損益を対 2018 年比でみると、医業収益
の＋9.9％に対して医業費用は＋13.6％となり、医業利益の赤字額は拡大し、医業利益率は 2018 年
度の－3.7％から 2023 年度が－7.2％であった。経常利益は 2019 年度以前が赤字、医業外収益の
増収により 2020 年度～2022 年度は黒字に転じたが、2023 年度は前年度に比べて大幅に減収とな
り赤字となった。
一病院あたりの医業利益の赤字額は、2018 年度の－37,316 万円から 2020 年度には－87,399 万
円まで拡大し、2023 年度は－79,231 万円であった。経常利益では 2018 年度が－3,974 万円、2019
年度の－6,912 万円から、2020 年度には 38,064 万円の黒字へと大幅に増加し、2021 年度が 81,429
万円で最大であったが、2023 年度は―16,663 万円の赤字となった。
100 床あたりの平均で 2023 年度の医業利益は－22,065 万円、経常利益が―4,640 万円に対して、
コロナ関連の補助金等を除く経常利益は－8,957 万円、補助金等を除いた損益差額についても－
18,117 万円の赤字であった。なお、コロナ関連緊急包括支援事業補助金額は 4,316 万円であった
（表 9）
。
n=102
科目
（単位：千円）

一病院あたりの損益
2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

100床あたりの平均
2022年度

2023年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

①医業収益
②医業費用
③医業利益（①-②）
④医業外収益
⑤医業外費用
⑥経常利益（（①+④）-（②+⑤））

10,052,292 10,290,209 9,859,193 10,410,272 10,669,612 10,960,583 2,777,553 2,843,292 2,724,198 2,887,967 2,971,388 3,052,420
10,425,456 10,734,741 10,733,187 11,070,195 11,480,599 11,752,899 2,880,662 2,966,121 2,965,692 3,071,040 3,197,240 3,273,073
-373,163 -444,532 -873,994 -659,924 -810,986 -792,316 -103,109 -122,829 -241,494 -183,073 -225,852 -220,653
540,953
563,595 1,434,368 1,661,146 1,480,877
792,168
149,471
155,727
396,331
460,827
412,410
220,611
207,538
188,190
179,728
186,932
188,143
166,486
57,345
51,999
49,661
51,858
52,396
46,365
-39,748
-69,127
380,646
814,290
481,748 -166,633
-10,983
-19,101
105,177
225,896
134,162
-46,406
コロナ関連の補助金を除く経常利益（⑥－⑦） -39,748
-70,174 -375,928 -177,682 -326,134 -321,630
-10,983
-19,390 -103,873
-49,292
-90,825
-89,571
医業利益率（③÷①）
-3.7%
-4.3%
-8.9%
-6.3%
-7.6%
-7.2%
-3.7%
-4.3%
-8.9%
-6.3%
-7.6%
-7.2%
経常利益率（⑥÷①）
-0.4%
-0.7%
3.9%
7.8%
4.5%
-1.5%
-0.4%
-0.7%
3.9%
7.8%
4.5%
-1.5%
※1_補助金（運営・施設・その他）
※2_補助金を除く医業外収益 （④－※1）
※3_損益差額 （③＋※2－⑤）
⑦コロナ関連 緊急包括支援事業 補助金
⑧水道光熱費 補助金
⑨人材紹介会社へ支払う紹介手数料・委託料

274,342
266,611
-314,090

294,357 1,166,366 1,359,388 1,151,566
269,237
268,002
301,758
329,311
-363,485 -785,720 -545,098 -669,818
1,047

756,574

991,972
0

807,881
5,965
2,156

483,923
308,245
-650,556

75,804
73,667
-86,786

154,997
9,112
6,057

81,334
74,393
-100,435

322,279
74,052
-217,103

377,115
83,712
-151,218

320,700
91,710
-186,538

134,768
85,843
-181,174

289

209,049

275,188
0

224,987
1,661
600

43,165
2,538
1,687

対2018年 対2019年 対2020年 対2021年 対2022年
比
比
比
比
比

9.9%
13.6%

7.4%
10.3%

12.0%
10.4%

5.7%
6.6%

2.7%
2.4%

47.6%
-19.1%

41.7%
-10.8%

-44.3%
-6.6%

-52.1%
-10.6%

-46.5%
-11.5%

77.8%
16.5%

65.7%
15.4%

-58.2%
15.9%

-64.3%
2.5%

-58.0%
-6.4%

（表９）一病院あたりの損益・100 床あたりの平均

Ⅶ．診療収益・診療単価・延患者数の前年同月比較（2023 年 6 月/2024 年 6 月）
（１）一病院あたりの診療収益の前年比
2023 年 6 月および 2024 年 6 月の前年同月比較において入院＋外来の診療収益は、収入増病院
の割合が 45.8％であったが、対前年比は－1.22％の減収であった。入院、外来診療収益の増収病院
割合は、入院は収入増病院の割合が 55.5％だが、外来は収入減病院の割合が 74.6％を占めていた。
対前年比は、入院＋0.51％の増収、外来－4.94％の減収であった（図 10）。
14