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資料3-2 先進医療B評価表(整理番号127) (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25542.html |
出典情報 | 先進医療会議 先進医療技術審査部会(第133回 5/19)《厚生労働省》 |
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【実施体制の評価】
評価者:
上村(尚)
1.実施責任医師等の体制
適
・
不適
2.実施医療機関の体制
適
・
不適
3.医療技術の有用性等
適
・
不適
コメント欄:(「不適」とした場合には必ず記載ください。)
更年期障害に対しての標準治療としては、女性ホルモン(エストロジェン)の少
量補充によるホルモン療法があるが、申請者らも指摘するように有害事象への危
惧などを背景として、我が国での使用率は2%程度にとどまっているのが現状で
ある。医学的なニーズとしては、より安全に更年期障害の様々な症状を緩和できる
治療法が望まれている。
申請者らは、更年期障害と診断された患者にビタミン B6 の一種であるピリドキ
サミンを6週間投与することにより、うつ症状の改善(主要評価項目)、ホットフ
ラッシュの改善(副次評価項目)、不安症状の改善(副次評価項目)が期待できる
と考え、プラセボを対照としたランダム化比較試験を提案している。
この提案は、プラセボとの比較試験となっており、新しいエビデンスを構築する
という意味では大きな強みと言えるので、適切に実施されることを期待する。
しかしながら、この提案には数多くのリミテーションが存在しており、先進医療
として実施を許可するか否かについて慎重な議論が必要であろう。最大の問題点
は、この治療法を開始するための科学的根拠の薄さであろう。
申請者らは、更年期のうつ症状には、酸化ストレスが関与することをあげている
が、そもそも提案する用法用量でピリドキサミンを人に投与した際に酸化ストレ
スが軽減するというデータは存在しない。すなわち、human レベルでの target
engagement(創薬ターゲットとなっているメカニズムを確実に捉えているという
証拠)が確認されていないので、臨床開発のテーマとしては、極めて premature で
ある。同様に、糖化最終産物(AGEs)生成を抑制し、カルボニル化合物を消去してカ
ルボニルストレスを抑制する作用機序を提案しているが、そもそも提案する用法
用量でピリドキサミンを人に投与した際にそのような薬力学的反応が得られると
いう target engagement についても十分な検討がなく、さらに、そのようなメカ
ニズムが更年期障害でのうつ症状とどのように関連しているのか説明されていな
い。
臨床試験を開始する上で必須ではないが、うつ病のモデル動物も更年期モデル
動物も存在する中で、いわゆる薬効薬理試験が実施されていない。したがってピリ
ドキサミンの薬物動態と薬効の関係性は明らかでない。よって臨床的に必要とさ
れる暴露量やそれを達成するための臨床用量の推定 (human PK prediction)も検
討された形跡がない。
評価者:
上村(尚)
1.実施責任医師等の体制
適
・
不適
2.実施医療機関の体制
適
・
不適
3.医療技術の有用性等
適
・
不適
コメント欄:(「不適」とした場合には必ず記載ください。)
更年期障害に対しての標準治療としては、女性ホルモン(エストロジェン)の少
量補充によるホルモン療法があるが、申請者らも指摘するように有害事象への危
惧などを背景として、我が国での使用率は2%程度にとどまっているのが現状で
ある。医学的なニーズとしては、より安全に更年期障害の様々な症状を緩和できる
治療法が望まれている。
申請者らは、更年期障害と診断された患者にビタミン B6 の一種であるピリドキ
サミンを6週間投与することにより、うつ症状の改善(主要評価項目)、ホットフ
ラッシュの改善(副次評価項目)、不安症状の改善(副次評価項目)が期待できる
と考え、プラセボを対照としたランダム化比較試験を提案している。
この提案は、プラセボとの比較試験となっており、新しいエビデンスを構築する
という意味では大きな強みと言えるので、適切に実施されることを期待する。
しかしながら、この提案には数多くのリミテーションが存在しており、先進医療
として実施を許可するか否かについて慎重な議論が必要であろう。最大の問題点
は、この治療法を開始するための科学的根拠の薄さであろう。
申請者らは、更年期のうつ症状には、酸化ストレスが関与することをあげている
が、そもそも提案する用法用量でピリドキサミンを人に投与した際に酸化ストレ
スが軽減するというデータは存在しない。すなわち、human レベルでの target
engagement(創薬ターゲットとなっているメカニズムを確実に捉えているという
証拠)が確認されていないので、臨床開発のテーマとしては、極めて premature で
ある。同様に、糖化最終産物(AGEs)生成を抑制し、カルボニル化合物を消去してカ
ルボニルストレスを抑制する作用機序を提案しているが、そもそも提案する用法
用量でピリドキサミンを人に投与した際にそのような薬力学的反応が得られると
いう target engagement についても十分な検討がなく、さらに、そのようなメカ
ニズムが更年期障害でのうつ症状とどのように関連しているのか説明されていな
い。
臨床試験を開始する上で必須ではないが、うつ病のモデル動物も更年期モデル
動物も存在する中で、いわゆる薬効薬理試験が実施されていない。したがってピリ
ドキサミンの薬物動態と薬効の関係性は明らかでない。よって臨床的に必要とさ
れる暴露量やそれを達成するための臨床用量の推定 (human PK prediction)も検
討された形跡がない。