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資料2-4-2 医療経済学会 御提出資料 (7 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
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補足:データ連結へのそこから生じる問題点
以下ではデータ連結への制約とそこから生じる問題点を具体的に提示する。
まず一つ目の問題として、一般に開示されているような情報とであっても、
レセプトデータが連結することができないことがあげられる。例えば、県や市
町村レベルの人口といった基礎統計との連結も禁じられている。このことが原
因として起こった問題として、市町村における COVID-19 の検査陽性者数は
日々報道されていた公開情報であるが、これらがレセプトデータと結合でき
ず、感染拡大と医療・介護費の関係を分析することができなかったという事例
がある。
第二の問題としては、本来介護・医療サービスの提供時には明らかになって
いるにもかかわらず、記録上の問題でそもそもデータとして整備されていない
情報があることがあげられる、こうした情報の例としては、サービス提供機
関・提供者の ID があげられる。医療施設や医師の ID については NDB に含まれ
るべき情報だろう。さらに、看護師、保健師、リハビリテーション専門職や介
護従事者などについては、機関ごとの従事者数などは把握できていても、個人
レベルの ID については、そもそも国が保有するデータベースが存在していな
い。こうした提供サイドについての情報整備が進み、さらに個別従事者の賃金
や労働時間、教育水準や就労年数などの情報が蓄積されて他のデータとリンケ
ージが可能になれば、医療・介護分野における労働市場の分析が可能になるだ
ろう。
第三の問題として、レセプトデータと官庁統計個票とのリンケージができな
いということがあげられる。例えば厚生労働省による中高年縦断調査、国民生
活基礎調査などの官庁統計調査は、家族構成、経済状況といった情報を広範に
含んだデータとして様々な研究の情報源となってきた。これらと NDB・KDB が
連結できれば、社会・経済状況によってどのような医療・介護支出の違いがあ
らわれるのか、といった要因分析が可能となり、より効果的な医療・介護提供
体制のために何が必要かを考えるヒントが得られるだろう。また、文部科学省
による「全国学力・学習状況調査」がレセプトデータと連結できれば、子供の
健康が認知・非認知能力・学力などの人的資本にどのように影響するかが分析
可能になる。
こうしたリンケージに関しては、官庁統計のようなサーベイデータとレセプ
トのような行政管理情報の間には、法律上の制約のため、本人同意がないと結
合できないという点が困難をもたらしている。個人情報保護と、公益性が高い
研究に対してデータを提供していく方策について、今後議論が進んでいくこと
が望ましい。
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以下ではデータ連結への制約とそこから生じる問題点を具体的に提示する。
まず一つ目の問題として、一般に開示されているような情報とであっても、
レセプトデータが連結することができないことがあげられる。例えば、県や市
町村レベルの人口といった基礎統計との連結も禁じられている。このことが原
因として起こった問題として、市町村における COVID-19 の検査陽性者数は
日々報道されていた公開情報であるが、これらがレセプトデータと結合でき
ず、感染拡大と医療・介護費の関係を分析することができなかったという事例
がある。
第二の問題としては、本来介護・医療サービスの提供時には明らかになって
いるにもかかわらず、記録上の問題でそもそもデータとして整備されていない
情報があることがあげられる、こうした情報の例としては、サービス提供機
関・提供者の ID があげられる。医療施設や医師の ID については NDB に含まれ
るべき情報だろう。さらに、看護師、保健師、リハビリテーション専門職や介
護従事者などについては、機関ごとの従事者数などは把握できていても、個人
レベルの ID については、そもそも国が保有するデータベースが存在していな
い。こうした提供サイドについての情報整備が進み、さらに個別従事者の賃金
や労働時間、教育水準や就労年数などの情報が蓄積されて他のデータとリンケ
ージが可能になれば、医療・介護分野における労働市場の分析が可能になるだ
ろう。
第三の問題として、レセプトデータと官庁統計個票とのリンケージができな
いということがあげられる。例えば厚生労働省による中高年縦断調査、国民生
活基礎調査などの官庁統計調査は、家族構成、経済状況といった情報を広範に
含んだデータとして様々な研究の情報源となってきた。これらと NDB・KDB が
連結できれば、社会・経済状況によってどのような医療・介護支出の違いがあ
らわれるのか、といった要因分析が可能となり、より効果的な医療・介護提供
体制のために何が必要かを考えるヒントが得られるだろう。また、文部科学省
による「全国学力・学習状況調査」がレセプトデータと連結できれば、子供の
健康が認知・非認知能力・学力などの人的資本にどのように影響するかが分析
可能になる。
こうしたリンケージに関しては、官庁統計のようなサーベイデータとレセプ
トのような行政管理情報の間には、法律上の制約のため、本人同意がないと結
合できないという点が困難をもたらしている。個人情報保護と、公益性が高い
研究に対してデータを提供していく方策について、今後議論が進んでいくこと
が望ましい。
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