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資料3-3 西浦先生提出資料 (187 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第95回 8/18)《厚生労働省》
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【SIRSモデルを活用した分析全体を通じての考察】
1.エンデミック化を認めた(許した)場合、長期的にはTransmissibilityを規定するR0でなく、免疫
持続期間が人口内の感染者比率や死亡リスクを大きく左右する上で重要な役割を果たす。
※現時点の自然感染やワクチン接種による獲得免疫(感染予防効果)の持続期間はとても短く、
紹介文献の分析中でも1年間或いは短期間持続(3カ月)を仮定したシナリオに近いと考えられる。

2.平均免疫持続期間が文献値で得られた通りと仮定すると、COVID-19のエンデミック化は同レ
ベル程度での流行を受け入れるものであり、常に数%から10%程度の感染者を認める状態を許
容するものになるという蓋然性が十分な状況にある。それは季節性インフルエンザの人口中の
感染者比率0.5%前後と比較して顕著に高いレベル(約10倍のオーダー)である。
3.全期間のうち、特にエピデミック期からミッドタームにかけて多数の死亡者発生が見込まれる。
免疫持続期間が短いことで高齢者の感染が多いことに加えて、感染時の死亡リスクが高い高齢
者の比率が高い国で死亡が目立ち、特に超高齢化社会である日本では、他の分析対象であっ
た先進国の中で最もエンデミック状態での死亡リスクが高い。
4.このような状況で死亡者の発生を抑えるには、長期間免疫が持続するワクチン及び
Pansarbecovirus vaccineのような抗原特異性を大きな問題としないようなワクチンによる免疫
が求められる。
5.わが国では、高齢者比率が世界でも目立って高いことから、特別に死亡リスクが高いことを十
分に理解した上で、きめ細やかなリスクのモニタリングを実施することが求められる。具体的には
「低い感染リスクを保持しつつ、少しずつエンデミック期へ移行させるデザイン」を一定の議論の
上で計画し、また、特別に感染リスクが高くなる流行波の時期の前にハイリスク群へのブース
ター接種などによる免疫賦活化を当面の間は繰り返すことが求められる。
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