資料3-2-① 鈴木先生提出資料 (106 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第90回 7/13)《厚生労働省》 |
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• パンデミック3年目を迎え、パンデミック発生後に収集されたデータをどのように取り扱うか
を検討中である。その理由は、超過死亡数のベースラインを算出する際に、パンデミック
期間(2020年以降)のデータを含めるか含めないかの判断は、純粋に統計学的な判断と
して一義的に定まるものではない側面を持つためである。
• 具体的には、新型コロナをエンデミック(一定期間で繰り返される流行)として捉えた場合
には、2020年以降のデータを含める方がより解析として整合的であると考えられる。一方、
それをパンデミック(世界的大流行)として捉えた場合には、 2020年以降のデータを含め
ない方が、より解析として整合的であると考えられる。この二つの違いは観点の違いによ
るものであり、さらに、今後の感染動態に依存して判断の妥当性が左右される部分もある
ため、少なくとも現時点で科学的にどちらか一方が正しいというものではないことに留意
が必要である。
• 米国疾病対策予防センター (CDC)は、2020年2月以降のデータを含めず、新型コロナを
各年の日本の超過・過少死亡数を、
現状の方法とCDC方法とで比較
超過死亡数
(現状の方式)
超過死亡数
(CDC方式)
パンデミックとして扱っている(以下これを「CDC方法」と呼ぶ)。世界保健機関の算出方
法も同様である。
2020年1〜12月
268–8509
330–3632
2021年1〜12月
10702–50207
1147–16726
• 一方、日本の本厚生労働省超過死亡研究班では、5年間のベースライン計算の中に2020
2022年1〜4月
18122–37528
16601–30900
過少死亡数
(現状の方式)
過少死亡数
(CDC方法)
2020年1〜12月
9074–43437
8051–49893
2021年1〜12月
0–2208
2251–26911
2022年1〜4月
0–0
0–2546
年以降のデータを含め(例えば2022年の1月や2月の超過死亡算出に対して)、統計解析
的には現状がエンデミックに向かっていることを含蓄している(もちろんベースライン期間
の超過・過小判定に対してはその影響の補正を行なっている)。
• 2020年以降のデータを含めるか含めないかの差は、現時点(2022年4月まで)の超過死
亡数の算出結果に極端な解釈の違いを与えるほどではない(右表、次ページ図参照)。こ
れはベースラインは5年分の長期なデータに基づいて行われるためである。
o 右表は、CDCや世界保健機関、他超過死亡評価の国際的な枠組みとの比較目
的で、CDC方法で超過死亡数を算出した場合。
o パンデミック3年目以降の超過死亡数算出からは、2020年以降のデータがベース
ラインの計算に使用されるデータのおよそ半分を占めるようになるため、これら
のデータが数学的に与える影響は次第に大きくなると想定される。
※ CDC方法はその性質上、ベースライン計算に使用されるデータポイントが最新データ
が追加されるごとに減少する。CDCはベースライン計算に使用される期間を、2021年11月
の更新時点で、5年から6年に伸ばすことで、その減少に対応している。
(前回報告ではCDC方法での年間の過少死亡数の算出に誤りがあり、改訂を行った。)